本人たちがまだ〈距離を感じる〉と語るいまの東京インディー・シーンの片隅で生まれながら、しかしひとたびその音に身を委ねれば、これからシーンの中心へと一気に滑り込んで行く姿を予見したくなる注目の4人組バンド、CURTISS。Niw! Records(以下、Niw!)にフックアップされたことで初の全国流通盤としてこのたび世に放たれるファースト・ミニ・アルバム『Four Doves』は、彼らの名前をシーンに知らしめる最初の大きなステップとなるだろう。

トゥー・ドア・シネマ・クラブやワイルド・ナッシングスといった海外のインディー・アクトへの共感に支えられた彼らのセンスは、全6曲という小ぶりなサイズの本作を目いっぱいカラフルに彩っている。それを支えているのは、仮谷せいらやAimerへの楽曲提供もこなすバンドのメイン・コンポーザー、DAIKIの高い編曲能力であり、この貪欲な天才アレンジャーはこれからも次々と華麗なモード・チェンジを見せてくれるはずだ。けれどその一歩先にある資質――イアン・カーティスから引き継いだ孤独感や疎外感やエスケーピズムと、当のイアン没後に彼が生きたマンチェスターに起こった狂騒=マッドチェスターにDAIKIが見い出したポジティヴでタフな希望との二律背反的なコントラストこそが、CURTISSを一介のインディー・バンドには終わらせない複雑な魅力の存在に仕立てている。ここでは、音楽メディアでのインタヴューは初めてだというCURTISSに話を訊いた。

 


 

CURTISS、その世界の形成

――CURTISSは、メイン・コンポーザーでありギター/ヴォーカル担当のDAIKIさんを中心に2011年に始まったとのことですが、DAIKIさんはそれ以前にバンドはやっていたんですか?

DAIKI「はい。ただ、その頃から自分で曲を作ってはいたものの、ほかにもバンド内に曲を作る人がいて、自分がメインで曲を書いていたわけではありませんでした。その前はコピーもやっていたり」

――なるほど。

DAIKI「僕はもともとギターではなくベースを弾いていて、バンドでコピーするってよりは個人的に好きな曲を練習していましたね」

――そこから2011年にCURTISSを始めるにあたって、何かきっかけはあったんですか?

DAIKI「もともと仲良くしてくれていた方がいて、その人から〈いまバンドやってるの?〉って訊かれたときに、その頃はバンドをやっていなかったんですが……ある意味ではその人が背中を押してくれたというか。それで〈やってみよう〉と思い立ってCURTISSを始めました」

――それは自分がメインのソングライターとしてやっていきたいという欲求もあっての決意?

DAIKI「正直、それはまったくなかったです。最初の頃は曲を書きたいとも思っていなかったし、〈音楽は趣味でいいかな〉って。迷走してた時期だったかもしれない(笑)」

――気合いを入れてというよりは、ナチュラルなスタンスで始まった感じなんですね。ただ、CURTISSというバンド名がイアン・カーティスに由来していることは、そういったエピソードやいまのCURTISSの音だけを聴くと〈シリアスさ〉という面で少し意外なのですが。

DAIKI「個人的にはジョイ・ディヴィジョンだったり、あの時代のマンチェスターの音楽がもともとすごく好きで。あまり長いバンド名じゃなくて、呼びやすくて覚えやすい名前にしようと思っていたこともあって、CURTISSに決めたんです。カーティス・メイフィールドもいるし。調べてみたら、カーティスという名前が海外ではけっこう真面目な感じの名前らしくて。日本で言うところの〈マコト〉みたいな」

Tomoya「CURTISSは苗字でもあるよね」

DAIKI「苗字なんだ」

Tomoya「〈伊集院〉ほどではないけど、格式がある感じ」

――CURTISSをスタートさせた2011年当時、影響を受けていたバンドだったりめざしていたサウンドはありますか?

DAIKI「最初はドラムがいなくて、メンバーを探すより自分でDTMで作ったほうが早いだろうということで、全部打ち込みでやってたんです。曲もひとりで書いていたのですが、当時影響されたのは、トゥー・ドア・シネマ・クラブとかレーベルのキツネあたり。キツネのコンピレーション・アルバムに収録されてるバンドなんかも聴いてましたね」

【参考動画】トゥー・ドア・シネマ・クラブの2013年のEP『Changing Of The Seasons』
収録曲“Changing Of The Seasons”

 

――2011年って、海外を見渡すとそれまで宅録だったウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワが、外の世界に大きく飛び出して行くにあたってバンド編成に切り替えてアルバムをリリースしていた頃だと思うんです。いまのCURTISSにはチルウェイヴが宅録から生音に変わってから以降のモードのようなものを感じるのですが、実際のところはどうですか?

DAIKI「似たような感覚はあるかもしれないですね。今回の『Four Doves』というアルバムは、もともとはドラムが打ち込みだったんです。それに合わせて同期をたくさん使ったのですが、ドラム、リード・ギター、ベースと楽器ができるメンバーが揃ったので、音をどんどん削って最低限の構成にして、できるだけ生音でやっていこうという感じ。だから〈バンドでやろう〉って感覚は強くなりましたね」

――DAIKIさんはどういう経緯で現在のメンバーと出会ったんですか?

DAIKI「ドラムのSHOZOはけっこう前からの知り合いで、唯一の同い年なんです。僕がよく行く居酒屋さんのようなお店で働いてて、そこで〈同い年なんて珍しいね〉と盛り上がって。SHOZOはその頃バンドやってたっけ?」

SHOZO「その頃はハードコアのバンドをやってたね」

DAIKI「お互いに会ったら〈よう!〉って挨拶するような間柄でしたね。その後にベースのYO-HEYに会って、彼は僕がやってた別のバンドに新しいベーシストとして紹介してもらって加入したのがきっかけ。そのとき前のメンバーがいたんですけど、その人がバンドから離れる際に2人(SHOZOとYO-HEY)に話をして、〈一緒にバンドやろうよ〉とCURTISSに誘ったんです」

――基本的にはみなさんCURTISSの前からバンド経験はあったんですね。

DAIKI「そうですね。ギターのTomoyaも当時は別のバンドをやってて。CURTISSのギターを探すときに対バンした経験があったから覚えていたんです。僕の目にはTomoyaがなんとなく楽しくなさそうに弾いているように見えて(笑)」

Tomoya「いや楽しかったよ(笑)」

DAIKI「(笑)。とにかくそこから声をかけていまの4人になりました」

――それが2013年頃の話?

DAIKI「そうですね。このメンバーになってから2年ぐらい」

――みなさん出身はバラバラですか?

DAIKI「バラバラですね。静岡、香川、北海道、イギリス、サイパン、トルコ」

――あれ、多い(笑)。

Tomoya「僕のことはトルコ人だと思ってくれて大丈夫です(笑)。生まれは宮崎で育ちは埼玉とイギリス。それでいま東京にいるという」

 左から、DAIKI、Tomoya

 

――Tomoyaさんは文化的なバックボーンが豊かなんですね。ちなみにDAIKIさんから見て、いまのメンバーはプレイヤーとして安心感がある?

DAIKI「自分自身あまりプレイヤーというタイプじゃないので偉そうなことは言えませんが、安心はできるかな。自分が前に出て歌うスタイルはまだ恥ずかしくて自信がないけど、バックの演奏に関しては大丈夫だろうって気持ち。でも個人個人で言うと、SHOZOは叩きすぎる癖があるかな。彼はUSだから」

――USというのは、さっきのハードコア・バンドの話と関係があるんですか?

SHOZO「でもいろんな音楽が好きで、たまたまやっていたのがハードコア・パンクだったんです」

DAIKI「もちろんプレイはしっかりしてるし、頼めば抑えて叩いてくれるんだけど、気付いたらまた戻ってる。USだから」

SHOZO「それってUS関係あるのかな(笑)?」

DAIKI「YO-HEYは、曲を活かすような堅実なプレイをしてくれます。個人的には主張の激しいベーシストは苦手なので、そういう意味で安心できる。Tomoyaは……まだまだこれからのギタリスト」

――いまUSの話がで出ましたけど、USとUKの音楽って……

DAIKI「バンド内で対立してるんですよ(笑)」

――え(笑)? どういうことですか?

DAIKI「Tomoyaだけ世代がちょっと離れてるんですが、例えばスタジオにリハで入ったときに、僕らはブリンク182だったり西海岸系のパンクも通ってきたので遊びでそういうジャム・セッションをすることもあったんです。ほかのメンバーは合わせられるけど、TomoyaはUK寄りの音楽がルーツだからうまく参加できずにションボリしちゃって(笑)。その鬱憤が溜まってたのか、みんなで飲んでるときに酔っ払って〈なんだよおまえらUSノリで!〉って(笑)」

YO-HEY「俺の顔見て〈YO-HEYとSHOZOはUSだから不安〉って言ってましたね(笑)」

Tomoya「その話、そろそろ許してほしい(笑)」

DAIKI「USの音楽もルーツといえばルーツですけど、みんなバラバラかな」

――『Four Doves』を聴いた印象だと、USインディーからの影響が強いのかなと思ったんですけが、そう単純な話でもないと。

DAIKI「もちろんUSインディーも聴きますし、固執して特定の音楽しか聴かないってわけではないので」

――ちなみに最近聴いてる音楽は?

SHOZO「俺は、自分が行ったこともあるブルックリンの音楽に影響を受けてますね」

――ブルックリンのどのあたりの人たちですか? ダーティー・プロジェクターズとか?

SHOZO「ダーティー・プロジェクターズは好きですね。あと、ドラマー目線でもあるんですけど、もっとバンドっぽいUKのリトル・コメッツって人たちが好きで」

【参考動画】リトル・コメッツの2015年作『Hope Is Just A State Of Mind』収録曲“Salt”

 

YO-HEY「僕はベースを弾くきっかけになったのがHi-STANDARDで、ランシドもすごく好きで高校生の頃はよくコピーしてました。あとはJUDY AND MARYとか。最近はずっとクイーンやビートルズとか、クラシックなロックばかり聴いてます」

DAIKI「僕は最近エルトン・ジョンが多いですね」

――それはソングライティングの勉強として?

DAIKI「それもありますね。彼はピアノで作曲するからか単純に歌が良い。やっぱり曲が良い音楽に惹かれるので。インディーものだとウルフ・アリスはすごく聴いてるな。あとドレンジとか、ちょっとロックっぽい音」

【参考動画】ドレンジの2015年作『Undertow』収録曲“We Can Do What We Want”

 

Tomoya「僕はビーチ・フォッシルズとか好きですね。でも一番最近聴いてるのはヴァーヴかな。〈新譜だから聴こう〉とはあまり思わなくて、結局好きなものを聴いちゃうんですよね。ジョン・レノンもよく聴いてます」

【参考音源】ビーチ・フォッシルズの2013年のパフォーマンス

 

――CURTISSの作曲はDAIKIさんがひとりで担当してるんですか?

DAIKI「いまのところそうですね」

――作曲のインスピレーションが湧くのはどんなときですか?

DAIKI「CURTISS以外でも曲を作る機会があって、よく言われがちですけど煮詰まって〈どうしよう!〉ってときにトイレ行ったらふと浮かぶとか。手元に楽器がない瞬間にこそ浮かんできますね。パソコンの前で考えたり曲を聴いたりギター持ったりするときは何も出てこなくて、そこから離れた瞬間にできるんです。気分転換に散歩行ったりタバコ吸いに出た瞬間にパッと出てきて〈これはヤバい!〉って。寝る前なんかも」

――なるほど。ちなみにCURTISS以外で書いてる曲って何ですか?

DAIKI「仮谷せいらちゃんのデビューEP『Nobi Nobi No Style』の表題曲“Nobi Nobi No Style”です。あとAimerさんの“Noir! Noir!”って曲とか」

【参考動画】仮谷せいらの2015年のシングル“Nobi Nobi No Style”

 

――そうだったんですね! そういった職業作家的な経験が今後のCURTISSにどう反映されるかも楽しみです。話を戻すと、作曲作業のなかでアレンジはどうしているんですか?

DAIKI「デモが出来た瞬間にみんなに送って、後はスタジオで合わせてます。デモはドラムとベース、ギターも最初に僕が作って、細かいところをみんなで合わせてアレンジしていく流れですね」

――演奏陣の皆さんは送られてきた音源をカッチリ再現する感じ?

SHOZO「ドラムはだいぶ崩させてもらってるかも。基本的なノリだけ変わらないように気を付けて」

Tomoya「ギターはフレーズはほぼ一緒だけど、DAIKIがデモに入れている演奏を真似しようとしても違う雰囲気になるので、音作りに関してはけっこうバラバラですね」

YO-HEY「デモを聴くと、もうある程度完成されてるので〈こういう雰囲気でやりたいんだな〉っていう意図が伝わりやすいんです。だからそれを崩さないようにして。〈こっちのほうが良いんじゃない?〉と感じるときは、ちょっとずつ元のアレンジから変えていきます(笑)」

 

 

『Four Doves』の奥にあるもの

――今回の『Four Doves』はCURTISSにとって初の全国流通盤ですよね。それがNiw!から出ることになった経緯を教えてください。

CURTISS Four Doves Niw!(2015)

 DAIKI「もともとはCURTISSに来た話ではなかったんですが、レーベルオーナーの山口さんからTwitterのDMにご連絡をいただいたんです」

――それまでNiw!に対してはどんなイメージを持っていましたか?

DAIKI「正直に話すと、日本のレーベルやシーンのことはあまり知らなくて、そのときに初めてNiw!の名前を聞いたんです。でも所属しているバンドを見たら、FRONTIER BACKYARDやQUATTROがいるレーベルなんだっていうのを知って。個人的には、メジャーのレーベルに対する欲求はなくて、それよりも自分たちがどこまでできるのかってチャレンジの部分を徹底して追求していくバンドがCURTISSだと思うので。そういう意味では、Niw!と出会ってからの期間は長くはないんですが、Niw!だったら自分たちのやりたいことができそうかなと感じています」

――レーベルと出会ったのはいつ頃の話ですか?

DAIKI「まだ1年経ってないですね。それで『Four Doves』を今年の2月頃から作りはじめました」

――制作にはどれくらいかかったんですか?

DAIKI「レコーディング自体は4日間ほどでしたね」

――アルバムは全体的に細かいアレンジが施されていて、録りやミックスは少し大変なのかと思ったんですが。

DAIKI「ミックスは、以前から個人的に知ってたイバラキさんというエンジニアの方にお願いして。ミックスに関しても案外時間はかからなかったですね」

――アルバム・タイトルの『Four Doves』、これにはどんな意味が?

DAIKI「実は〈Doves〉ってドラッグの名前なんですけど、なぜそんな物騒な名前にしたかと言うと、自分のルーツにあるマッドチェスターと呼ばれるシーンの影響が大きいんです。ハッピー・マンデーズ然りストーン・ローゼズ然り。あの時代、ほかの音楽はすごく暗かったけどそれを明るくしたのがマッドチェスターの音楽で。見た目は暗いけど根は明るいぞって意味もあります。それと〈Dove〉は鳩だから、4人の音を鳩に見立てて〈Four Doves〉でいろんな所に飛んで行くイメージも込めました」

――それでちょっと謎が解けたというか、アルバムの1曲目の“With White Thing”を聴く前に、最初に歌詞だけを読んだんです。そしたら孤独感だったり、〈ここではないどこかへ飛んでいきたい〉というような逃避的なフィーリングを感じたんですけど、実際に曲を聴いたらそこまで閉じた印象はなくて、むしろ力強くてポジティヴなエネルギーに溢れていた。それっていまの話に通じるものがあるなって。

【参考動画】CURTIISS “With White Thing” パフォーマンス動画

 

DAIKI「そうですね、まさにそういうことです」

――アレンジ面でも“With White Thing”はヴァースごとに緻密なアレンジが施されつつ、でもどっしりした〈歌〉が中心にあるからスケール感が大きくて。実際アレンジは時間がかかったんじゃないですか?

DAIKI「でもこのアレンジは最初のデモ段階からあまり手を加えてないかも」

【参考音源】CURTISS “With White Thing”のデモ音源

 

YO-HEY「初期段階からほぼああいうアレンジで、作業が進むにつれてちょっとふわっとした質感にはなったのかな」

DAIKI「もともとは歌を入れずにオケだけを作っていって、その上に歌を乗せました。作業時間的には丸1日ぐらいでしたね」

――そんなに早かったんですね! 試行錯誤や紆余曲折を経て、たっぷり時間をかけて完成させたものとばかり思っていたので驚きました。続く2曲目の“You Told Me About These Days”はネオアコ感が強い楽曲ですよね。

DAIKI「確かにこの曲はネオアコから影響を受けていますね。いまの音楽を聴いてる若い人たちにとって、ネオアコって一番トップには来ないジャンルだと思うんです。J-PopやJ-Rockを聴いてる人たちには〈ネオアコって何?〉って状況だと思うけど、少しでも〈こういう音楽もあるんだよ〉ということを伝えられたら。“You Told Me About These Days”に関しては本当に自分の趣味で作ったような曲です」

――なんとなくワイルド・ナッシングスっぽい雰囲気も感じました。

DAIKI「確かに、ワイルド・ナッシングスはけっこう好きで、影響を受けているかもしれないですね」

【参考音源】ワイルド・ナッシングス “Nocturne” パフォーマンス動画

 

――ドラムのリヴァーブがすごく80年代っぽい音で。

DAIKI「あれはミックスの際に、80sの音楽でよく使われるゲート・リヴァーブっていうエフェクトを使いました。イメージ通りで大正解でしたね」

――ちょっとスミス時代のジョニー・マーっぽいイントロのギターフレーズも素敵で。これもデモを作った段階である程度固まっていたんですか?

YO-HEY「これって2人で作ったんちゃう?」

DAIKI「途中で変わって、後から俺が作り直したフレーズをみんなに送ったんだ」

Tomoya「最初はもっと静かな感じだったよね」

――ちなみにTomoyaさんからアイデアを提案することもあるんですか?

Tomoya「ちょこちょこ考える部分はあるけど……やっぱりデモの段階ですごく完成度が高いので、それを超えるような自信があるとき以外はしないですね」

――“With White Thing”然り、デモ段階での完成度が高いんですね。次の“Sugarcane”は、ソングライティングの骨格がしっかりしているというか、弾き語りでもハマりそうな雰囲気で。また歌詞の話なのですが、“With White Thing”や“Sugarcane”を含めて、アルバム全体で歌詞のテーマに通底するものを感じました。

【参考音源】CURTISS “Sugarcane”のデモ音源

 

DAIKI「そうなんです。歌詞は英詞なんですが、僕はそれほど英語をしゃべれないので帰国子女のTomoyaと一緒に何時間も考えて。テーマとしては、矛盾を含んでいる表現だけど〈垢抜けない明るさ〉というか。明るく生きようとしてるけど、突き抜けきれないものだったり、切なさがテーマにありますね」

――おふたりは詞を作る際にストーリーテラー的な視点で作るのか、もしくは自分の感情や思想のようなものを込めて作るのか、簡単に二分するのは難しいですが、大まかに分けるとしたらどちらのタイプですか?

Tomoya「曲に拠るよね。“Sugarcane”に関しては曲に対するDAIKIのイメージが固まっていて、〈Sugarcane〉ってサトウキビなんですけど、サトウキビ畑で……みたいなイメージがあって、僕もそれを想像しながら作っていくんです。そうじゃなくて〈好きに書いてみなよ〉っていうケースもあるので、その場合は僕が書いて。それに関してはストーリーテラー的な作り方ではないですね」

――作詞のクレジットは、Tomoyaさん単独の場合とDAIKIさんとの連名のクレジットで使い分けられていますが、その使い分けってどういう基準なんですか?

DAIKI「単純にTomoyaに〈この曲の歌詞全部書いてみて〉って頼む場合と……」

Tomoya「翻訳としてやるかイチから作詞するかって違いですね」

――イチから作詞する場合はDAIKIさんからイメージをヒアリングして作るんですか?

Tomoya「そうですね。でもイメージを聞かずに自分の感覚で書くケースもあります」

――細かい話なんですが、コミュニケーションの部分で具体的にどんなやりとりをしているのかに興味があって。

Tomoya「わりと自由度高いよね」

DAIKI「ざっくりですね。例えば“You Told Me About These Days”は、僕がまず日本語で書いて、そこに当てはめるように書いてみてってお願いしたり」

Tomoya「そのあたりも含めて実験段階なんですよね」

――Tomoyaさんに質問なんですが、ドイツ文学がお好きということで。作家で言うとどのあたりですか?

Tomoya「確かにドイツ文学は好きですね。ヘルマン・ヘッセから入って、トーマス・マンを読んで…というふうに。まぁ、人並みに」

――それは作詞に反映されていたり……。

Tomoya「まったく活かせてないですね(笑)。そこがこれからの課題かもしれない」

――でもバンド内で作詞のチームを組んでいるのはユニークですよね。今後もいろんな可能性がありそうで楽しみです。次の“Burning Desire”は、打ち込みから生音にシフトしてきたCURTISSにとっては一番シンセ・ポップっぽいという部分で、作った時期は古かったりするのでしょうか?

DAIKI「実はアルバムのなかでは一番新しい曲なんです」

YO-HEY「レコーディングしながら作ってたぐらい新しい曲です」

DAIKI「“Burning Desire”はすぐに完成したんです。頭の中にテーマがあって、1975だったり少し前に流行ってたような軽快なギターリフを採り入れつつ、北欧っぽさをシンセで加えて。これが一番最近の曲ですね」

【参考動画】1975の2013年作『The 1975』収録曲“Heart Out”

 

――具体的なイメージがあったからこそ早かったと。そしてラスト・ナンバーが“Lonely Number”。歌詞の話ばかりで申し訳ないんですが、この曲だけ歌詞のトーンが少し違ったのでどうしてもその理由を訊きたくて。これまでの歌詞がわりと逃避的なスタンスを取っていたのに対して、“Lonely Number”では現実に立ち向かおうとしている姿が垣間見えました。

Tomoya「“Lonely Number”はレコーディングのときに途中で歌詞を変えたんです。それまで普通に就職してたんですけど、その頃ちょうど僕が仕事を辞めたタイミングで、すごくフラストレーションが溜まっていた時期で」

DAIKI「それってあの2行のことでしょ?」

Tomoya「そうそう。あの2行にすべて込めた(笑)」

――どこのラインですか?

Tomoya「〈When I talk about my dream/I tread on everything〉ってとこです。もともと〈Lonely〉っていう言葉の響きがすごく好きだったんですが、DAIKIから〈“Lonely Number”って曲名だよ〉って聴いたときに〈書けるな〉って思って、勢いで書き上げました」

――なるほど。“Lonely Number”をアルバムの最後に持ってきた意図はありますか?

DAIKI「CURTISSの音楽にはいろんなジャンルの要素が入ってるから、聴いた人は口の中でいろんな味がしてワケがわからなくなると思うんです。そんななかで最後に“Lonely Number”を持ってきた意図というのは、収録曲のなかで一番バンド・サウンドをメインにした曲でもあるので、自分たちが次にやろうとしてることの伏線っていう意味もある……っていうのは実はいま作りました(笑)」

――(笑)。僕の個人的な感想なんですが、自分がいまいる場所から逃げ出したいという想いが詰まった“With White Thing”に始まり、同じようなエモーションや世界観を貫きながらアルバムは進んで行くけど、最後に希望のようなものが垣間見えて、ミニ・アルバムではあるけどストーリー性をすごく感じたんです。

DAIKI「ありがとうございます。それ使わせてもらいます(笑)」

Tomoya「そういうふうに、聴いた人が自由に解釈してくれるのはすごく嬉しいですね」

――自分たちとして今回の『Four Doves』の手応えはどんな感じですか?

YO-HEY「いい意味で次に繋がりそうな仕上がりになってるし、最高じゃないですか?」

一同:(うなずく)

 左から、SHOZO、YO-HEY

 

――バンドのなかでは次のモードやテーマは具体的に見えているんですか?

DAIKI「『Four Doves』が色とりどりの世界だとしたら、次は一色だけの世界になりそうかな。自分のなかにはそんなイメージがありますね」

――リリース・パーティーが10月5日(月)に渋谷のMilkywayで開催されることが決まっていますね。音源での細やかなアレンジがライヴではどう再現されるのか楽しみです。

DAIKI「同期を入れてやるものもあれば、あえて削って生でやる部分もあるので、ライヴならではのアプローチを楽しんでもらえると思います」

――〈CURTISSは東京のバンド〉って言われたら違和感はありますか?

DAIKI「いやいや、そんなことないです。ずっと東京なんで」

――では〈東京のインディー・シーン〉っていう言い方したときにどんなイメージがありますか?

DAIKI「不満はないし素晴らしいと思うけど、別に興味はないかな」

――シンパシーを感じるアーティストもいない?

DAIKI「あまり影響を受けるような存在はいないですね」

――じゃあいまの東京のインディー・シーンと距離を感じてますか?

DAIKI「そうですね。ちなみにNiw!でレーベルメイトのYOUR ROMANCEとは同じ発売日でミニ・アルバム(『BUSINESS』)がリリースされるんですが、レーベルの人たちからは〈仲良くしてね!〉って(笑)」

【参考動画】YOUR ROMANCEの2015年作『BUSINESS』トレイラー

 

――そこはぜひ仲良くしていただいて(笑)。いままで自主企画のライヴなんかでつるんでたようなバンドもいないんですか?

DAIKI「今度のリリパにも出てくれるDATSかな。彼らが動き出した頃から一緒にライヴやったりしてましたね。あとハグレヤギか」

【参考動画】DATSの2015年作『DIVE』収録曲“Candy girl”

 

SHOZO「友達がいないですからね(笑)」

DAIKI「友達募集中です(笑)!」

 


 

〈CURTISS 『Four Doves』 RELEASE PARTY〉
日時/会場:10月5日(月) 東京・渋谷Milkyway
開場/開演:18:30/19:00
出演:
【LIVE】CURTISS、She Her Her Hers、DATS、Black Shower(オープニング・アクト)
【DJ】TOMMY(BOY)
チケット代:前売 2,000円/当日 2,500円(ドリンク代別)
チケット
■プレイガイド
0570-084-003 (Lコード: 73512)
イープラス http://eplus.jp
■Web / メール予約
jpn.curtiss@gmail.com / Milkyway web予約
INFO: Milkyway http://www.shibuyamilkyway.com/