ゴシックといってもさまざまで……THE MORTALに通じる闇を抱えた作品たち

BAUHAUS The sky's Gone Out Beggars Banquet(1982)

デカダンかつグラマラスなポスト・パンク・サウンドを鳴らした彼ら。本作はTHE MORTALがカヴァーした“Spirit”を収録した3作目で、ピーター・マーフィーの艶やかな歌声とダニエル・アッシュの攻撃的なギターが絡み合い、バンドの実験性とポップセンスが漆黒の闇のなかで融け合っている。 *村尾

 

 

DEAD CAN DANCE Dead Can Dance 4AD(1984)

80年代にゴス・バンドを次々と送り出したUKのレーベル、4AD。そこでコクトー・ツインズと並んで耽美なサウンドを奏でたのが、THE MORTALもその名を曲名に冠したデッド・カン・ダンスだ。デビュー作となる本作は、ギター・サウンドを全面に押し出したポスト・パンク色の強い仕上がり。 *村尾

 

 

SIOUXSIE & THE BANSHEES Tinderbox Polydor(1986)

ゴシック・パンクの女帝、スージー・スー率いる男女混合バンド。ミニ・アルバム『Spirit』でTHE MORTALが取り上げた“Cities In Dust”も聴ける本作は、ギター・サウンドにフォーカスした代表作だ。サイケなエフェクトが幻想的な彩りを加えるなか、スージーのヴォーカルの妖しい魅力が全開。 *村尾

 

 

THE SISTERS OF MERCY Floodland Merciful(1987)

〈キング・オブ・ゴス〉の2作目。ダークなムードを漂わせつつもダンサブルな本作にはベースでパトリシア・モリソンも参加。なお、その夫=デイヴ・バニヤンがヴォーカルを務めるダムドも当時はゴス路線に走っており、THE MORTALは今回、85年作『Phantasmagoria』から“Shadow Of Love”をカヴァー。 *村尾

 

 

MARILYN MANSON Antichrist Superstar Nothing/Interscope(1996)

反キリスト教を掲げた鋼鉄ゴシックの金字塔。特有のシアトリカルな振る舞いと共に黒々と噴出する闇、闇、闇……そんな負のエモーションの激しい発露は、THE MORTALにおける櫻井にも見られるもの。初期ポスト・パンク作品に着想を得たという『Born Villain』(2012年)もTHE MORTAL好きはぜひ! *土田

 

 

GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR F♯A♯∞ Constellation(1997)

カナダを代表するポスト・ロック・バンド。10人前後のメンバーで紡ぎ出す轟音と静寂を行き交うシンフォニックなインストは、シューゲイザーを通過したゴシック・ロックといった趣。黙示録的とも言えそうなサウンドスケープが広がる彼らの音は、THE MORTALと同種の闇の美学を感じさせる。 *村尾

 

 

TWO LONE SWORDSMEN From The Double Gone Chapel Warp(2004)

クラブ界隈からの暗黒ロック盤として、御大アンディ・ウェザーオールキース・テニスウッドの2人による本作を。大半が生の楽器演奏/歌という構成で、電子要素はごく控えめ。ポスト・パンク黎明期を踏襲したラフな音像がTHE MORTALと近しく、ダビーな音響が空間を埋める闇を強調している。 *土田

 

 

THE HORRORS Strange House Polydor(2007)

阿鼻叫喚のホラー・ガレージで彗星の如く登場した、2000年代半ばのネオ・ゴス・シーンの牽引役。その後はシューゲイザーを経由して徐々にサイケ化が進行していくが、THE MORTALにも通じるノーウェイヴ的なドライヴ感とドロリとした猟奇的な重さを堪能するなら、迷わずこの初作を。 *土田