©Jonathan Weiner

MEET ME@THE ALTAR
ポップ・パンクの未来がここにある!?

 〈ポップ・パンクの未来〉として紹介されることの多い彼女たちは、そのままフュエルド・バイ・ラーメン(以下FBR)の未来なのかもしれない。ミート・ミー・アット・ジ・アルターは、イーディス・ジョンソン(ヴォーカル)とテア・キャンベル(ギター/ベース)、エイダ・フアレス(ドラムス)のトライアングル。もともとYouTubeのカヴァー動画きっかけで繋がったテアとエイダが2015年に結成し、その後オーディションを通じてイーディスが2017年に加わったという(その際にイーディスが歌ったのはパラモア“All I Wanted”だそう)。以降はATLのアレックス・ガスカースらの絶賛もあって評判を広げ、2020年にFBRと契約。翌年には『Model Citizen EP』を発表している。

MEET ME @ THE ALTAR 『Past // Present // Future』 Fueled By Ramen(2023)

 そんな順調すぎる状況もあって〈業界のゴリ押し〉とネットで中傷されることも多いそうだが、そんなヘイターをディスった“Say It (To My Face)”で始まるのが初のフル・アルバム『Past // Present // Future』だ。往年のレフト・アイを思わせるカラフルさとピンクばりのタフな歌声を持つイーディスを軸に、楽観的でファニーな詞世界とタイトでヘヴィーな演奏がこのバンドの持ち味。ギター・リフがキャッチーなダンス・トラック“Thx 4 Nothin’”も含めて全編ポップな仕上がりが快く、今後の飛躍も期待できるだろう。 *轟ひろみ

 

©Jonathan Weiner

nothing,nowhere.
無二の個性を発揮するエモ・ラッパーの新作

 米ヴァーモント出身で92年生まれのラッパー/シンガー、ナッシング・ノーウェア。いまやデッドマウスやイレニアムとのコラボも経験し、スタンド・アトランティックの“deathwish”でも人気の彼だが、その表記やネーミングセンスからもわかるように(?)もともとはSoundCloudから登場してきた人で、ステレオタイプなサンクラ勢やエモ文化をパロったリル・トーフ名義など当初は複数の名前を併用していたようだ。

NOTHING,NOWHERE. 『VOID ETERNAL』 Fueled By Ramen(2023)

 そんななかでDCD2にフックアップされ、2018年にFBR入りを果たすとその頃に盛んだったいわゆるエモ・ラップの範疇で脚光を浴び、不安や苦痛を主題にした詞とダークなオルタナ・ポップ・サウンドで同世代の支持を集めてきた。2年ぶりの新作『VOID ETERNAL』は、ローナ・ショアのウィル・ラモスを迎えた“TRAG3DY”をはじめ、FOBのピート・ウェンツとの“CYAN1DE”などいつも以上にコラボ多め。激情度をアップした歌唱も相まって不穏な音世界が堪能できる一枚だ。 *大原かおり

ナッシング・ノーウェアの2021年作『Trauma Factory』(Fueled By Ramen)

 

WATERPARKS
ポストFOBから独自のポップな高みをめざす3人組バンド!

 昨年の“SELF-SABOTAGE”からフュエルド・バイ・ラーメンに移籍し、ブラックベアとの“FUCK ABOUT IT”などのシングルを届けてきたウォーターパークスは、2011年にヒューストンで結成された3人組。登場時にはポストFOBとも評されたバンドだけにFBR入りも納得だが、以前からオール・タイム・ロウの来日公演やONE OK ROCKの全米ツアーに帯同した経験もあり、ラーメン好きにはすでにお馴染みかもしれない。伝統的なエモ~パワー・ポップを出発点としつつ、多彩なポップ・スタイルを貪欲に取り込む柔軟さを武器にしてきた。

WATERPARKS 『INTELLECTUAL PROPERTY』 Fueled By Ramen(2023)

 ラーメンでの初作となる通算5枚目の『INTELLECTUAL PROPERTY』でもそんなバンドの姿勢はさらに強固に磨かれている。プロデューサーには3作連続でザック・セルヴィーニを起用。ドラムンベース風に疾走する冒頭の“St*rfucker”から歌声の加工やシンセを多用したダンサブルな楽曲が続き、エレクトロからアリーナ・ロック調まで全編がすこぶるキャッチー。華のあるフロントマン=アウスティン・ナイトの存在感を含め、もう一段上の成功も間近な期待株だ。 *轟ひろみ