COLUMN

小曽根真&チック・コリアがアコースティック・ピアノ・ジャズの神髄を披露! デュオでのジャパン・ツアー開催

Chick Corea(C)Toshi Sakurai/Chick Corea Productions 小曽根真(C)篠山紀信

 

アコースティック・ピアノ・ジャズの神髄を披露するデュオ・ツアー

 日米トップ・ピアニストによる、デュオ・ツアーがいよいよ実現する。小曽根真はプロ・キャリア初期の1980年代にチック・コリアから影響を受けると、やがて共演関係へと発展。96年の「パルテノン多摩 サマー・ライヴ」の野外ステージでは、《モーツァルト:2台のピアノのためのコンチェルト》を演奏し、これがきっかけとなってクラシックの猛勉強へと小曽根を駆り立てたのは、知る人ぞ知るエピソードだ。チックは84年にフリードリッヒ・グルダとの共同名義による同曲収録作を発表し、85年の《第1回トーキョー・ミュージック・ジョイ》ではキース・ジャレットと同曲を競演した実績があったわけで、ことクラシックに関してはチックに分があったと言えるだろう。その後の小曽根は2000年からクラシックの活動が顕著になり始め、ガーシュウィンショパンショスタコーヴィチ等をライヴで演奏。アメリカ、ドイツ、フランス等、海外での公演も次々に成功を重ね、現在に至っている。

小曽根真とニューヨーク・フィルハーモニックによるガーシュウィン“Rhapsody In Blue”

 

 二人はレコーディングでも信頼関係を深めてきた。小曽根のデビュー20周年記念作として2002年にリリースされた『トレジャー』には、チックとバークリー音大時代からの恩師であるゲイリー・バートンがゲスト参加した2曲を収める。そのうちの1曲はチックが書いた名曲《ラ・フィエスタ》で、これは小曽根が高校時代にレパートリーとし、アメリカ・デビュー時にカーネギーホールで演奏した、特別な曲でもあった。同作のブックレットで小曽根はチックとの共演について、次のように記している。「2台のピアノで演奏した時に『そう、それで良いんだよ』って音楽で包容され、安心し、少しずつ心が開いて行く。これも僕にとって初めての経験だった。録音が終わった直後に体の芯に何だかわからない、今までに感じた事のない熱があった。とても静かで、でも物凄いパワーを持っている熱が」。

 2011年3月に起きた東日本大震災を受けて、すぐにチャリティ・アルバムの制作に取り掛かったのが小曽根だった。5月にフロリダへ飛び、チックのスタジオに入って、そこに駆け付けたバートンとのトリオで《ブルー・ボッサ》をレコーディング。その様子を見守っていたチック夫人のゲイル・モラン(vo)が加わった《サマータイム》も録音されて、同年7月に『リヴ・アンド・レット・リヴ~ラヴ・フォー・ジャパン』としてリリースする、という早業は、彼らの厚い友情とボランティア精神なくして実現しなかったものと思える。ここで見逃せないのは三者の共演関係だ。チック&バートンは72年のデュオ初作が鮮烈な印象を与え、79年までの3タイトルを通じてピアノ&ヴィブラフォン・デュオの世界最高峰の評価を確立。これまでに7タイトルを発表してきた。師弟関係から始まったバートン&小曽根は、95年の第1弾を皮切りに、デュオ作を3枚制作。2002年の第2弾『ヴァーチュオーシ』はグラミー賞のノミネートに至っており、対等のパートナーシップを築いて久しい。

 チック&バートンは2012年作『ホット・ハウス』でジャズ・ナンバー、ビートルズ、ブラジル曲を採り上げて、新境地を示した。2013年末、小曽根にインタヴューする機会があり、その時に同作についてこのような考えを語ってくれた。「最近のチックは意識的にスタンダード・ナンバーを演奏していて、これはチックがジャズの原点に戻った作品。難しい決め事に挑戦するのではなく、既成の楽曲でも自分たちが演奏すれば自分たちのものだという考えが無意識のうちにある演奏、という印象です。スタンダードのアレンジにしても、何も余計な力が入っていなくて、お互いに楽しもうという気持ちでプレイしているのがわかります」。このコメントは「ピアノ・デュオ プレイズ・アコースティック」と題したチック&小曽根のツアーの行方を占う意味で、大きなヒントになるのではないだろうか。

 ハービー・ハンコックから上原ひろみまで、ピアノ・デュオの経験が豊富なチックと、塩谷哲(p)とのデュオを人気プロジェクトに育てた小曽根。期待と想像を膨らませながら、5月の公演を待ちたい。

チック・コリア&ゲイリー・バートンの2012年作『Hot House』収録曲“Hot House”

 


LIVE INFORMATION

チック・コリア&小曽根真 Japan Tour in 2016
ピアノ・デュオ プレイズ・アコースティック

○5/7(土)14:00 開演 会場:よこすか芸術劇場
○5/10(火)18:30 開演 会場:盛岡市民文化ホール
○5/18(水)19:00 開演 会場:長野市芸術館
○5/19(木)19:00 開演 会場:サントリーホール
○5/21(土)15:00 開演 会場:三原市芸術文化センター ポポロ
○5/22(日)15:00 開演 会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
○5/26(木)19:00 開演 会場:滋賀・守山市民ホール
○5/27(金)19:00 開演 会場:愛知芸術劇場 コンサートホール
○5/29(日)15:00 開演 会場:アクロス福岡 シンフォニーホール

NHK交響楽団定期演奏会
○5/14(土)18:00 開演
○5/15(日)15:00 開演
会場:NHKホール

チック・コリア ソロ公演
○5/8(日)16:00 開演 会場:みやまコンセール(霧島国際ホール)
○5/25(水)19:00 開演 会場:松本市音楽文化ホール ザ・ハーモニーホール
○5/31(火)19:00 開演 会場:高岡文化ホール
www.kajimotomusic.com/

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