人間性をさらしたバンドのドキュメンタリーを音楽に転じることで〈日常〉をレペゼン。この4人だけの温度感を持つオルタナティヴなサウンドが、いま高らかに鳴り響く!
俺たちの必殺技
The BONEZの新作は、まずそのアートワークが興味深い。JESSE(ヴォーカル/ギター)、NAKA(ギター)、T$UYO$HI(ベース)、ZAX(ドラムス)と、ジャケに初めてメンバーの顔が描かれている。The BONEZはこの4人が音楽を掻き鳴らしているんだぞ、と主張しているようだ。音楽の前に人間ありき、非日常の前に日常ありき――それを具現化した作品がこの『To a person that may save someone』(誰かを救えるであろう君へ)である。
「俺の親父(Char)は70年代を生きてきたから、ああいう音楽になるわけで。で、俺らは90年代をオンタイムで生きてきたから、スマッシング・パンプキンズの初来日公演に行けたり、リンプ・ビズキットが来日したときにBLOODY IMITATION SOCIETY(日本のミクスチャー・バンドの草分け的な存在)が前座をやったのを観てたりね。それに、俺は2000年代に(RIZEで)デビューしているから、P.O.D.と(シーンに登場した時代背景は)変わらないわけよ。今回のアルバムは、そんなふうにあたりまえに受けてきた刺激を出すこと、それと〈日常〉をレペゼンした作品にしようと。〈俺らの日常、ヤバくね?〉と言えるバンドになれたらいいなと」(JESSE)。
「レコーディングや曲作りも日常だし、歌録りも、JESSEの娘がヴォーカル・ブースに一緒にいる。それが普通なんだよね。デイヴ・グロールが初監督を務めたドキュメンタリー映画(2013年の『Sound City: Real To Reel』)を観たときに、The BONEZに近いものを感じて。メンバーが亡くなって、新しいバンドを始めたデイヴ・グロールからすごくエネルギーをもらえたし。そのドキュメンタリーで、デイヴが娘に誘われて一緒にプールで遊んでいる間に、ほかのメンバーはコーラスを録ったりしてるんですよ。その感じがカッコイイと。The BONEZの今回のアルバムの初回盤にもツアーのドキュメンタリー映像が付くんですけど、ただの人間ドラマなんですよ、そこにあるのは。ただ、観ればThe BONEZのことをよりわかってもらえると思うし、とにかく(自分たちが)楽しそうっていう(笑)」(T$UYO$HI)。
前回のミニ・アルバム『Beginning』収録の“Ray”は〈一条の光〉という曲名通り、一点に向かって猪突猛進に突き進むラウドなアレンジだった。だが、今作の冒頭を飾る表題曲は力強さと優しさを兼ね備え、リスナーを包み込むような曲調に仕上がっている。あきらかに前作とは何かが違う。
「写真ではベロを出してたりとか、JESSEはヤンチャなイメージがあるかもしれないけど、それだけじゃないから。人に頼られてるし、自分のことだけじゃなく、いつも誰かのことを世話してる。基本、JESSEは優しい。そういう、俺が知ってるメンバーの姿を音に出そうと。The BONEZの等身大というか、人間性が出てる曲を作りたくなった。表題曲はメンバー4人の色が一番出てると思う」(T$UYO$HI)。
〈日常〉に足を付け、自身の人間味をサウンドに落とし込む。今作はバンドに対する理解度がメンバー各々で深まり、加えて自分たちの個性がどこにあるのかを模索し続けた結果の産物なのかもしれない。
「俺たちの必殺技は何だろうと、ずっと考えてましたね。ほかのアーティストと対バンすることで、あいつらにはない部分が俺たちにはあるぞ、ってだんだん見えてきて。JESSEのポジティヴさ、ZAXの動物的なリズム、そこに若干、俺とNAKAのウジウジしたエモさが乗るみたいな(笑)。今回はこの4人が活きる曲作りを意識しました」(T$UYO$HI)。
前作のインタヴューの際、T$UYO$HIは〈RIZEとの差別化を図るため、JESSEの歌をもっと聴かせたい〉と発言していたが、今作ではJESSEがラップを解禁したことも大きなトピックだ。ラップと歌メロを自在に往来するヴォーカルのアプローチは、彼特有の必殺技と言っていい。
「いまの俺のラップや歌い方が一番ナチュラルだし、アコギを渡されても同じように歌えるからね。そういうものが作れたことで、ものすごく自信に繋がった。“1905”のグランジっぽさなんて、そういう曲は昔から好きなんだけど、ちゃんとやれたことがなくて。今回フッとやってみたら、自分でも大好きな曲が出来ちゃった」(JESSE)。
〈日常〉というものの凄さ
また、“Paper crane”は和的なギター・フレーズがおもしろく、従来のバンド・カラーとはちょっと異なるキャッチーな魅力を放っている。歌詞では〈KAMIDANOMI〉〈OMOTENASHI〉と日本語を入れた遊び心もいいフックになっている。
「その曲は、バンドで合宿に行ったときに、NAKAが最初にベースで弾き出したんですよ。それからパート・チェンジして作ったものですね。歌詞が入ったことで、さらに〈和〉っぽさに拍車をかけたと思う。俺の解釈だと、NAKAのレッド・ホット・チリ・ペッパーズ好きが出た印象ですね」(T$UYO$HI)。
砂煙を撒き散らして突っ走るような、Hiro Fujitaをフィーチャーした熱きロック・チューン“Revolution”から、静かに腰を据えてじっくり語りかけてくるような“Waking up”まで、『To a person that may save someone』には多彩な楽曲が収録されている。とはいえ、どんなアレンジであれ胸にスッと飛び込んでくるという点が共通。もっと言えば、一曲一曲から人間の体温が感じられ、その温度の違いが楽曲に豊かな表情を生んでいる。
「それは嬉しいですね。アッパーな曲も好きだし、聴かせる曲も好きなんだけど、今回は、その流れを楽しめるアルバムだと思うんですよ。The BONEZはわかりやすくカテゴライズできない人たちだと思うから、それも自然に出てるんじゃないかな。このアルバムは、音質も無機質じゃないんだよね。立体感があるし、〈こういう音質にしたい〉と思っていたものがやっと出来た。メンバーだけではなく、エンジニアを含めて、いろんな歯車が噛み合ってきた感じはありますね」(T$UYO$HI)。
新作のキーワードとなり、取材中もメンバーの口からたびたび出てきた〈日常〉という言葉。そこに意識が向いたのは、人間関係について歌った先行曲“Friends”の存在が大きい。
「この曲を書いてるときに、メンバー間がギクシャクしてたんですよ。〈こういうことを言ったら、どう思われるのかな?〉とか、お互いに気を遣ってて。だけど、それが俺たちの関係性をジャマしていたのかなと。伝えたいことがあるなら言えばいいじゃん、話せばいいじゃんって。この曲でピュアなものをブワーッと出せた気がする。だから、ほかの曲たちも背伸びせずに書けたのかなと。この曲のおかげで、〈日常〉というものの凄さに気付けたんですよね」(JESSE)。
The BONEZ TOUR 2016 「TO A PERSON THAT MAY SAVE SOMEONE」開催!
日程/会場:
5月6日(金)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
5月7日(土)岡山・IMAGE
5月12日(木)広島・cave-be
5月13日(金)福岡・Drum Be-1
5月15日(日)香川・高松 DIME
5月20日(金)新潟・CLUB RIVERST
6月3日(金)宮城・仙台 darwin
6月5日(日)北海道・札幌 BESSIE HALL
6月10日(金)愛知・名古屋 E.L.L
7月15日(金)東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST
The BONEZが始動してから現在までのバンドとメンバーの歩みを振り返ってみよう
JESSEによる初のソロ・アルバム。震災後にリリースされた作品ゆえ、表題には〈日本がんばれ!〉という意味が込められている。オーディションで選んだZUZU(ギター)と2人で制作した本作は、ヒップホップ~R&Bのテイストも含むヴァラエティー豊かなサウンドを揃えているものの、根底にはオルタナの血が滾る沸騰チューンばかり。父Charの“Stand”のカヴァーも収録。 *荒金
お茶の間でも人気のシンガーによる、マドンナ風のジャケもインパクト大なセルフ・カヴァー・ベストの第2弾。KEN HARADAの編曲でブロステップ風に転生した“IMITATION CRIME”にJESSEが助太刀しており、ピークタイムへ登り詰める寸前の昂揚感をラップで後押し。 *土田
ラウド勢と親交の深いストリート・ブランド監修のコンピに、T$UYO$HIとZAXが所属するPay money To my Painは“Weight of my pride”のライヴ音源を提供。JESSE AND THE BONEZ『Stand Up』収録の“ACCESS VIOLATION”の別ミックス版も聴くことができる。 *土田
山嵐のベーシスト、TAKESHIのソロ・ユニットの第2弾には、ヒップホップやレゲエ、ロック界から多彩な面々が参加。“F”にはJESSEとRYUZOが招聘され、エレクトロニック色の強いアゲアゲのトラックに、JESSEは血が騒ぐようなキレのあるラップを乗せている。 *荒金
ソーシャルゲーム〈すばらしきこのせかい LIVE Remix〉の使用楽曲やリミックス/ライヴ音源を集めた一枚にT$UYO$HIが登板。“Calling”を浮遊感もあるノイジーなダブステップに、“Twister”をグラマラスなエレポップに改編している。また、ZAXと共にライヴ・バンドの一員として演奏にも参加。 *土田
K(ヴォーカル)の急逝を受け、ラスト作となったこの4作目にはKが歌録りを終えていた7曲に加え、ラウド界隈で交流の深かった面々をゲスト・ヴォーカルに招いて4曲を収録している。流麗な長尺のギター・ソロに胸を締め付けられる“Illumination”では、JESSEがエモーショナルな歌声を存分に発揮。 *荒金

GICODE時代からJESSEとはたびたび共演しているラッパーの最新作。DOC-DEEの全プロデュースによる本作の“INSECURE”に、JESSEはトークボクサーのsequickと共にフィーチャー。スムースなメロウネスを湛えたグルーヴのなか、レイドバックしたムードで言葉を紡いでいる。 *土田
ソロからバンド体制に切り替わったセカンド・アルバム。JESSEの脇を固めるのは、PTPのT$UYO$HIとZAX、そして、本作をもって脱退したZUZU。バンド名の通り、骨太かつ大陸的なスケール感を放つ曲調が特徴的。JESSEはラップする一方で、歌心溢れるメロディーメイカーとしての資質を開花させ、RIZEとは一線を画す魅力をアピールしている。ラストの“Sun forever”はKに捧げた楽曲。 *荒金

京都の顔役MCのメジャー移籍作に参戦したJESSEは、風通しの良いエンディングを飾る理貴製の“Good Day”で主役とデュエット。歌寄りのメロディーラインに合わせてJESSEがギターを弾き、ヴォーカル録りを行ったそうだが、現場のリラックスした空気が目に浮かぶよう。 *土田
OBLIVON DUST/ATOM ON SPHEREのKEN LLOYDによるソロ・ユニット。会場限定EP群をまとめた本作は、シンセや電子要素を多用した曲からノイジーなギターが唸るナンバーまでさまざまだが、総じてグルーヴィーな出来。ここではT$UYO$HIがそのボトムを支えている。 *土田
T$UYO$HIとZAXのほか、CyntiaのYUIも名を連ねる〈すばらしきこのせかい〉から派生したバンド・プロジェクト。その初作には、ダークでパンキッシュな“TWEWY”や挑発的な電子ロック“Strange days”といったT$UYO$HIの書き下ろし曲も。 *土田
前作の完成直後に電撃加入したNAKAがレコーディングから初参加し、現在の4人でスタートを切ったミニ・アルバム。冒頭曲“Ray”からポジティヴなヴァイブ全開の豪快なロック・サウンドを叩き付ける。ラウドな腕力を見せながら、JESSEはさらに歌メロに寄ったアプローチを試みた、挑戦的な一枚だ。NAKAの作曲によるグランジ風味の“Hello Monster”を筆頭に、各楽曲のヴェクトルも明確になった充実作。 *荒金
還暦を機に、〈十二支〉をテーマに12組のアーティストから楽曲提供/プロデュースを受けた記念盤。二人きりの楽器演奏に乗せ、円熟したCharの歌とJESSEのハーモニーが寄り添う“I'm Just Like You”からは親子の関係性が透けて見えるようで、その温かな音の交歓が胸に迫る。 *土田
メロコアに止まらず、ジャンルを越境する4人組の7枚目のアルバム。本作ではラッパーのZeebraに加え、“We Sing Everyday for Hometown”ではJESSEをフィーチャー。アコギを用いたポップな曲調で、彼は英語と日本語を自在に操るラップを披露している。 *荒金
最新作にあたるミニ・アルバム。MVも制作された表題曲はJESSEとの初コラボ曲で、これがNAMBA69らしい胸をすくようなメロディック・チューン。JESSEのラップ・パートもたっぷりあり、難波章浩との掛け合いもカッコイイ。両者がガッチリと噛み合っている。 *荒金

DJ RYOW、JAZEE MINORや下拓、はMC兼トラックメイカーのStaxx Tから成るデュオ。その最新作にもJESSEが招かれたまた塩ノ谷早耶香への客演など外部仕事も行う女性シンガー・ソングライターのMinamiと男性、TeddyLoidがトラックを寄せたダーティーなトラップ・チューン“HANPANAI”において猛々しいラップ合戦を繰り広げている。*土田













