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スリー・ディグリーズの作品をおさらい!

THE THREE DEGREES Maybe Roulette/BBR(1970)

ルーレットからの初アルバム。リチャード・バレットの制作で、J・ディラもネタ使いした表題曲など、同時期のエモーションズに通じるゴスペル・フィーリングを剥き出しにした無骨さが耳を打つ。カヴァーも多く、スライ作のリトル・シスター“You're The One”はラップ(!)も含め後のシークエンスを思わせる。UKの復刻CDには、75年にルーレットがシングルなどを集めて出した『So Much Love』を丸ごと収録。

 

THE THREE DEGREES The Three Degrees Philadelphia International(1973)

PIR第1弾で、フィリー・ソウル屈指の名作。代表曲となった“When Will I See You Again”や力強いユニゾン歌唱で攻める“Dirty Ol' Man”といったギャンブル&ハフ作のナンバーも逸品ながら、バニー・シグラーらが書いた“I Didn't Know”やジョセフ・ジェファーソンらが書いた“I Like Being A Woman”などのミディアム・アップも実に粋だ。UKで人気のバラード“If & When”は近年ソウルフィンガーがリメイク。

 

THE THREE DEGREES International Philadelphia International/BBR(1975)

PIR第2弾は、ギャンブル&ハフ作のフィリー・ダンサー“Get Your Love Back”やマーヴィン・ゲイ“Distant Lover”のエレガントなカヴァーを披露。当時先行リリースされた日本盤にはフランス語やスペイン語で歌われた曲のほか、筒美京平×安井かずみ作の日本語曲“にがい涙”や細野晴臣×松本隆の“ミッドナイト・トレイン”といった和製フィリー・ソウルも収録(現行リイシューにもボーナス追加)。

 

THE THREE DEGREES Standing Up For Love Epic(1977)

メンバー交代でヘレン・スコットが復帰し、恩人リチャード・バレット及びリチャード・ロームによって制作されたエピック移籍作。PIR時代と同じシグマ録音でMFSBの面々が関与するも、今作はボズ・スキャッグス曲カヴァーを含めてバラードの比率が高い。一方で表題曲のようなゴージャスなファンキー・ディスコやヴァレリーが力唱するフィリー・ダンサーはPIR流儀で迫る。再発盤には日本制作の曲も追加。

 

THE THREE DEGREES New Dimensions Ariola(1978)

プロデューサーにジョルジオ・モロダーを起用したアリオラ第1弾。大半がモロダーとピート・ベロッテの共作となるミュンヘン・ディスコ仕様で、シーラ・ファーガソンがペンを交えてこの時期の代表曲となった“The Runner”など、ドナ・サマーがコーラス付きで畳み掛けてくるような賑々しさだ。そんななか、“Magic In The Air”はPIR時代を意識したような作りのミディアムで、従来のファンを安心させる。

 

THE THREE DEGREES Three D Ariola(1979)

アリオラ第2弾もモロダーとのタッグで、制作はハロルド・フォルターメイヤーとの連名。電子ディスコな“Jump The Gun”を筆頭に、ユーロ~テクノ路線で突っ走る前半にはバナナラマの先駆けとでも言いたい曲が並ぶ。が、“Starlight”はアース・ウィンド&ファイア版の“Can't Hide Love”を思わせるスロウ・バラード。ポップな名曲“My Simple Heart”ではかつてのチャーミングさが蘇る。