©2016 TOHO CO.,LTD.

特撮映画の最強シリーズ最新作、庵野秀明「シン・ゴジラ」公開を祝して!

 日本版ゴジラが14年の時を経て復活のニュースは、文字通り〈特報〉としてマスコミでも取りあげられた。タイトルは「シン・ゴジラ」。監督が「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明ということに驚いた方も多いはずだ。だが同時に納得もした。庵野秀明が〈館長〉を務めたゴジラやウルトラマンといった日本の特撮技術を集めた2012年の展覧会〈特撮博物館〉の開催。また、展覧会に合わせて撮られた短編「巨神兵東京に現る」(後に、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と同時上映されてご覧になった方も多いだろう)。更に言えば、新作にも参加している盟友樋口真嗣の平成ガメラ・シリーズの成功がある。特撮映画の最強シリーズを、今日本で撮るならば、庵野秀明しかいないのではないか。

本多猪四郎, 宝田明 『ゴジラ(昭和29年度作品)』 東宝(2016)

 「ゴジラ」シリーズは、ハリウッド版ゴジラ2作を含め全30タイトル。この全30タイトルが「シン・ゴジラ」の公開に先駆けて、価格は据え置きされお求めやすいDVD廉価版で一挙リリースされた。ジャケットも、デザインを一新。レア・カットを使用したモノトーン・デザインの〈シン・パーッケージ〉。封入特典で各タイトルの名場面を使用したポストカードが、更に初回封入特典で「シン・ゴジラ」ロゴ・ステッカーまで入る。

 何より、バラエティに富んだ「ゴジラ」シリーズそのものの魅力に尽きるだろう。太平洋戦争の記憶の色濃い1作目から、怪獣アベンジャーズともいうべき「怪獣総進撃」、サイケデリックな「ゴジラ対ヘドラ」、有名な〈シェー〉をするゴジラ(「怪獣大戦争」)まである。ひとつ言えるのは、「ゴジラ」シリーズは常に製作された時代のリアリティーとともにあったということだ。それはその当時の観客の〈記憶〉と密接に結びついているだろう。

 では、庵野秀明「シン・ゴジラ」が映し出す私たちの〈記憶〉とは何か。シリーズを予習しつつ、7月29日の公開を心して待とうではないか。

 


MOVIE INFORMATION
「シン・ゴジラ」
脚本・総監督:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣  
准監督・特技統括:尾上克郎
出演:長谷川博己/竹野内豊/石原さとみ
2016年7月29日全国東宝系にて公開
https://shin-godzilla.jp/