同時進行していたPE'Zが解散したことで(一応〈別人格〉という設定だったが)、ライヴの数も一気に増加。飛躍的に高まった演奏の一体感が、これまで以上にアグレッシヴかつ遊び心溢れるスタイルに結実した3作目。H ZETT Mの得意技――リフともメロディーともつかない音符の連なりをパーカッシヴでありながら流麗、さらにはダイナミックに弾きまくる鍵盤を中心としつつ、ラテン・ハウス調の“Dancing in the mood”、ファンクでヒップホップなムードの“MESHI-episode 2-”、マーチング・バンドのように勇ましい“夢と希望のパレード”、もはや何のリズムか判定不能な狂騒ポップ“Next Step”など、多彩なアイデアでがっちり支えるドラムとベースも頼もしい。アッパーに攻める曲が多いなか、H ZETT Mの初ソロ作に収録されていた名バラードの再演“Den-en”、PE'Zへのオマージュ“晴天-Hale Sola-”といった味わい深いメロディーが胸に沁みる楽曲が要所を締める。プログレッシヴ・ピアノ・ポップの逸品と呼ぼう。