H ZETT M & H ZETTRIO
超絶技巧があってこその親しみやすさ。鍵盤でエンターテインする鬼才の2作品が登場!

H ZETT M 『記憶の至福の中に漂う音楽』 apart.RECORDS(2021)

 ピアニスト/エンターテイナー/音楽家と称するH ZETT Mの関連作品が2枚リリースされる。まずH ZETT M名義の『記憶の至福の中に漂う音楽』は、スティーヴ・ライヒやニック・ベルチュにも通じるミニマル・ミュージックや、ラヴェルやドビュッシーのピアノ曲からの滋養を吸収しつつ、ダイナミックで躍動感溢れるサウンドを展開。2枚組で全26曲という大ヴォリュームだが、聴くたびに新たな発見がある。

 

H ZETTRIO 『SPEED MUSIC ソクドノオンガク vol. 5』 World apart/FABTONE(2021)

 また、リーダー・バンドであるH ZETTRIOのほうも新作『SPEED MUSIC ソクドノオンガク vol.5』を発表。こちらは日本国内の〈時代を超えた名曲〉をカヴァーした作品で、“Get Wild”“私がオバさんになっても”“部屋とYシャツと私”などを収録。いずれもポップスとしての強度は残しつつも、原曲の和声感覚を巧みにアップデートしたような演奏が並ぶ。2作品に通底するのは、超絶的な技巧があってこそ成り立つポップさと親しみやすさ。彼の音楽的地肩の強さに改めて感服させられた。