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SCHOOLBOY Q
TDEきってのギャングスタが不気味な強さを纏って再臨!

 

 ケンドリック・ラマーを擁するブラック・ヒッピーにおいて、彼に負けじとコンスタントに作品を届けているバッド・キッド。独特のサグい風情で仲間たちとも一味違う個性と深みを見せてきたスクールボーイQが、 全米No.1に輝いたメジャー・デビュー作『Oxymoron』から2年を経て、待望のニュー・アルバム『Blank Face LP』をリリースした。惜しくも連続No.1は逃したものの(R&B/ヒップホップ・チャートでは首位)、すでに順調な支持と共に高い評価を集め ているところだろう。

SCHOOLBOY Q Blank Face LP Top Dawg/Interscope(2016)

 ハードコアというよりはハードボイルドともいうべき情緒が今回も全体を不明瞭に支配し、そこにカニエ・ウェストをフィーチャーした先行ヒット“THat Part”などのモダンな新奇性を持ち込むバランスの良さは前作以上。そこはA&Rとしても関与したケンドリックの貢献もあるのかもしれないが、持ち前のフロウでじっくり曲の世界に引き込んでいくQの何とも言えない佇まいは流石だ。お抱えのサウンウェイヴによるビートもヤバいヴィンス・ステイプルズとの“Ride Out”が超ストロングでブッ飛ばされるほか、アンダーソン・パックデム・ジョインツキャンディス・ピレイらの出番には『Compton』以降のフィーリングも感じられる。また、前作におけるコラプトとのコラボ“The Purge”にも絡んだタイラー・ザ・クリエイターが、今回はダズ&コラプトのドッグ・パウンドを迎えた軽やかなギャングスタ・ウォーク“Big Body”を仕掛けているのも実にオヤG泣かせ。疑いなく現行ギャングスタ・ラップの最高峰を更新する傑作だ。