先日、川崎であった〈BAYCAMP〉というフェスの帰り、レンタカーから角松敏生氏の曲が流れてきて、やはり神奈川県のラジオは関西と違ってこういうのを流してくれるのか……嬉しい……と工業地帯を見ながら思いました、tofubeatsです。当連載も長くなったもので、過去の紹介盤一覧なんかを作っているとわりと邦楽少ないな!ということで、今回はリイシューの和モノ縛りです。

佐藤博 『フューチャー・ファイル+1』 アルファ/ソニー(1987)

打ち込みの神といえば佐藤氏。一方でピアノも超絶技巧という凄さですが、そんな氏のアルバムが復刻。『アウェイクニング』のほうがベタですし、こちらのドラムの打ち込みも衝撃的にすごいですが、コチラは個人的にずっと欲しかった角松敏生氏による“Sweet Inspiration -Extended Power Club Mix-”がCD初収録。本当にありがとうございます。佐藤氏の精緻な楽曲を清く正しくパワーでネジ伏せているのが爽快。原曲ありきのナイスエディットです。やっぱリミックスはこうでなくちゃと思います。

ピチカート・ファイヴ 『カップルズ』 ソニー(1987)

共に名盤『ベリッシマ』と同時にリイシュー。こういう良いアルバムがスルッと復刻される面もあるので日本の音楽業界は謎です。しかしなんとなく流していてこんなにも贅沢な気分になれるアルバムはそう無いです。“皆笑った”でも歌っているように〈もう若くない〉というのがテーマだった模様ですが、当時の小西さんは28歳……。30代でも若手芸人と呼ばれる時代、大人になるのについ二の足を踏んでしまいがちなんですが、大人になっていいんだよ、と背中を押してくれる気がします。

キリンジ 『3[Analog]』 ワーナー(2000)

いまや6人組ですがワーナー時代の諸作がレコードで再発。堀込高樹氏のいまのアー写が私のものと微妙に要素がカブってるという報告を受けますが他意はありません(笑)。そんな私は先日、オフィスで本作のサンプル盤がないか血眼で探しておりました。結果は見つからずでしたが……。ヴォーカル力も進行力もこれの1%くらいしか持ち合わせていませんが、こういう洒脱な存在に憧れます。カラッとしているのに恐怖さえ感じる奥行きは毎度魅力的。サラッと“エイリアンズ”のインストがボーナス収録されていますよ……。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。G.RINAやSALU、℃-ute、SMAP、矢野顕子、スカイラー・スペンス、ライアン・ヘムズワースらの楽曲を手掛け、自身の『POSITIVE』とリミックス盤『POSITIVE REMIXES』(UnBORDE)も好評リリース中! 10月開始のTVアニメ「クラシカロイド」ではモーツァルト役の音楽プロデュースを担当しています。他にも解禁待ちのあれこれが控えているという噂なので、最新情報は〈https://tofubeats.persona.co/〉で確認を!