コンパスが描く円のなかで結び付く音楽と日常、そして人と人との縁――。聴き手の生活にふと入り込んで心を解く、たおやかでエモーショナルな新作がついに到着!
メロディアスでジャジーなサウンドと、流麗かつ丁寧なビート構築で、日本のみならず海外からの評価も高いDJ OKAWARI。ZORN“My life”(2015年)のプロデュースをキッカケに、DJ OKAWARIと同じく静岡を地場に活動するY.A.Sや、「フリースタイルダンジョン」にも登場したGADOROなどの日本語ラップ勢にも楽曲提供を展開し、その活動の幅を広げている。
「そんなつもりはまったくなかったんですが、〈僕は日本語ラップへのトラック提供はしない〉という噂があったようで、ZORN君にトラック提供してからは急にオファーが増えましたね。日本語はよりダイレクトに伝わりやすい感触があるので、トラックを提供する/プロデュースをする際も、リリックの聴こえ方は大事にしています」。
そういった動きはありつつ、ソロ・アルバムとしては2011年作『Kaleidoscope』以降、リリースから遠ざかっていた彼。
「制作は変わりなく常にしていたんですが、前作からだいぶ時間が経ち、多くの方から〈リリースはまだか〉とメッセージをいただいていましたので、期待以上のものをお届けしたいという良い意味でのプレッシャーはありました」。
その意味でも待望となるニュー・アルバムが到着。名付けられたタイトルは『Compass』だ。
「円(縁)を描くコンパスによって、聴いてくださる方の気持ちが丸くなり、いろいろな人たちを繋ぐような……そんなイメージのアルバムだと思います。僕はアルバムの制作に入ると最初にタイトルを決めるんですが、前作からの間には上海での初の海外単独公演があって、そこでも温かく迎えてもらって、音楽を通じて世界中の方と繋がっていることを強く感じたんですね。その経験からも、このアルバムが〈円(縁)を描くものになってほしい〉という想いを込めました」。
それは先行曲となる“Yours”が「家族、友人、すべての人たちに向けた感謝」というイメージで作られたということからも窺えるだろう。そうして完成した本作は、ソロ作品としては初のラッパーとのコラボであり、彼が「ずっと好きだった」と話すタリブ・クウェリを迎えた“Bounce”で開幕。さらに、エミ・マイヤー、ジョヴァンカ、エミリー・スタイラー、ブリタニー・キャンベルといった客演陣も作品に華を添える。
「5年ぶりなので強いインパクトを、と意識していたなかで、1曲目はタリブとの“Bounce”かなと、自然と出てきましたね。エミ・マイヤーさんとジョヴァンカさんは面識はなかったですが、僕自身がリスナーとして好きだったのでお願いしました。ブリタニー・キャンベルさんは前作『Kaleidoscope』にも参加してもらっていて、〈こんな曲を作りたい〉と考えたときに、すぐに浮かんで。エミリー・スタイラーさんは、アルバム『My Primal Antitheses』(2015年)を聴く機会があって、カッコイイなと思ってお願いしました」。
インスト曲/ヴォーカル曲を問わず、DJ OKAWARIの音楽はエモーショナルでありながら決して押しつけがましくなく、オーディナリーな生活のなかにフッと流れ込んで心を軽くするような面がある。そして、その点は今回のアルバムにも通底。それは彼がモットーとしている〈音楽と日常の共存〉にも繋がるものだろう。
「僕自身、普通に仕事をしながら音楽活動をしていますが、そのどちらも切り離すことのできるものではなくて、すべてが生活のサイクルとして繋がっているように思います。だからこそ〈音楽と日常の共存〉を常に意識していますし、それが自然と作品に表れているような気がします」。
楽曲提供も含め、新たなアプローチを展開していきたいと話すDJ OKAWARI。そんな彼の今後は……?
「海外、特に中国と韓国からツアーの話があるので、今作を引っ提げてツアーしたいなと思ってますね。公開を待っているワークもありますので、オフィシャルサイトやSNSでの発表を楽しみにしていただければ嬉しいです」。
『Compass』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
DJ OKAWARIが参加したコンピを紹介。