ケレラやドーン・リチャードをミューズにナイト・スラッグス軍団のR&B攻勢を仕掛けたフィクサーが温めてきたオリジナル・アルバムは、先行で切られたシド参加曲“Nothin”のオリジナル/クラブ・ミックスの2ヴァージョン収録が物語るように、これまでのキャリアを包括した一枚となっている。むろんSZAとの相性は抜群で、ナジー・ダニエルズの1ヴァースを執拗にリフレインする“Each & Every Day”や、シャカーのアトランティックな歌唱を無重力へ放り込んだ“Breathless”など全体的にキックを抜いたプロダクションを追求した歌モノがどれも良い。ピークタイムの陶酔感を無限にストレッチするかのようなドロップが続く“Nurtureworld”など、インストにもどっぷり浸れる盤石の一枚でふ。