ドレイクとの歴史に残るビーフとそこから生まれた“Not Like Us”のビッグ・ヒットで2024年の話題をかっさらったケンドリック・ラマーが、自身のレーベルであるPGラングから年末にサプライズ・リリースした約3年ぶりの新作がCD化された。その“Not Like Us”(アルバムには未収録)で手を組んだマスタードや盟友とも言えるサウンウェイヴらを制作陣に伴ってストリート~フッドにケンドリックがカムバックし、冒頭の“wacced out murals”からドレイクだけでなく不穏な動きを見せる同業者たちも牽制。“squabble up”ではデビー・デブの名曲をサンプリングしてエレクトロ~Gファンク風味に仕上げてコンプトン~ウェストコースト・ヒップホップの威信をかけている趣きもあり。
また、好意的にネームドロップしたナズの名曲“One Mic”からインスパイアされた“man at the garden”、故2パックの楽曲を下敷きにして2パックが憑依したようなフロウを披露する“reincarnated”では両者への敬意を窺わせる。客演にはSZAや同郷のロディ・リッチを招きつつ、表題曲を筆頭に西海岸のアンダーグラウンドな面々をゲストで多数フックアップしているのも熱いし、お馴染み〈Heart〉シリーズの最新となる第6弾ではSWV“Use Your Heart”を引用したメロウなトラックをバックに古巣TDEやかつての同胞についてエモーショナルに綴っているのも泣ける。