INTERVIEW

Uru“しあわせの詩” 柔らかな温もりの地平へ―「フランケンシュタインの恋」挿入歌含む新シングルが運ぶ、かけがえのない幸せ

Uru“しあわせの詩” 柔らかな温もりの地平へ―「フランケンシュタインの恋」挿入歌含む新シングルが運ぶ、かけがえのない幸せ

かけがえのないしあわせを歌う彼女の詩が響く時、それは私たちのかけがえのないしあわせになる――凛とした神秘的な始まりから、柔らかな温もりの地平へ。そう、今度のUruはもっと優しい。

 

生きているっていうこと

 ライヴもまだ限られた都市、限られた数のみ(いずれもホール公演だが)。その素顔などヴェールに包まれた部分をたくさん残しながらも、聴き手の心を潤す情感豊かな歌声で、静かながら着実に、聴かれるべき人たちの心にしっかりとその歌を届けてきたシンガー、Uru。自身のYouTubeチャンネルで披露していた邦楽のカヴァーが多くのリスナーの耳に留まり、デビューのきっかけをつかんだ彼女。デビュー後はオリジナル楽曲を通してその歌声を響かせ、作品を重ねるごとに持ち前の魅力に輝きを加えていった彼女。デビューからちょうど一年、ここにニュー・シングル“しあわせの詩”を届けてくれた。

――毎回、取材の際は直近で行われたライヴの感想から伺わせていただいてましたけど、今回は5月27日の福岡公演前の取材になりましたので……最近、身の回りで起きたことや日常生活のなかでのトピックなどから伺おうかと。

「そうですねえ……最近、散歩にはまってます」

――日和も良い季節ですし。

「はい。散歩は、音楽を聴いてるときもありますし、音楽なしでぶらっと歩いてるときもあって。このあいだ、気分が良くてスキップ……誰も見てないだろうなあって思ってしてみたら、植え込みの陰に誰かいて、ちょっと恥ずかしい思いをしました(笑)」

――(笑)。散歩のときは完全にオフモードなんですか? 例えば、散歩しながら創作のアイデアを練るとかっていうわけでもなく。

「そう……ですね、ほぼオフの状態です。歩きながら〈こんな道があったんだ!〉みたいな発見をしたり、ビルとビルの谷間に咲いてる花にお水をあげている方がいて、ここは雨が降っても当たらないから、花が咲いてるのはお水をあげてる人がいるからなんだとわかって、心がぽっと温かくなったり」

――歩いてると、普段見過ごしがちなものを発見することが多々ありますよね。間接的に創作に影響を及ぼすこともありそうです。

「そうですね、そうだと思います」

Uru しあわせの詩 ソニー(2017)

――新しいシングル“しあわせの詩”は、この曲が挿入歌になったTVドラマ「フランケンシュタインの恋」のストーリーありきで書かれた詞ということではありますけど、日常のささやかな幸せみたいなものが歌われている部分は、散歩のときに見ている風景の流れや視点といったものと繋がっているようにも思えます。

「主人公の怪物がずっと棲んでいた森の中から初めて人間の世界に入っていったとき、見るものすべてが新しく映った――ドラマの台本を読んだとき、住む場所があって、目が覚めると同じ風景があって、何を着ようか迷うぐらい服があって、何を食べようか迷うぐらい食べ物があってという、普通のこと、あたりまえのことがすごく大事なんじゃないかって、そう思ったんです。あと、サビで歌っている〈歩けば足音が心地よくて〉っていうのは、私、小さい頃から人の歩く音がすごく好きで。歩いているっていうのは、〈ここにいる〉っていう存在を示す音、つまりは生きているっていうことであって、そこに対しての〈しあわせ〉という意味も含んでます」

――この曲では、Uruさんの歌い方にも変化が感じられました。ちょっと語りかける感じというか、やさしく穏やかな感じというか。

「はい。これまでリリースした曲はバラードが多かったんですけど、“しあわせの詩”は温かい感じを強調したくって、レコーディングではいつも立って歌っていたんですが、今回はイスに座って、リラックスして、微笑むように歌ったんです」

 

自分で言うのもなんですけど

――で、今回もカップリング含めてUruさんの魅力を欲ばりなぐらい見せている3曲になっていて、まずはご自身で作詞作曲された“いい男”。昨日終わった恋を振り返っている男性目線の曲ですよね。

「そうなんです。男性のほうは、格好悪いところ、相手から足りないなって思われるようなところがいくつか思い当たってはいたんだけど、やっぱり向こうから別れを告げられちゃったなあっていう。女性のほうに好きな人ができちゃったパターンなんですけど、最後は泣かずに格好良く〈幸せになれよ〉って言える、別れた相手に対して〈いい男〉で終わりたいっていう願望の歌なんですね」

――こういう歌詞は、たとえば友達が経験をしたことを聞いたとか、そういうところからストーリーを膨らませてたりする?

「この曲は不思議で、すごく良い天気の日に詞が浮かんだんですけど、天気の良い日は気持ちも晴れるじゃないですか。昨日別れ話をした人でも、今日はイイ天気で良かったなあって思うだろうなあ……っていうところからパーッと広がって、すぐに歌詞が書けたんです。詞と曲全部含めて、いままで作ってきたなかでいちばん早く出来上がった曲かもしれないですね」

――天気が良いと気持ちも晴れる、それも日常のなかでささやかに幸せを感じる瞬間というか、そういう意味では“しあわせの詩”とテーマが通じるところがありますね。

「ああ、この2曲は歌い方こそぜんぜん違ってますけど、そうかもしれないですね。自分で作った曲を自分で言うのもなんですけど、“いい男”はけっこう好きな曲になりました」

――そしてもう一曲が、fox capture planをフィーチャーした“5years.”。ストリングスを前に出したスリリングな演奏もですが、ニューミュージックや歌謡曲にも通じるようなドラマティックなメロディーラインも印象的です。メロディアスなんだけど、湿っぽくなく。

「原曲はもうちょっとテンポもゆっくりで、R&B的な感じだったんですが、fox capture planさんの編曲でだいぶ印象が変わりましたね。とにかく、歌いこなすのが難しかった曲で、いままで出会ってき曲のなかでもズバ抜けて難しかった曲かも知れないですね。とくにDメロのところは、歌い出しが拍子の裏から入ってくるので、すごく難しかったです」

――難しいぶんだけ、新しいものを手に入れた手応えもあったんじゃないですか。

「そうですね。歌詞は切ないんですけど、曲はスピード感があって、歌詞とバッキングとのバランスがあえてアンバランスな感じでかっこいいですしね」

――これまでのシングルを振り返っても、詞も曲もすべて自身で書いたもの、他の作家さんからいただいたもの、バラード、ビートのあるもの、テーマありきで書いたもの、みたいなパターンがありますが、こういったバランスでの制作スタイルもしっくりきてそうですね。

「ホント、そう思います。自分で作詞作曲した曲を続けて聴いてたりすると、私ってこういう曲を書くアーティストなんだっていうのが自分でもわかるんですけど、それでも他の方に曲だけ書いていただいたりとか、テーマに沿って詞を書いたりすると、自分の知らなかった一面というか、こういうところもあったのか!っていう発見できるので、すごくありがたいなって思ってます。新しい作品を作っていくのは、自分でも楽しみですね」

Uruのシングルを紹介。

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