ヒップホップとジャズの架け橋的な存在としてケンドリック・ラマーやスヌープ・ドッグ、ロバート・グラスパーら錚々たる面々から重用されるプロデューサー/サックス奏者のテラス・マーティンが昨年に続きBillboard Liveに登場。9月26日(火)~27日(水)にBillboard Live TOKYO、9月29日(金)にBillboard Live OSAKAに出演する。

ジャズ・ドラマーの父とシンガーの母を持つテラス・マーティンは78年生まれ。音楽的に充実した家庭環境のもとLAで育ち、ジャズ・バンドや聖歌隊の一員としてキャリアを重ねながら、やがてパフ・ダディのライヴ・メンバーにも加入するなど、10代後半からサックス・プレイヤーとして知名度を高めていく。その一方で、(この世代のミュージシャンの多くがそうであるように)物心ついた頃からラップ/R&Bに触れ、サンプラーを使ってトラックメイクのスキルを培ってきた彼は、プロデューサーとしても頭角を現していった。そんなテラスをいち早くフックアップしたのがスヌープ・ドッグ。2004年作『R&G(Rhythm & Gangsta): The Masterpiece』に招き、“Fresh Pair Of Panties”を共作している。

いま同曲を聴くと、〈絹の如き滑らかなメロウネス〉というテラス・マーティン製サウンドにおける作家性は、この頃から発揮されていたことがわかる。その後は、スヌープの諸作やタリブ・クウェリ、ゲームらの作品に参加。それと並走して、ミックステープやEPも精力的に発表してきた彼だが、自身の名を冠した作品キャリアを飛躍させたタイトルと言えば、やはり2013年の『3ChordFold』になるだろう。ジャジーなメロディーとスムースなトラックを組み合わせた同作は〈クインシー・ジョーンズ × ドクター・ドレーの融合〉と形容されるなど、多くのメディアから高い評価を受けた。

ロバート・グラスパーとジェイムス・フォントルロイをフィーチャーした『3ChordFold』収録曲“No Right, No Wrong”
 

そして、『3ChordFold』以降の活躍は周知のとおり。ケンドリック・ラマーの金字塔『To Pimp A butterfly』(2015年)への全編参加を筆頭にトラヴィス・スコットやYGへの貢献などで存在感を高めつつ、自身の2016年作『Velvet Portraits』はグラミーの〈最優秀R&Bアルバム賞〉にノミネート。グラスパーやカマシ・ワシントン、サンダーキャットら名うてのプレイヤーたちが一堂に会した同作は、新世代ジャズと現行R&Bのクロスオーヴァーにおける最重要アルバムの一つであり、テラスを名実ともにトップ・ミュージシャンへと押し上げた。

ロバート・グラスパーとサンダーキャット、ロナルド・ブルーナーJrをフィーチャーした『Velvet Portraits』収録曲“Curly Martin”
 

今年に入ると、ニュー・プロジェクトのポリーシーズを始動し、同名義でのアルバム『Sounds Of Crenshaw Vol.1』をリリース。今回の来日メンバーを見るかぎり、チャチ、ローズ・ゴールド、ワイアン・ヴォーンを揃えたヴォーカル陣はもとより、ギターのマーロン・ウィリアムズやドラムスのトレヴァー・ローレンスらプレイヤーたちも同作に参加した面々が中心のようなので、事実上ポリーシーズの日本初お披露目といった趣の公演になりそうだ。自身のルーツである西海岸ラップやLAジャズから心地良さ満点のレイドバック・サウンドを継承しつつ、どこまでもシルキーなタッチで時流のアーバン・ムードに染め上げていくテラス・マーティン。その真骨頂であり新局面とも言えそうなパフォーマンスを、Billboard Liveで贅沢に味わい尽くしたい。

チャチをフィーチャーした『Sounds Of Crenshaw Vol.1』収録曲“Intentions”
 
2016年のライヴ映像。下手のヴォーカリストがローズ・ゴールド

 


LIVE INFORMATION
テラス・マーティン
2017年9月26日(火)~27日(水)Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場17:30/開演19:00
2ndステージ:開場20:45/開演21:30
サービスエリア 9,000円/カジュアルエリア 7,500円
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2017年9月29日(金)Billboard Live OSAKA
1stステージ:開場17:30/開演18:30
2ndステージ:開場20:30/開演21:30
サービスエリア 8,900円/カジュアルエリア 7,900円
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