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時流も味方にニュー・ウェストが大躍進!

 ナッシュヴィルに拠点を置くニュー・ウェストは、〈いまを生きる人々にリアルな音を届けよう!〉といったスローガンのもと、98年に設立されたアメリカーナの専門レーベル。本特集にもピッタリはまるこの軍団が、かつてないほどのリリース攻勢に出ています。

 まずはジョン・ハイアットの愛娘、リリー・ハイアットの移籍作『Trinity Lane』から。ライトニン・ホプキンスへのオマージュで溢れた“Records”をはじめとするカントリー・ブルースの数々が、〈失われつつある大切なもの〉というテーマと共にガツンと心に響きます。お次はJDマクファーソンの『Undivided Heart & Soul』。リトル・リチャードなど古典的なロックンロールを志向してきた彼が、今回めざしたのはジョシュ・オムのような音作り。JD本来の持ち味とラウドに歪んだギターが合わった結果、期せずしてローリング・ストーンズ『Exile On Main St.』っぽい雰囲気に。続いての『TX Jelly』はレオン・ブリッジズらのバッグも務める5人組、テキサス・ジェントルマンのデビュー盤。名前に反して非紳士的な泥臭いスワンプ・ロックを披露し、マッスル・ショールズ録音による効果がそこここで表れています。

 といった感じで、アラバマ・シェイクス好きにもオススメのハードな新作が続いていますが、ゆったり落ち着きたい方にはこれを。ジェフ・トゥイーディ(ウィルコ)がプロデュースしたケイシー&クレイトンの『Siren's Song』。静かに揺らぐ女声の主旋律に優しい男声のハモリが寄り添った極めてシンプルなフォークは、ジェフのソロ・アルバム『Together At Last』ともダイレクトに繋がるものですよ。 *山西絵美

文中に登場した作品を紹介。