KNOCK ON THE DOOR
[特集 ]理想の〈アメリカ〉を求めて
アメリカがどこへ向かおうとも、アメリカーナはいつだってここにある。先行きの見えない時代だからこそ、ルーツに根差した音楽と旅に出ないかい?
★Pt.1 FLEET FOXES『Crack-Up』
★Pt.2 JEFF TWEEDY『Together At Last』
★Pt.3 DAN AUERBACH『Waiting On A Song』
★Pt.4 SUFJAN STEVENS/BRYCE DESSNER/NICO MUHLY/JAMES McALISTER 『Planetarium』
★Pt.5 「American Epic」と巡る1920年代の米国/ジョン・フェイヒーに愛を込めて
フリート・フォクシーズの元ドラマーによるこの最新ソロ・アルバムを何の気なしに聴いた際、〈ザ・バンドみたいだな〉と率直に思った。それほど滋味豊かで柔和なヴォーカル&メロディーが、心にすっと染み込むのだ。ランディ・ニューマンに通じる優しさとシニカルさを含んだリリックも印象的。 *北爪
シャロン・ヴァン・エッテンのお墨付きを得て、昨年に彗星の如く現れたブルックリンの4人組から早くも2作目が到着。ジョアンナ・ニューサムの流れにあるインテリな変型フォークを志向しつつも、エイドリアン嬢の人懐っこいウィスパー・ヴォイスが聴き手に寄り添い、置いてけぼり感は皆無。 *赤瀧
昨年リリースの『Ruminations』はシンプルな弾き語り盤だったが、そこに収められたナンバーを盟友のフェリース・ブラザーズや御大ジム・ケルトナーと共に、バンド・サウンドでリメイクしたのがこのアルバム。ケルトナーからの影響が前面に出ていて、力強くも慈悲深いフォーク・ロック作品に。 *内本
元スミス・ウェスタンズのジュリアンとマックスが新たに組んだバンドのデビュー盤。アラン・トゥーサンにインスパイアされて作ったというだけあり、ニューオーリンズ音楽への愛情が随所で漲っているが、それを極めてモダンなインディー・ポップに昇華させた手腕とセンスが何よりも凄い。 *北爪
STEVE EARLE & THE DUKES So You Wannabe An Outlaw Warner Bros.(Warner Bros)
90sのオルタナ・カントリー勢に多大な閃きを与えたアウトローが、自身のツアー・バンドとの共同名義による本作で20年ぶりに古巣のワーナーへ! 相変わらず素行の悪さ丸出しな酒妬け声でホンキー・トンクを荒っぽくやっていて、これにはジャック・ホワイトも羨望の眼差しを向けるはず。 *山西
オクラホマの5人組がこの2作目を明るい曲調で統一したのは、前作のツアー中に感じた地元の美しさや温かみを表現したかったからだそう。ビーチ・ハウス以降のドリーム・ポップを大らかなフォーク・ロック・サウンドに落とし込み、まさに〈テン年代のアメリカーナ〉といった内容です。 *山西
古い教会でライヴ・レコーディングしたこのインパルス!移籍作は、スティーヴン・フォスターのナンバーをはじめとするアメリカーナ系の名曲を、シンプルなトリオ演奏で聴かせる実に味わい深い逸品。リントン・クウェシ・ジョンソン“More Time”のカヴァーもこの上なくハートフルだ。 *桑原
ノラ・ジョーンズへの曲提供でも知られるウィル・シェフを中心としたバンドの最新作は、これまでよりフォーキーで私小説的。ウィルのソロ作品とも言えそうな出来だ。マリッサ・ナドラーやシアウォーターのメンバーが客演。絶望の淵から光を見つめるようにして歌う姿が、聴き手の心を揺さぶる。 *内本
ウィルコ結成前のジェフとアンクル・テュペロを組んでいたジェイ・ファラー率いるオルタナ・カントリーの重要バンド。メンバー交代を経て3人編成となり、ジェイのセルフ・プロデュースで仕上げた本作では、ハードなギターが肝のいなたいブルース・ロックを轟かせ、新境地を開拓。 *赤瀧
ネイサン・サルスバーグと作った前作から2年ぶり、今度の相棒はジェフ・トゥイーディです。ジェフの息子も交えたごく簡素な演奏と、ローラ・ギブソンっぽい地声と裏声を行き来する歌唱によってドリーミーなフォーク・ポップを展開。ミキシングはウィルコの面々が全幅の信頼を寄せるトム・シック。 *山西
アイアン&ワインとのコラボ盤も記憶に新しいカリフォルニアの自作自演シンガーによる最新作。アラバマ・シェイクス仕事で当てたブレイク・ミルズがプロデュースを手掛け、ジョアンナ・ニューサムにも通じる主役のヴォーカル&メロディーの個性をくっきりと浮かび上がらせている。 *内本