EBTGはどうなってるの?
ベン・ワットが学生時代の友人であるトレイシー・ソーンと組んだ男女デュオ、エヴリシング・バット・ザ・ガール(以下EBTG)。彼らがデビューしたのは82年のことだ。アコースティック・サウンドを基調に、ジャズやボサノヴァを巧みに取り込んだ洒脱な楽曲は、以降のネオアコやUKクラブ・ジャズに多大な影響を与えた。90年代に入るとドラムンベースに急接近して新たな支持を得たものの、2000年を境にユニットは自然消滅。それと前後して、ベンはDJ活動やバジン・フライをはじめとするレーベルの運営などクラブ・シーンに腰を落ち着けることとなる。
エヴリシング・バット・ザ・ガールの94年作『Amplified Heart』収録曲“Missing”
そんなEBTGの再結成話が持ち出されるようになったのは、2人がめでたく入籍した2009年頃からだろうか。噂を裏付けるわけではないが、この5年間に共同ワークが活発化してきたのは確かで、ベン主宰のストレンジ・フィーリングからトレイシーのソロ・アルバム『Love And Its Oppsite』(2010年)がリリースされたのを皮切りに、同年には2人の連名でThe xx“Night Time”のカヴァーを限定配信。そして、2012年発表のトレイシーによるクリスマス・アルバム『Tinsel And Lights』では、ベンが楽器演奏などを全面サポートすることに。また、2012~2013年にかけてブランコ・イ・ネグロ時代のEBTG作品がレア音源を大量追加した2枚組仕様(丁寧な装丁と充実したブックレットも素晴らしい!)でエドセルよりリイシューされ、話題を集めたことも記憶に新しい。ベンもトレイシーも〈再結成はない〉と否定しているようだが、上記に挙げた近年の動向がEBTGの復活フラグであってほしいと願うのは、決して僕だけじゃないはずだ。
トレイシー・ソーンとベン・ワットによるThe xxのカヴァー曲 “Night Time”
▼関連作品を紹介
左から、エヴリシング・バット・ザ・ガールの84年作『Eden』、同88年作『Idlewild』、同94年作『Amplified Heart』(すべてBlanco Y Negro/Edsel)、同96年作『Walking Wounded』(Virgin)、トレイシー・ソーンの2010年作『Love And Its Opposite』(Strange Feeling)、同2012年作『Tinsel And Lights』(Merge)
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