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ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)が注目を集めるきっかけとなったのは、SoundCloudで発表した“Ocean Eyes”(2015年)という曲だ。実は“Ocean Eyes”は、ある英国のシンガー・ソングライターが書いた“Station”という曲からインスピレーションを受けて生まれた。そのSSWというのが、ラプスリーだ。

弱冠19歳で発表したファースト・アルバム『Long Way Home』(2016年)によって、そのハスキーで情感豊かな歌声から〈次世代のアデル〉と呼ばれたラプスリー。繊細なエレクトロニック・サウンドによる表現も話題となり、DJコーツェ(DJ Koze)によるリミックスも高く評価される。しかし前作のツアー以降、彼女は表立った活動をほとんどしてこなかった。そんななかここに届けられたのが、成熟と深化を伝える感動的な新作『Through Water』である。

ラプスリーはこの4年間、何をしていたのか? 新作のテーマとは? 『Through Water』で歌われる女性音楽家としての実感、メンタルヘルスの問題、気候変動に象徴される現代社会の課題などを、新谷洋子がラプスリー本人に訊いた。 *Mikiki編集部

LÅPSLEY Through Water XL/Beat(2020)