ジャズ100年目の未来予想図

 今年はジャズ生誕100年。1917年、もし自分がその時代に生きていたとしたら、どんなジャズの聴き方をしていただろう。また世界で初めてのジャズのレコードが発売された時、それは自分の中ではどんな位置づけの出来事になっていただろう。そんなことを考えながら、その当時のひとりのリスナーになった気分で、この2種類のコンピレーションを聴くことは音楽だけでなく、その時見えていた情景もいっしょに目の前に広がってくるような気がしてくる。

VARIOUS ARTISTS ヒストリー・オブ・ディキシーランド・ジャズ Sony Music Japan International(2017)

 まず、“ジャズの事始め”といえる、ディキシーランド、ニューオーリンズ・ジャズの名演を集めたコンピレーション『ヒストリー・オブ・ディキシーランド・ジャズ』。ここに収録されたオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド (ODJB)の演奏が世界初の商業用ジャズ・レコードと言われている。レコーディングは1917年の2月に行われ、発売後1年で100万枚のヒットとなったという。また、1920年代に活躍した伝説のコルネット奏者ビックス・バイダ―ベックの名演やルイ・アームストロングのホット・ファイヴ&ホット・セヴン時代の音源も収録され、ジャズというジャンルの極めて初期のサウンドが存分に体験できる。

VARIOUS ARTISTS ヒストリー・オブ・スウィング・ジャズ Sony Music Japan International(2017)

 もう一つのコンピレーションは『ヒストリー・オブ・スウィング・ジャズ』で、1930年代~1940年代のスイング・エイジ黄金期に活躍していた数々のビッグバンドやコンボ他の演奏を収録。デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ベニー・グッドマン、グレン・ミラーなど優れたビッグバンド・リーダーたちの代表曲を網羅し、華やかなりし時代の記憶をよみがえらせている。

 “A列車で行こう”、“シング・シング・シング”、“ムーンライト・セレナーデ”等どこかで聴いたメロディがジャズの持つ本来の楽しさを伝えてくれる。

 と同時に古い時代のジャズの中にこそ、これからのジャズにつながる何かをみつけられそうな。ジャズ100年目の未来予想図。