〈ネクスト・バトルス〉との呼び声も高いスリー・トラップト・タイガースのメンバーによる初のソロ作。偶然トイレで出会ったというブライアン・イーノと共に作り上げたサウンドは、本隊でのノイジーな攻撃性を封印した、ピアノ主体の美しく柔和なインストだ。とはいえ、即興の演奏にカットアップやループなどを凝らしていくイーノ流のギミックが満載で、ポスト・クラシカルともまた異なる知的遊戯めいた刺激がクール。
バトルスが引き合いに出されるバンド、スリー・トラップト・タイガースのトム・ロジャーソンとイーノの本コラボ作は、共にイギリス南東部サフォーク生まれということで意気投合し完成をみた。バンドではノイズやエレクトロニックな要素も多分にある、攻撃的なサウンドをプレイするトムだが、ここではインプロを交じえながら、ミニマルで嫋やかな顔を覗かせる。同郷の景色を呼び起こしているのだろう、時に穏やかで優しげな雰囲気をうけたと思えば、時に不安げな表情も見せるなど、トムの自由奔放なスタイルをイーノが自身の作品に通じるアンビエンスを湛えながら包みこむようにまとめた美しき13曲を収録。