DOG YEAR OF RAP
[ 特集 ]日本語ラップの2017→2018年
何か月かに1回特集してる気もするけど、日本のヒップホップはやはりおもしろい! 他の音楽よりも速いスピードで変わっていく状況をまったり追っていきましょう
2017年の日本を代表したヒップホップ作品たち
活動数年を経てYENTOWNがようやく地上に噴き出した2017年、その先陣を切ったのは看板の3MCだった。Chaki Zuluの采配のもと、Awichの歌う“WHOUARE”、アンセム化している“UP IN SMOKE”などフレッシュで刹那的な名曲が並ぶ。2018年は個々の活躍やここにも客演しているkZmの動きにも期待したい。
Olive Oilやアーロン・チューライとのコラボ盤が続き、実に4年以上ぶりとなったソロ名義作。OMSB、PETZ、YUKSTA-ILL、SOCKS、Miles Word、BESとの“Prodigy”など刺激的なコラボが耳に残る内容だが、直球の存在感アピールもあって主役不在にはならず。AkaneとAwichをフィーチャーした“Boss Run DeM”が最高!
多彩なクリエイターを迎えながらセルフ・プロデュースした4作目は、漢とD.Oを招いたChaki Zulu製の“LIFE STYLE”、ゆるふわギャングとの“夜に失くす”などの新基軸がすべて功を奏し、軽やかなポップネスも保った快作に。『BIS3』の発表や、JP THE WAVY、RYKEYとの共闘など1年を通じての動きもスマートだった。
前年にKID FRESINOとのダブルネーム作を出していた愛知は知立の豪傑。Ramzaら6名でビートメイクを分け合った6曲入りのミニ・アルバムながら中身はやたら濃厚にしてクール、独特の熱を帯びたルーディーな語り口がじっくり堪能できる。この後にサニーデイ・サービス作品に招かれたのも話題となった。
SKY-HIの楽曲に招かれたりもした2017年のブライテスト・ホープ。人気のトラップ“Mellow Akira”など、dubby bunnyに不穏な空間構築を委ね、クールな雰囲気と柔軟なフロウで威勢良く撃ちまくる気の強さが最高だ。今年は1月に配信したばかりの新曲“Sociopath”を皮切りにどう出るのか、注目しておきたい。
盟友I-DeAのバックアップによって生まれた正真正銘のカムバック作。持ち前のセンスを閃かせる主役の語り口は期待以上の復調ぶりで、淡々と響かせながら勘どころを弁えたフロウはやはり唯一無二だと痛感させられた。16FLIPの手掛けた丸ごとリミキシーズも良い出来だったが、まずはこのオリジナルを。
女性ラッパーが……という括りも乱暴に思えるほど多様な個性が咲き誇った2017年。ゆるふわギャングでもアルバムを出したSophieeが名義を改めて発表したこのソロ作もパーソナルな色合いを濃くした個性が好ましい仕上がりに。AutomaticとEstraがプロデュースを手掛け、5lackの参加もトピックとなった。