コラム

ニュー・パワー・ジェネレーションがBillboard Liveでプリンスの音楽を奏でる! 殿下の右腕だったバンドの歴史をプレイバック

ニュー・パワー・ジェネレーションがBillboard Liveでプリンスの音楽を奏でる! 殿下の右腕だったバンドの歴史をプレイバック

ニュー・パワー・ジェネレーション(以下、NPG)のBillboard Liveでの来日公演開催が決定! プリンスのバック・バンドとして長年、殿下の音楽を支えたNPG。〈トリビュート・トゥ・プリンス〉と題された2017年の公演から一転〈セレブレイティング・プリンス〉が掲げられた今回の公演で彼らはどんな演奏を聴かせてくれるのでしょうか? プリンスとNPGの歩みを振り返りつつ、来日公演に備えたいと思います。

 

〈ニュー・パワー・ジェネレーション〉という言葉は、プリンスの88年のアルバム『Lovesexy』のイントロのナレーション〈Welcome to the New Power Generation!〉で初登場。その後、NPGは「パープル・レイン」(84年)の続編である殿下の監督・主演映画「グラフィティ・ブリッジ」(90年)においてバンドと相成りました。80年代のプリンスを支えたバンド〈レヴォリューション〉から心機一転、90年代という新時代に殿下がかける意気込みが感じられるバンド名です。

プリンスの90年作『Graffiti Bridge』収録曲“New Power Generation”
 

NPGがプリンスの正式なバック・バンドとして結成されたのは、おなじく90年のこと。同年にプリンスがヨーロッパと日本を回った〈ヌード・ツアー〉にてNPGは初めてお披露目されました。これまでの豪奢なセットでのパフォーマンスから打って変わって、最小限のバンドでの演奏に徹した同ツアー。80年代のヒット曲はさほど演奏されず、プリンスが音楽の基本に立ち返ったものだったそうです。ちなみに、この時のバンド・メンバーであるトニー・M、カーク・ジョンソン、デイモン・ディックソンは今回の来日メンバーでもあります。

翌91年に〈プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション〉名義のもとで初めての作品としてリリースされたのが『Diamonds And Pearls』。『Graffiti Bridge』から継続して当時の流行だったニュー・ジャック・スウィング(懐かしい!)にも接近しつつ、80年代の殿下のサウンドからの脱却を図った、ダンサブルでフレッシュな作品です。プリンスが以前から関心を寄せていたヒップホップも採り入れながら(パブリック・エネミーそっくり?)も殿下印のハードなギターが鳴り響く“Gett Off”ではトニー・Mがラップしています。殿下没後のPitchforkのレヴュー企画では、80年代作品と並ぶ重要作として取り上げられるなど、再評価の機運もあるのが『Diamonds And Pearls』という作品です。

プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションの91年作『Diamonds And Pearls』収録曲“Gett Off”
 

〈ダイアモンズ・アンド・パールズ・ツアー〉を挟み、92年にプリンスとNPGは『Love Symbol Album』をリリース。前作のニュー・ジャック・スウィングとヒップホップ路線の楽曲もありつつ、“Sexy MF”のようなオーセンティックなファンク・ソングや“The Morning Papers”のようなロック・バラードも含んだ18曲、75分近い大作です。同作はビデオ作品「3 Chains O' Gold」(94年)に繋がる〈エジプトの王女がロック・スター=プリンスと恋に落ちる〉というストーリーのコンセプト・アルバムを予定していたのですが、CDの収録時間の関係で楽曲をカットしたためコンセプトは完遂されなかったのだとか。

プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションの92年作『Love Symbol Album』収録曲“Sexy MF”
 

NPGはその後、バンドとして初の単独作『Goldnigga』(93年)を制作します。前述のトニー・Mがリード・ヴォーカリストである本作はライヴ会場や通販限定販売だったため、いまだに高額で取引されるレア盤。続く『Exodus』(95年)もリイシューされていない作品ですが、Pファンクからの影響が濃厚なサウンドは殿下ファンから高い評価を得ているとか。2作品とも当然のようにプリンスは〈バンド・メンバー〉として参加しています。

NPGの93年作『Goldnigga』収録曲“2gether”
 

その頃、プリンスは所属レコード会社であるワーナー・ブラザースとの関係が悪化し、アーティスト名を『Love Symbol Album』のアートワークに描かれた記号〈ラヴ・シンボル〉に改名。自身のレーベルであるペイズリー・パークがワーナーによって閉鎖されると、NPGレコーズを立ち上げます。以降、レーベルとしてのNPGはプリンスのキャリアを通じて存続。そんなエピソードからは〈NPG〉が当時のプリンスを象徴する、重要なものだったことが伝わってきますね。

そんなNPGレコーズからリリースされたプリンス(〈ラヴ・シンボル〉が発音不可能だったため、〈ジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・プリンス〉と呼ばれていた)の『The Gold Experience』(95年)には当時のNPGのメンバーが多数参加。バンド・メンバーは初期のラインナップからかなり入れ替わりがあったものの、98年にはNPG名義の第3作にして実質プリンスのアルバムでもあった『Newpower Soul』が、2001年にはプリンスとNPGとしてのライヴ盤3枚組のボックス・セット『One Nite Alone... Live!』がリリース。後者はブートレッグのライヴ盤が闇市場で多数取引されていた殿下にとって初の公式ライヴ盤となりました。

プリンスの95年作『The Gold Experience』収録曲“The Most Beautiful Girl In The World”
 

2001年にはNPGの4作目『Peace』のリリースが予定されていたそうですが、なぜか頓挫して幻の作品に。収録を予定されていた楽曲は後年、殿下の公式ウェブサイト〈NPGミュージック・クラブ〉で配信リリースされたアルバム『The Slaughterhouse』『The Chocolate Invasion』(共に2004年)で聴くことができるようになりました。

2000年の〈ヒット・アンド・ラン・ツアー〉2003年の〈ワールド・ツアー〉ではバンド・メンバー選びにNPGとは別種の方向性を探っていた殿下。プリンスとの絡みで〈NPG〉という名前が使われる機会はどんどん減っていきましたが、殿下の最終作『HITNRUN Phase Two』(2015年)には〈NPGホーンズ〉が参加するというトピックも。殿下亡きあとにはNPGとしてのバンド活動を活発化させています。

プリンスの音楽活動の中盤から後半期にあたる90年代を支えたNPG。トリビュート本「プリンス 1958-2016」の日本版監修を務めた長谷川町蔵氏にいわく、NPGとは〈ミュージック・シーンに「革命」を起こしたプリンスが、それを持続・成長させていくために夢見た共同体〉であり〈プリンスの理念だった〉。前回の追悼公演とは対照的に、プリンスという稀有な音楽家の存在を祝福する今回のライヴは、殿下のファンにとっては見逃せないものになるはず。プリンスの遺志を継ぎ、彼の代表曲をたっぷりと披露するNPGの来日公演が待ちきれない!

NPGの2017年のライヴ映像。
演奏曲は“Nothing Compares 2 U”“Let's Go Crazy”“Purple Rain”などプリンスの代表曲ばかり
 

 


Live Information
〈ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション “celebrating PRINCE” with the NPG〉

2018年3月20日(火) Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 17:30/開演 18:30
2ndステージ 開場 20:30/開演 21:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 11,000円
★詳細はこちら

2018年3月22日(木)、23日(金) Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場 17:30/開演 19:00
2ndステージ 開場 20:45/開演 21:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 10,500円
★詳細はこちら

●来日予定メンバー
モーリス・ヘイズ(キーボード)
カーク・ジョンソン(ドラムス)
トニー・M(ギター、ヴォーカル)
デイモン・ディックソン(パーカッション、バックグラウンド・ヴォーカル)
ホーマー・オデール(from ミントコンディション/ギター)
モノネオン(ベース)
テイマー・デイヴィス(ヴォーカル)
キップ・ブラックシャイア(キーボード、ヴォーカル)

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