この8月、コモン、ディゲブル・プラネッツ、ジャム&ルイス(ジミー・ジャム&テリー・ルイス)が日本にやってくる。3組とも〈SUMMER SONIC 2025〉東京会場初日の〈Billboard Live & JUJU’s BEACH PARTY〉に登場するのに加えて、それぞれがビルボードライブ東京/大阪で単独公演を行う。

 

コモン

センスを磨き続けるコモンが10年ぶりに日本へ!

ビルボードライブにまず登場するのは、10年ぶりの来日となるコモンだ(東京は8月13日、大阪は8月18日)。コモン・センス名義でアルバムデビューしたのが1992年だから、キャリアは30余年。歳を重ねても常にフロントラインに身を置き、ブラックカルチャーやアートとしてのヒップホップを追求しながら、弁の立つリリシストとしての才能を活かして俳優や慈善家としても活動してきた。

今年でリリース20周年となる『Be』(2005年)などでアピールしていた故郷シカゴに対する地元愛も深い。また、2000年作『Like Water For Chocolate』におけるソウルクエリアンズ一派との共同作業も、四半世紀が経った現在では伝説化している。そんなソウルクエリアンズと、それに影響を受けたロバート・グラスパーたちの橋渡し的な存在としても彼の存在は大きい。

実際にコモンは、グラスパー、カリーム・リギンズと組んだオーガスト・グリーンとしても2019年にアルバムを出している。昨年はピート・ロックとのコラボアルバム『The Auditorium Vol.1』を発表。いわゆるブーンバップ的なスタイルで50代のベテランラッパーとしての矜持を見せながら前進する現役ぶりでファンを喜ばせたのも記憶に新しい。

2023年にNYのヤンキー・スタジアムで行われたヒップホップ50周年記念ライブ(の映像)で“The Light”などを披露する姿を観ても、コモンのラップはキレがあり、ステージでの動きも含めて弾力性がある。コンシャスで硬派なリリシストとしての側面も持つが、そのパフォーマンスは実に親しみやすい。洒脱なトラックと淀みのないフロウはメロディアスで説得力に溢れ、胸に迫ってくる。刑務所の慰問コンサートなどに頻繁に招かれているのも納得のパフォーマンスだ。

今回の来日公演には、近年のアルバムにも参加していたDJと鍵盤奏者が同行。DJは、コモンと共演していたマイモウナ・ユセフ(ムームー・フレッシュ名義でも活動)とヴィンテージ・ベイビーズというユニットを組んでいるDJダミーことアンドレ・スミス。鍵盤は、かつてフィラデルフィアのアイヴァン&カーヴィンのもとでミュージック・ソウルチャイルドなどに関わっていたジョニー“スマーフ”スミス。彼らがコモンのセンスを十二分に引き出してくれるはずだ。