エリカ・バドゥの来日公演が2025年6月に急遽開催されると聞いて、心底驚いた。前回の日本公演はちょうどアルバムデビュー20周年の節目でもあった2017年なので、約8年ぶりの来日となる。

ネオソウルを象徴するミューズでありながら、ジャンルやカテゴリに執着することなく、常に刺激と挑戦の中に身を投じてきたエリカ・バドゥ。とはいえ、1997年のデビューから28年の間で発表してきたスタジオアルバムはわずか5枚。現時点での最新作『New Amerykah Part Two (Return Of The Ankh)』(故J・ディラが手がけた“Love”も収録の良盤)のリリースは2010年、一応2015年にはミックステープ『But You Caint Use My Phone』(元パートナーのアンドレ3000の参加曲、ドレイク“Hotline Bling”をビートジャックした上でのアンサーソングも収めた意欲作)をドロップしているが、以降は他アーティストの客演などで顔を出す機会のほうが多い印象だ。

だが、スタジオワークは少ないながらもライブ活動には積極的で、ほぼ毎年ステージに立っている。そこからわかることは、彼女が肉体的な表現において自らとその音楽をアップデートし続けているということ。最新の米ビルボードでのインタビューでも自らを〈パフォーマンスアーティスト〉と称し、観客との間に生まれる即時的な反応やオーディエンスと一体になる感覚こそが生きがいであり、セラピーでもあると述べている。

そんなエリカ・バドゥの今回の来日公演のタイトルは〈‘Abi & Alan’〉。そしてフィーチャリングゲストとしてジ・アルケミストも出演するとあって、なにやら通常とは異なる装いのステージになりそうだ。

エリカ・バドゥは現在、前述した『New Amerykah Part Two (Return Of The Ankh)』以来となるスタジオアルバムを制作中で、なんでもジ・アルケミストが単独でプロデュースを担当しているとのこと。公演タイトルも2人の本名(Erica Abi Wright、Alan Daniel Maman)から取られていることからも、新たなアルバムに紐づいた内容のステージになるはずだ。実際、2025年に入ってからは〈Billboard Women n Music 2025〉など一部のアワードやフェスでパフォーマンスしたのみで、来日前には北米で2回ほどショウを行うようだが、いずれも単独ではなく、またジ・アルケミストの名もクレジットされていない。

と、現時点での情報だけを見れば、今回の来日公演がいかに特別なものになるかわかってもらえるだろう。当然“On & On”“Didn’t Cha Know”“Love Of My Life”といった名曲群もジ・アルケミストによってアレンジされ、新たな形でパフォーマンスされる可能性もある。なにもかもが〈初めて〉になるかもしれないエリカ・バドゥの新章を告げるライブ、世界が羨むステージの目撃者の一人になってはいかがだろうか。

 


LIVE INFORMATION
Erykah Badu presents ‘Abi & Alan’
Featuring The Alchemist

2025年6月24日(火)ビルボードライブ大阪 ※SOLD OUT
1stステージ
開場/開演:16:30/17:30
2ndステージ
開場/開演:19:30/20:30
https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-20682

2025年6月28日(土)ビルボードライブ東京 ※SOLD OUT
1stステージ
開場/開演:15:00/16:00
2ndステージ
開場/開演:18:00/19:00
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-20683

2025年6月30日(月)KT Zepp Yokohama
開場/開演:18:00/19:00
https://www.billboard-live.com/event/2025bbl_erykah/Erykah.html

■チケット料金 ※飲食代金別

【横浜公演】
1Fスタンディング:17,900円
2F指定席:25,000円