“プロミスザスター”から1年ぶりとなるニュー・シングル――またも大勝負を控えたシチュエーションで懸命に駆ける日々、6人は今度もきっと約束を守ってくれる!

 幕張の大舞台で〈GiANT KiLLiNG〉を果たし、ドキュメンタリー映画の公開まで実現した2017年、前年の熱気を凌ぐ形で飛躍したBiSH。ただ、継ぎ目なく突入した今年に入ってからの活躍ぶりを見れば、その魅力がもっと遠くに届く可能性を感じざるを得なくなるでしょう。1月から〈BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR〉に踏み出し、5月に過去最大規模の横浜アリーナ公演を控える6人の勢いはいまなお天井知らずのままです。今回は“プロミスザスター”以来1年ぶりとなるニュー・シングル“PAiNT it BLACK”のリリースに際し、グループの大黒柱たるセントチヒロ・チッチに話を訊いてみました。

BiSH 『PAiNT it BLACK』 avex trax(2018)

 

BiSHの強さが増えていく

――昨年『THE GUERRiLLA BiSH』を出されて、その後に「ミュージックステーション」など著名な番組に出演される機会も増えたわけですけど、BiSHの広がりを実感することは多くなりましたか?

「外で話しかけられる頻度が上がったとかはないですけど(笑)。いまのツアーはどの場所に行っても〈初めまして〉の方が多くて、〈どこで知ってくれたの?〉って訊いたりもするんですよ。TVきっかけの方ももちろんいますけど、それより〈アルバムを聴いて〉とか〈好きなバンドがBiSHの曲を勧めてたので、気になって〉って方も多かったりしますね。ライヴの楽しみ方も、初めての方が周りを観ながら一緒に楽しんでくれてる感じとか、それが凄く新鮮で好きです。あと、音楽とは違うお仕事、例えばお洋服の仕事をした時とかに、BiSHを好きでいてくれたり、前よりも知ってくれてる人が多くなって、それも嬉しいですね」

――そこでニュー・シングル“PAiNT it BLACK”のお話ですが、今回はTVアニメ「ブラッククローバー」のオープニングテーマになっています。

「『ブラッククローバー』の主人公とBiSHって凄く重なる部分があって。BiSHはここまで活動してきた3年のなかで、ちょっとずつ背伸びした挑戦をしてきて……強い者に立ち向かって、何とか協力してそれを乗り越えて、勝ち進んできて、っていう感じなんですけど、そこはアニメの内容にも通じる部分なんです。1番はアニメの主人公にピッタリ合ってる歌詞で、2番は〈BiSHだって目を閉じては〉っていう歌い出しから始まってBiSHも感じ取れる歌詞になってて。うん、弱い者が強い者に立ち向かっていく感じは、やっぱり重なりますね。〈黒く塗る〉って感じでアー写も真っ黒だけど、そのなかにも〈青く〉とか〈赤く染めろ〉って言葉があるのは、青臭かったり、いままで〈茜色〉ってよく歌ってきたBiSHっぽさが散りばめられてるのかなと思います」

――変化でいうと、これまでチッチさんとアイナ(・ジ・エンド)さんが歌の主軸となってきましたけど、歌唱のパート割りはいままででいちばん均等になっていて、アユニ・Dさんがメインになっています。

「そうですね。アユニはサビのリレーの部分とかもいままでで一番多いし、そこは新しいですね。去年のアルバムでメンバー個々の歌がどんどん良くなってきて、良い意味でバランスが取れてきたから、プロデューサーの松隈(ケンタ)さんが〈“PAiNT it BLACK”はアユニをメインにして、新しいBiSHっていうものに挑戦してみたい〉って言ってて。それは、これから変わっていく初めの一歩っていう感じでもあるし、凄くいいなって思います。振り付けも今回はアイナじゃない方にお願いしてて、そこはアイナにとっても挑戦だから、BiSHにとっても挑戦の詰まった曲です」

――そうなんですね。ちなみに、いままでと比べてチッチさん自身の歌割が少なくなったことについては率直にいかがですか。

「そうですね、曲によって歌割が変わるのは前からあったし、昔の私だったらたぶん病んでたけど(笑)、いまは逆にそこまで気にしないですね。私が歌える曲はたくさんあって、今回アユニだったけど、今度はリンリンかもしれないし、モモコ(グミカンパニー)かもしれないし。今回は自分の歌うパートが凄く好きで、気持ち良く歌えてるから大満足です(笑)」

――その意味では、今回カップリングの“SCHOOLYARD”もアユニさんの個性に寄り添った雰囲気に思えます。

「うんうん、確かに。歌い出しもそうだし、〈校庭〉って言葉が一番合いますよね。セリフもあったり、この青臭い感じが個人的にめちゃめちゃ好きです。曲は“PAiNT it BLACK”より前にあって、もともと去年の『THE GUERRiLLA BiSH』の時に出来てた曲なんですけど、アルバムに入らなくてここに持ってきたっていうのは意味があると思うし、アユニの声もハマッてるなって思います。今回のシングルはそういうアユニの強さも引き立ってて、そこでまたBiSHの強さが増えていくわけだから凄く嬉しいですね」

――“SCHOOLYARD”はちょっと不思議な熱さがあるというか、この、ちょっと芝居がかったセリフの感じとか。

「ね、おもしろいですよね。セリフの部分は実際の経験なのかわからないですけど、デモの段階からこれだったんですよ。全体の歌詞は、誰もが経験したような昔のもどかしい思いが描かれてて、青春時代を過ぎて大人になった人たちが聴いてもらっても全然おかしくないなって思うし、がむしゃらにやってきたBiSHに凄くハマるので、凄い好きな部分の歌詞がたくさんあって、選べないくらいなんですけど、“PAiNT it BLACK”とはまた別の角度ですね」

――どっちも刺さる言葉が多いですけど、“PAiNT it BLACK”のスケール感とはまた違う、ちょっと身近な世界観というか。

「そう思います。全然違うんですけど、どっちの曲も等身大なんですよね」