
WACKの神7を擁する柏木由紀プロデュースの新グループがついにお目見え――カラフルなゆきりんワールドはメンバーたちのアイドル性をどう輝かせたのか?
「グループ名はギリギリまで悩んでいて、〈SELECT 7 plus YUKi〉の頭文字でSPYにしました。読み方は〈エスピーワイ〉なんですけど、最初は〈スパイ〉という読み方も考えていて、違うグループからスパイみたいに潜入してお互いの良さを探り合うみたいな、そういう意味も入ってはいます」。
そう語るのは、WACKとのコラボ・プロジェクトを通じてAKB48での姿とは異なる魅力を見せてきた柏木由紀。今度は昨年末の総選挙イベント〈VOTE!! WACK SELECT 7〉の結果を受け、彼女のプロデュースする新グループ=SPYがいよいよ始動しました。メンバーは投票1位に輝いたGANG PARADEのユイ・ガ・ドクソンを筆頭に、同じくGANG PARADEの月ノウサギ、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、BiSHのハシヤスメ・アツコ、セントチヒロ・チッチという7名プラス、ユキ・レイソレこと柏木P本人。デビュー・シングル“あなたを狙い撃ち♡”について8人に話を訊きました。
思いっきりアイドルにしました
――昨年末の開票イベントは振り返っていかがでしたか。
柏木由紀「ライヴはホントに楽しかったです。それぞれのグループの楽曲を初披露できて、WACKのファンの皆さんもステージ上からわかるぐらい温かくて熱い方たちで、凄く刺激を受けました。で、選挙のほうは自分も経験してきたから、出る側の皆さんの気持ちもわかるし、プロデュースすることのプレッシャーもあるし、応援もしたいし……めまぐるしい一日でしたね」
――結果は渡辺淳之介(WACK代表)さんの投じた1万票によってドクソンさんが1位になりました。
柏木「〈これをAKB48でやったらとんでもないことになるな〉って思いました(笑)。でもWACKのファンの方はあれで盛り上がっていて、そこは何でもありというか、良い文化の違いを感じましたね。反応を窺うよりどんどん先の話題を提案していく、そのスタイルをまざまざと再認識させられたというか」
――ドクソンさんはどんな心境でしたか。
ユイ・ガ・ドクソン「渡辺さんに会うたびに〈ぜひ私に1万票、お願いします〉ってアタックして、ずっと断られてたんです。当日も〈お前だけはないから安心しろ〉って言われてたから、〈こんなことがあっていいのか!〉って。でも、柏木さんと一緒にやりたくて真剣に取り組んでいるメンバーたちの姿を近くで見てたし、私は本当なら入れなかった立場なので、入りたくても入れなかったみんなの気持ちも背負ってやらなきゃって思いました。がんばらせていただくぞ!って」
――それとは別のサプライズで、開票の数日前にBiSHが解散発表をしたり、年明けにGANG PARADEが再始動したりという動きを柏木さんはどう見ていましたか?
柏木「当たり前ですけど、普通に全部ネットで知るんです(笑)。〈あっ、こんなことになってる〉っていうのはファンの方と一緒でした。やっぱり傍から見てたらとんでもない動きじゃないですか、メンバーが全員交換したり、一緒になったり。そのなかに自分もかなり深く携わってると思うと、いずれ自分も巻き込まれそうというか(笑)」
月ノウサギ「柏木さん、言霊があるので」
柏木「……ヤバい?」
月ノ「ヤバいです(笑)」
――それは今後の期待として……まずプロデューサーとしては、どんなグループをイメージしていましたか?
柏木「正統派アイドルっぽいこと、AKB48っぽいことをするユニットにしたいというのが最初にありました。私が去年それぞれのグループに入れていただいた時に、初めてのことだらけで戸惑いもあったけど、そのぶん得られることも多かったので、今回はWACKの皆さんにも同じような経験をしてもらったらおもしろいなって。メンバー決定後は、もっとドクソンさんに合わせた遊べる曲がいいのかな?とも考えたんですけど、イメージがないからこそドクソンさんのアイドルっぽいところも見たいと思ったし、メンバーが決まったことでより振り切りましたね。中途半端に寄せても意味ないかなと思って、思いっきりアイドルに全振りしました」
――全員メガネもあるかもと思ってました。
ハシヤスメ・アツコ「確かに、こんなメガネ率の高いグループないですし」
セントチヒロ・チッチ「MVに2人で映るとこがめちゃくちゃおもしろかった(笑)」
ドク「こういうことでもないと一緒に活動させていただける機会がないから嬉しかったです」
アツコ「嬉しかったですね。でも、順位だけで言うと、1位のメンバーとメガネが被って申し訳ない気持ちにはなりました(笑)」
――サウンド・プロデュースの松隈ケンタさんにはどんなオーダーをされましたか?
柏木「松隈さんには〈アイドルっぽい〉とか〈コンサートで盛り上がるような〉とか抽象的なお願いをたくさん並べて。〈ファンの方が掛け声を入れやすい曲〉とか〈あややみたいな曲〉とか(笑)、無理な注文をたくさんしました。そこから2曲すぐに作ってくださって、特に私の思い描いてるものにピッタシだったのがこの曲でした」
これこそアイドルだよな
――そこから柏木さんが作詞して、“あなたを狙い撃ち♡”が出来たわけですが、皆さんは歌ってみていかがでしたか。
ヤママチミキ「一人称が〈私〉の曲をあんまり歌ってこなかったし、自分で歌詞を書く時も〈私〉は使わないので、めちゃくちゃ新鮮でした。そこからすでにアイドルらしさが伝わってきたし、この可愛い女の子の気持ちになって歌おうって」
チッチ「曲をいただいた時にアイドルの理想像みたいなものをめちゃくちゃ感じたんですね。私もアイドル好きだったからこそ、〈これこそアイドルだよな〉って想像できる曲だったので、振り切って可愛い方向に行ってみたら、思ったよりも全然入り込んで歌えたんですよ。凄い楽しくて、松隈さんも楽しそうで。新しい扉を開いた感じがしました」
――レコーディングもいつもと違った?
ミキ「とにかく可愛く、〈THEアイドルな感じで〉っていうのはみんな共通していて」
チッチ「あと、〈明るく〉って言われた気がする。ゆきりんさんのイメージと同じ気持ちで松隈さんもやってたのかもしれない」
ドク「可愛くやるのって楽しいって思いました(笑)。大股を開いたり大きな口を開けたりしているほうが私にとってはナチュラルなんで、可愛いことをやるほうが照れてしまう感じに育ってきちゃったんですけど、今回は殻を破ってもらえました」
テラシマユウカ(ユユ)「〈カッコイイ〉より〈可愛い〉のほうが難しいというのは、それこそPARADISESが始まった頃にも感じていて。でも、“あなたを狙い撃ち♡”は自分から〈可愛くしなきゃ〉って意識しなくても、自然とアイドルにしてくれるような曲だなって思いました」
――ポップで良い曲です。柏木さん自身は〈クソダサ歌詞〉と仰ってましたが(笑)。
柏木「はい(笑)。あえてこういう薄い世界観にしたくて(笑)」
――あえてベタな感じを狙ったというか。
柏木「そう、いつもこういう曲を歌わない皆さんが歌うからこそ良いなって思ったんですよね。例えば新人の子たちがこれを歌ったら〈よくあるアイドルソングだよね〉ってなるかもしれないけど、いろんな経験をしてきたメンバーが歌うことで、めちゃくちゃグレードアップされた感じがします」
――衣装も柏木さんプロデュースですね。
柏木「はい。WACKの衣装は肌がほぼ出てなくて、AKB48ではそもそも長袖やパンツの衣装もあんまりないから、その違いも感じて。なので、今回はポップで明るくて個性の出るような衣装を、もともとAKB48の衣装さんで、私のソロもやってくれてる方にお願いしました」
月ノ「ギャンパレの5人はメンバーカラーがあるので、そのまま使っていただいて」
柏木「で、BiSHの2人は私の印象で勝手に決めました」
アツコ「初めてメンバーカラーというものをいただきました。BiSHだと私は紫が好きで、チッチは青が好きっていうのはあったけども、〈じゃあ、あなたは青です、赤です〉みたいなのは初めてで、しかもその色を身に纏うのは、めちゃめちゃ新鮮です」
チッチ「新鮮。青が好きだから青ばっかだったんですけど。友達には〈戦隊モノならレッドだよね〉って言われることがあって」
――アカレンジャー感ですよね。
柏木「そういうイメージでした」
チッチ「周りからはそう見えるんだって。赤が好きになりました」
――MVも衣装と同じく可愛らしい世界観です。
柏木「はい。振付けもAKB48のダンスの先生にお願いしたので、いつもと違った雰囲気で踊る皆さんも作品に残したくって、MVもダンスシーン多めにしていただきました」
ユメノユア「POP時代にはあったけど、可愛いMVを撮っていただく機会があまりないから緊張しました。監督さんが最近よくご一緒する、それこそGO TO THE BEDSと柏木さんとのMVも撮ってくださった須永秀明さんだったので、少しだけ安心感はあったけど(笑)。ダンスシーンは〈間違えたら終わる〉みたいな緊張感は凄くありつつ、いつもと違う雰囲気の撮影で楽しかったですね。みんなでゼーゼー言いながらいっぱい踊ったのも良い思い出です(笑)」
――大変だったんですね。撮影までに皆さんで合わせる機会はあったんですか?
チッチ「全員で集まれたのが1回だけで」
月ノ「当初はスケジュールが合わなくて、BiSHの2人と柏木さんは撮影当日に現地で振入れするっていう話もあったんですけど、何とか合わせていただいて」
柏木「当日だったらやばかったかも」
アツコ「もう顔のアップだけで、ダンスシーンにいなかったかもしれない(笑)」
チッチ「難しくてダメだったね。初めて振入れ中に頭抱えて止まっちゃいました」
月ノ「歌う人にも振りがあるのが衝撃的で、新しい常識を知った感じがしました。私たちは歌うパートでの動きはあんまり決まっていないので」
柏木「いつも〈歌振り〉って言ってて。歌う人の振付けみたいな」
アツコ「へ~、歌振り」
チッチ「へ~って言うけど、アイナ(・ジ・エンド)はやってくれてるじゃん(笑)」
アツコ「ヘヘヘヘ。でも全部が新鮮よ」
ユア「そこも細かくカウントで決まっていて難しかったです。苦手な振りがあったよね、ユユはね」
ユユ「2Bで投げキスを3回しながら飛んでいく振りがホントにできなくて、練習止めて私だけ1対1でそこをずっと教えてもらったりして。先生に教えていただくことがないからパニックになっちゃいました(笑)」
――いつも自分たちで振付けするから。
ユユ「そうなんです。できなければ〈じゃあ、こう変えてみよう〉みたいなことが全然あるから。そこの柔軟性が自分には足りてないなって思いました(笑)」
柏木「動きが細かくて振り数も多いし、特にアイドルアイドルした振りを作るのが上手な先生にお願いしたので、より難しかったかもしれないですね」
――奮闘の成果がMVというわけですね。
ミキ「WACKは異質かもしれないけど、もともとアイドル好きな方は可愛いものが好きな方が多いと思うので、〈可愛いじゃん!〉ってみんな喜んでくれていると思います(笑)」
これ一度じゃなくて
――カップリングではAKB48の“大声ダイヤモンド”をSPYとして披露されています。
柏木「去年のシングル7枚のカップリングでそれぞれのグループの代表曲をご一緒したのが自分の中で大きい出来事で、いまも普通に聴くぐらい嬉しかったので、〈じゃあ、逆にAKB48の曲を皆さんと歌うのはどうかな?〉って。で、曲を考えるなかで、チッチさんが“大声”きっかけでAKB48を好きになったという話を前に伺っていたのもあって、この曲を選びました」
チッチ「それを知って感動してしまって。AKB48が好きで良かったなって改めて思いました」
アツコ「だって、うちら一緒にいる時に知って、〈“大声”歌えるってやばくね?〉って盛り上がったもんね」
――チッチさんの推しメンだった小野恵令奈さんが盤面の文字を描かれていたシングルでもありますし。
チッチ「そう、えれぴょんさんが。だから思い入れはけっこう強くて」
ユユ「私は学園祭のダンスステージでアイドル曲のメドレーをやったなかにこの曲があって、メイド服で踊ったことがありました(笑)。その数年後にまさかご本家と歌わせてもらえるなんて。その時に一緒に踊った友達から〈マジで?〉って連絡来たり」
ユア「私も学生の時からAKB48さんは聴いていたので、いまSPYで一緒になることも奇跡みたいだなって思っているし、こうやって“大声ダイヤモンド”を柏木さんと一緒に歌えたのも信じられないことで。昔の友達からも〈ゆきりんと一緒に写真映ってんじゃん!〉みたいな連絡があるぐらい、自分の青春も詰まっている一曲だから、その思いを込めて一生懸命歌わせてもらいました」
――アレンジは原曲に近い雰囲気ですね。
月ノ「最初にガイドで私が一人で歌って録ったんですけど、やっぱり全然違うんですよ。AKB48さんは母音をハメていく歌い方が多いんですけど、松隈さんはいつも子音を立てるディレクションだったりして。今回は原曲リスペクトでやることになって、自分の歌の色もちょっと出しつつ原曲のイメージのまま歌いました。ラスサビの〈大声ダイヤモンド~~〉だけは原曲よりめちゃくちゃ伸ばしたり、試行錯誤しながら歌ってみて、緊張したけど楽しかったです。松隈さんも緊張されていたのが新鮮でした(笑)」
――柏木さんはいかがでしたか?
柏木「当時の“大声ダイヤモンド”はサビの立ち位置も3列目の端で、歌割もほぼなかったんです。だから自分のソロ・パートがCDに残るのって、私もめちゃくちゃ嬉しくて(笑)。皆さんとこういうふうに新しい形で歌えて、当時よりも思い入れありそうです、こっちのほうが(笑)」
リンリン(BiSH)、ナ前ナ以(ASP)、YU-Ki EMPiRE(EMPiRE)の3名による〈WACKのクソユニット〉
――カップリングにはもう1曲、同じ投票イベントにて渡辺さんがくじ引きでメンバーを選んだiNNOCENT ASSの“EVERYONE is GOOD and BAD”も収録されています。
チッチ「この3人はマジおもしろそうって思ってて、たまたまですけど、WACKでもヤバい奴らが引かれたので、〈やっぱ渡辺さんって持ってんな〉って思いました(笑)」
月ノ「SPYのアーティスト写真を撮った時に3人も一緒にいたんですけど、美しさもあり、強さもあり、絵面が凄くて。めっちゃ良い曲だし」
チッチ「めちゃくちゃ良い曲。去年くらいから出てきたリンリンのエモーショナルな歌い方が凄い活きてて。SPYと真逆を行く感じの対比が良いんじゃないかな」
――あとは曲披露の機会が楽しみです。
アツコ「やっぱりライヴはしたいですね」
ミキ「お客さんの前にこの8人で立って、直接SPYを観て良さを知ってもらえる機会があったらいいなと思います」
ユア「これが一度じゃなくて、二度、三度ってできるグループになったら凄く嬉しいし、こうやって垣根を越えて集まる貴重な経験をさせてもらっているので、この幸せな時間を大切にしながら、めいっぱいSPYを楽しみたいです」
チッチ「私はAKB48さんの劇場に立ちたいっていう大きな夢がありまして……あの柱がある劇場で、お客さん側からは観たことあるんですけど、舞台からの目線で見てみたい。そんなことができたら大変ですよ」
ドク「例えばチッチさんがAKB48さんに研修でお邪魔したり、AKB48さんとWACKのごっちゃグループができて、それで集まってKASHiWACKフェスをやったり……」
チッチ「ゆきりんさんの頭の中、〈大変だぞ、それ〉ってなってる(笑)」
――無責任でも言っておきましょう(笑)。
柏木「そういうの大事(笑)」
ドク「はい。今回のSPYがそういう長いお付き合いのきっかけになりたいです」
――プロデューサー的にはいかがですか?
柏木「そうですね、各々のファンの方はもちろんですけど、SPYのファンみたいな層が出てきてくれたら嬉しいなと思ってます。気持ちとしては続けていきたいので、〈SPYが好き〉〈もっと観たい〉っていう声が大きくなればまた集まれるのかなって」
チッチ「SPY新規」
柏木「大歓迎です。そうなれば、もっといろんなことをしていきたいなって。各々グループがありつつ、たまに集まって何かおもしろいことをやってるような存在になったらいちばん嬉しいですね」
左から、柏木由紀のシングル“CAN YOU WALK WITH ME??”、GO TO THE BEDSのシングル『柏木由紀なりのGO TO THE BEDS -TRUE SONG-』、PARADISESのシングル『柏木由紀なりのPARADISES -夏のバカヤロー-』、BiSHのシングル『柏木由紀なりのBiSH -BAD TEMPER-』(すべてキング)
AKB48の2008年のシングル“大声ダイヤモンド”(You,Be Cool!/キング)
セントチヒロ・チッチ客演の“KARAGARA”を収めたTHIS IS JAPANのニュー・シングル“トワイライト・ファズ”(キューン)
SPYメンバーそれぞれの本隊における現状もお忘れなく!
がむしゃらなパフォーマンスで大いにバズった“根も葉もRumor”以来の最新シングルは、その路線をさらに追求してGANMIに振付けを依頼した、シライシ紗トリ作のシャープに攻めるダンス・トラックに。こちらは柏木も写るType-Aのジャケですが、彼女が所属するteam Bの“ヤラカソウ”はType-Cに収録。
投票時にはPARADISESとGO TO THE BEDSに分裂していたものの、結果的にはSPYに5名を送り込んだギャンパレ。“あなたを狙い撃ち♡”と同じく須永秀明がMV監督を務めたこの復活シングルの後は、ナルハワールドの復帰とアイナスター&カ能セイの加入を経た13名体制での活動も始まったばかりです。
昨年12月の解散発表によって遠心力を増しつつ、現在は最高の終わりを創出すべくツアーや12か月連続リリースを続けている6人。こちらは前月の“ごめんね”に続く第5弾のシングルで、懐かしい味わいの骨太なロックが染みます。カップリングの“Why are you alive??”も儚さと人間味が刺さる一曲。




