激しいガン・アクション越しに受け入れる自分自身
仮想現実のゲーム世界において、銃を手にした全身ピンクの小柄で可愛らしい女の子が、人間離れした動きで敵たちを瞬く間に撃ち抜いていくサヴァイヴァル・アクションSF――そんな少年心をくすぐる要素をエンタメ感たっぷりに詰め込んだTVアニメが、この4月に放送を開始した「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」だ。
本作はTVアニメや劇場映画が大ヒットした川原礫の小説〈ソードアート・オンライン〉シリーズに登場するガン ・シューティング系RPG〈ガンゲイル・オンライン〉を題材に、〈キノの旅〉シリーズで知られる時雨沢恵一がサヴァイヴァル・ゲーム&ガン・アクション趣味全開で書いた同名小説をアニメ化したもの。冒頭で紹介したピンクの女の子=レンを主人公に、ゲーム世界での手に汗握るガン・アクションを主軸としつつ、現実世界での人間関係も交差するSAOシリーズならではの物語が展開される。TVアニメ版「ソードアート・オンライン」の主題歌を複数回担当してきた藍井エイルが、活動再開後初のシングルの表題曲“流星”でオープニングを飾っていることも話題のひとつだろう。
その一方、エンディング・テーマに起用されたのは、レンによるキャラクターソングとなる“To see the future”。レン役の声優を務める楠木ともりが歌唱を担当している。この春に高校を卒業したばかりの彼女は、昨年の声優デビューからTVアニメの主演を含む大役に次々と抜擢され、今年サービス開始予定のアプリゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」でも優木せつ菜役でアイドル活動することが決まっている若手の注目株だ。高校時代は軽音部に所属し、作詞/作曲が趣味の音楽好きという一面もある。
〈窮屈なリアル 息がつまる〉という少し切迫感のある歌い出しも印象的な“To see the future”で描かれるのは、レン及び彼女のアバターを使う小比類巻香蓮というキャラクターの心情。香蓮は自身の高身長にコンプレックスを抱いているがゆえに、ゲーム内では小柄なレンとして生きているのだが、ここでは彼女が〈なりたい自分〉と〈なれない自分〉の両方を受け入れて未来を見つけるまでの過程が、仮想空間さながらのフューチャー・ベース感漂う近未来トラックと共に表現される。詞/曲を手掛けたJazzin'parkの手腕はもちろんながら、楠木のどこか願いを託すような瑞々しい歌声も楽曲のテーマと絶妙にマッチ。「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」という作品世界にも、自分自身に自信を持ちたいあらゆる人の心にも寄り添うナンバーと言えそうだ。