作曲家デビュー50周年を記念した、ザ・ヒットメーカー=筒美京平、初の自選集!
古くは服部良一や古賀政男から近年の小室哲哉まで、日本の大衆音楽史において職業作曲家として重要な役割を果たしたキーパーソンはたくさんいるわけだが、戦後の歌謡曲シーンで最高の実績と影響力を誇るのが筒美京平であることに異を唱える者はいないはずだ。細かいデータは各自wikiででも確認していただきたいが、とにかくヒット・メーカーとしての彼の業績はケタ外れであり、他の追随を許さない。かつてのような〈流行歌〉がほとんど存在不可能になっている今、筒美のヒット・メイカーとしての業績を超える日本人はもう永遠に出てこないはずだ。
そんな巨星の名曲をまとめた編集盤が一挙3タイトル出た。『AOR歌謡』(日本コロムビア)、『City Pops』(ユニバーサル)、『アイドル・クラシックス』(ビクター)とメーカーごとにコンセプトを変えての40曲入り2枚組。つまり計6枚で120曲だ。しかも『筒美京平自選作品集』なるタイトルどおり、今回は初の本人選曲。結果、一般的にはあまり知られてないような隠れた名曲もあれこれ聴ける。『City Pops』編だとブレッド&バター“白いハイウェイ”、つなき&みどり“愛の挽歌”、近田春夫“ロキシーの夜”など。『アイドル・クラシックス』編ではエバ“ほほにかかる涙”とか高橋由美子“元気!元気!元気!”。『AOR歌謡』編は特に多く、クロディーヌ・ロンジェ“絵本の中で”(もちろん日本語)とか西郷輝彦“自由の鐘”、高田恭子“貴方の暗い情熱”、松崎しげる“銀河特急”、少年隊“君だけに”、平山みき“ビヨンド”等々。
新宿生まれの青学育ちで、音楽的ホームはジャズ。そんな筒美の書くメロディは、いつだって洒脱でとことんポップだった。そして都会の匂いが漂っていた。もうすぐ78才になる彼が半世紀にわたって作り続けてきたのは、洋楽ぽいけど洋楽じゃない、日本人の歌である。昨今急速に日本の大衆音楽に注目し始めた欧米のマニアックなリスナーたちにとってもありがたい企画盤だろう。