浅田次郎の幕末小説、待望のドラマ化。
所作だけで武士の魂を表現する超難役に吉川晃司が挑む!
ベストセラー作家の良作を、実力派の脚本家&監督が豪華キャストで映像化する、今やWOWOWが誇る看板コンテンツのひとつとなった「連続ドラマW」。シリーズ開始から10周年を迎えた節目の今年も、既に話題作が目白押しだが、ここに来てまた強力な作品が登場する。7月22日(日)22時スタートの《黒書院の六兵衛》は、江戸城無血開城を舞台に描かれる、謎の御書院番士と名もなき下級武士との熱き反戦友情物語。原作は第13回柴田錬三郎賞を受賞した『壬生義士伝』などの時代小説でも知られる、浅田次郎が2012年5月から1年間、日本経済新聞に連載し、上下巻累計60万部を突破した時代ミステリーの傑作。幕末という時代の大きなうねりに翻弄される武士たちの、人情味に溢れた悲喜こもごもを描いて大きな反響を呼んだ。
時は慶長4年、幕府と新政府の談判が成り、不戦開城と決した江戸城。官軍側で気弱な尾張の下級藩士〈加倉井隼人〉は、城の引き渡しを支障なく進めるための先遣りとして城内に検分に入るが、困ったことにただひとり、テコでも動かぬ旗本がいた。その男の名は〈的矢六兵衛〉。将軍直属の警護隊・御書院番士だった。六兵衛は黙って正座したままで、動くのはほぼ用を足すときだけ。〈勝海舟〉と〈西郷隆盛〉の約束により城内での悶着は厳禁なので力づくでは彼を退去させられない。さらに座り込みの意図を探る加倉井は、この六兵衛がニセ者であることを知って困惑する。だがしばらく同じ時を一緒に過ごすうち、加倉井の胸裏には堂々たる風格で佇む六兵衛に対する得体の知れぬ共感も生まれていた。果たしてこの六兵衛の名を語る者の居座りの理由とは? 天皇の入城が迫る中、加倉井のとった策は…
〈的矢六兵衛〉役には、1984年にシングル《モニカ》で歌手デビューし、《LA VIE EN ROSE》《ユー・ガッタ・チャンス》《にくまれそうなNEWフェイス》《RAIN-DANCEがきこえる》など立て続けにヒットを飛ばし、元BOØWYの布袋寅泰とのユニット「COMPLEX」でも一世を風靡、80年代を駆け抜けたロックスターの吉川晃司。水球で鍛えた体躯を活かしデビュー当時から映画俳優としても活躍し、一時期は遠ざかるも三池崇史監督の『漂流街』で復活、2009年の大河ドラマ『天地人』の織田信長役で新境地を開きカリスマ的存在感を示してきた彼にとって、実に17年振りの主演に期待が高まる。「ステージでも演技でもふだんは動き回っている自分が、今回はセリフも動きもなく辛抱と受け身の極み。役作りのために稽古に励んだ、弓馬術礼法小笠原流の極限まで無駄を削ぎ落としたしなやかな動きと求道者のような姿勢が、撮影中の集中力やモチベーションの源にもなった」と本人。
一方〈加倉井隼人〉役を演じるのは、歌手・タレントとしてだけでなく演技にも本格派の輝きを見せる上地雄輔。この他、〈勝海舟〉の寺島進、〈西郷隆盛〉の竹内力、六兵衛の妻役の若村麻由美、悪徳高利貸し役の伊武雅刀など魅力的なキャスティング。明治天皇役の片岡千之助は本作が映像作品初出演なのにも注目したい。
監督は映画『神様はバリにいる』『ボックス!』などで、数々の熱い男のロマンを写し取ってきた李闘士男、脚本は『新参者』の牧野圭祐が担当する。原作者の浅田次郎は「『黒書院の六兵衛』は不思議な小説です。元々江戸城中にじっと座り込む侍の夢を見て書いたもので、一貫した物語性がなかったのですが、幸い新聞連載でしたのでじっくりと書きながらだんだん面白くなっていった(笑)。李闘士男監督とお会いしたのはまだ連載中の頃だったでしょうか、ロケバスでご一緒したときに監督が興味を示されて一気に映像化の話がまとまった。主役が吉川晃司さんと聞いた時は、なるほどと思いました。所作だけで演技のできる役者さんはめったにいないですからね」とコメントを寄せている。
音楽は国内外で広く活躍し世界の音楽シーンに影響を与え続けるアコーディオニストにしてコンポーザー&アレンジャーのcobaが担当。「ほぼ全曲フルオーケストラでのアレンジなので、やたらと時間がかかる。でも時代劇の音楽をフルオケでやって見たかったので楽しい」とか。放送日が待ち遠しい!
「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」
原作:浅田次郎『黒書院の六兵衛』(文春文庫刊)
監督:李闘士男(『神様はバリにいる』『ボックス!』 )
脚本:牧野圭祐(「新参者」)
音楽:coba
出演:吉川晃司/上地雄輔/芦名星 寺島進 竹内力/若村麻由美/伊武 雅刀/田中泯
企画協力:文藝春秋
製作著作:WOWOW
◎7/22(日)スタート(全6話)[第1話無料放送] 毎週日曜 夜10:00