アイドルは終わらない——8月3~5日の3日間かけてお台場で開催されたTOKYO IDOL FESTIVAL、通称TIF。計207組1,315名のアイドルが全国から集結した。そして3日間を通して参加したお客さんの数は約81,000人。国内最大のアイドル・フェスである。これだけの数のアイドルとファンが、夢を持って戦っている。そのなかで、世間的に有名になっていったり、メジャー・アイドルとなっていったり、新曲を出すたび歌番組に呼ばれるような、いわゆる〈売れている〉アイドルになる者はごくひと握りだ。アイドルの世界は、厳しい。売れるなんて確証もなにもない。だけど、やめられない。いちど持ってしまった夢はなかなか諦められない。売れるなんて確証がない裏側に、売れないなんて確証もない。乃木坂46を今年卒業された生駒里奈さんが卒業コンサートのスピーチの一部でこんなことを仰っていた——「この世界に夢を持ってしまった、その先に続く夢を掴みたいと思ってしまった」。それがすべてだと思った。

 そして私も今年ソロとしては初めてTIFに出演させていただいた。ずっと、この何か月かの間ステージに立たず教室で勉強している自分が悔しくて早くステージに立ちたいと願い続けていたから、ステージに立ててまた歌が歌えた喜びは、凄く大きかった。そして以前活動していたアイドルネッサンスというグループはとても愛されていたんだなと改めて実感した。いろいろなアイドルさんや関係者さん、お客さんに「戻ってきてくれて嬉しい」と言われたからには、絶対大きなステージに立たなくてはと強く拳を握りしめた。

Negicco Negicco 2011~2017 -BEST- 2 T-Palette(2017)

 今回みなさんにご紹介するのは、Negiccoさんの“ともだちがいない!”という曲です。タイトルとは裏腹に福富優樹(Homecomings)さんの書いた歌詞はとても前向きで、初めて聴いた時に自然と涙が出てきました。そして気付けば自然と詞にアイドルというものを重ね合わせていました。〈知らない誰かの噂話がどれもキラキラしててヤになるなぁ〉という歌詞、本当に天才的だと思います。青春をこんなにストレートに、そして特有の美しさを纏った言葉が本当に素敵です。そしてメロディーもキラキラしている。最高の曲です。この曲は、Negiccoさんが歌うから良いんだろうなと心底思います。みなさんもぜひ聴いてみてください。

 さぁ、まだ自分がステージライトに照らされながら歌い踊っていたら、その先はどうなっていたのだろう。想像して、またいつもと同じように歩き出す。解散、脱退ラッシュと言われているアイドル界。まだまだこれから物語は続いていく。アイドルは終わっていないのだ。

 


原田珠々華(はらだすずか)
2002年生まれ、神奈川出身の16歳。アイドルネッサンスの一員として活躍後、シンガー・ソングライターもアイドルも網羅するスタイルをめざしてソロ活動をスタート。8月3日に〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉でソロでの初ステージを経験したばかり。
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