今年は出世作『Piano Man』の発表から40周年、そして生誕65周年ということで、アニヴァーサリー・モードに突入しているビリー・ジョエル。それを祝うかのように、関連作が一挙4タイトルもリリースされた。各作品の紹介は別項に譲るとして、ここでは彼の近況と現在のシーンにおける影響力について軽く触れたいと思う。

 90年代中盤から隠棲状態を続けていたビリーがふたたび表に出はじめたのは、2000年代後半に突入したあたりのこと。なかでも、後にパッケージ化されたNYはシェア・スタジアムの幕引き公演(2008年)や、ハリケーン〈サンディ〉の復興支援コンサート〈12.12.12〉(2012年)への参加は、メディアでも大々的に報じられたのでご存知の方も多いだろうか。そして今年に入ってマディソン・スクエア・ガーデンでの月1ライヴをスタートし、さらに現在制作中のバーブラ・ストライサンドの新作に参加するという噂もあり、ファンには嬉しいニュースが続いている。

 【参考動画】ビリー・ジョエルによる2006年の東京ドーム公演 “Piano Man” ライヴ映像

 

 とはいえ、長い間新曲を発表していないのもまた事実。にもかかわらず、いまだにビリーのフォロワーは後を絶たない。例えば、正統派ピアノ・マンとしての系譜を継ぐジェイミー・カラムダニエル・パウターピアノ・ロッカーとしてフレイア・グレート・ビッグ・ワールドなどはたびたび御大と比べられている。また、ブルーノ・マーズアレン・ストーンイーライ“ペーパーボーイ”リードら、ポップ・ソウル・シンガーにもビリーと似たものを感じるのだが、どうだろう(83年発表の“Uptown Girl”でモータウン・ビートを採り入れたビリーは、ネオ・ヴィンテージの走りと言えなくもない)。もちろん、ビリー曲のリサイクル例も相変わらず多く、最近ではレオン・ラッセルマッズ・マティアスのカヴァーが話題を呼んだほか、アッシャーイェラウルフもネタ使いしていることを追記しておきたい。

 【参考動画】ジェイミー・カラムによる “Save Your Soul”ライヴ映像

 

 このように多くのフォロワーが活躍するなか、ビリー本人の動きも活発化しはじめたいまこそ、改めてこの偉大なピアノ・マンに触れる絶好の機会と言えよう。

 

 

▼文中に登場した関連作品

左から、2011年にリリースされたビリー・ジョエルのライヴ盤『Live at Shea Stadium: The Concert』、ビリー・ジョエルが参加したチャリティー・ライヴ盤『12.12.12: The Concert For Sandy Relief』(共にColumbia)
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▼文中に登場したアーティストの関連作品

左から、ジェイミー・カラムの2013年作『Momentum』(Island)、ア・グレート・ビッグ・ワールドの2014年作『Is There Anybody Out There?』(Epic/ソニー)、ブルーノ・マーズの2013年作『Unorthodox Jukebox』(Atlantic)、レオン・ラッセルの2014年作『Life Journey』(Blue Note)、アッシャーの2012年作『Looking 4 Myself』(RCA)
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