
シブヤ・ディビジョン Fling Posse
4チームのなかでも一際ポップでカラフルなテイストの楽曲が目立つシブヤ・ディビジョン代表のFling Posse。easy Rこと飴村乱数(CV:白井悠介)は幼い見た目と天真爛漫な言動に反して腹に一物を抱えるファッション・デザイナー、Phantomこと夢野幻太郎(CV:斉藤壮馬)は呼吸をするように自然とウソを吐く想像癖過剰な作家、Dead or Aliveこと有栖川帝統(CV:野津山幸宏)は自分の命すら賭けてしまうほどのギャンブル狂と、メンバーのタイプも見事にバラバラ。抜群のキャラ立ち具合が楽曲にも反映され、本シングルに収録された各ソロ曲も個性的なものばかりです。
キャンディの大好きな乱数がとびきり甘い歌い口で愛嬌を振り撒くソロ曲“drops”は、チャーリーXCXらにも通じるキッチュなシンセ・トラックが渋谷というより原宿っぽさを感じさせる、ほぼ歌がメインのKawaii系バブルガム・ポップ。作詞のほか、コライトで作/編曲にも関わるCHI-MEYらしいメルヘン感が、シブヤの街に〈雨〉ならぬ〈飴〉を降らせるマジカルな歌詞の世界観にもピッタリです。
幻太郎のソロ曲“シナリオライアー”は、ラップというよりも物語を読み聞かせるようなスタイルで、自身の不遇な生い立ちとウソをつく理由に隠されたエピソードを語る感動的なナンバー……と思いきや、最後にすべてをひっくり返すところが、小説家でもある彼ならでは。そのストーリー仕立ての聴かせるリリックを手掛けたのは森心言(Alaska Jam/DALLJUB STEP CLUB)、エモみのあるトラックで物語の真実味を脚色したのはRhymeTubeの仕事です。
そして生粋のギャンブラーでもある帝統のソロ曲は、スロットのスリーセヴンをもじったタイトルの“3$EVEN”。BVDDHASTEP製のホーンを用いたつんのめり系の変形ファンクに、一攫千金を夢見てコインを投じまくる彼が一喜一憂する姿が活写されています。最後は見事に大当たり!……と思いきや夢オチ、というどんでん返しの展開は幻太郎の楽曲にも通じるものがありますが、こちらも先述の森が作詞を担当。シブヤ随一のいじられキャラでもある帝統らしい結末に。
左から、チャーリーXCXの2015年作『Sucker』(Neon Gold/Atlantic)、DALLJUB STEP CLUBの2017年作『Check The Shadow』(術ノ穴)、RhymeTubeがプロデュースで参加したharuru犬love天使の2018年作『lost lost dust dream』(Ourlanguage)