どついたれ本舗
コテコテの個性にどつきまわされたい!?
男性声優 × ラップ・バトルという組み合わせで大ブレイク中のキャラクター・コンテンツ〈ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-〉。今年4月には初アルバムを届け、〈イケブクロ〉〈ヨコハマ〉〈シブヤ〉〈シンジュク〉の各ディビジョンによる争いが激化するなか、ここにきて〈オオサカ〉〈ナゴヤ〉の新ディビジョンが追加。その先鋒として、今回4曲+ドラマ・トラック入りの『あゝオオサカdreamin'night』でデビューするのが、オオサカ発のどついたれ本舗だ。
オヤジギャグを連発するお笑い芸人の白膠木簓(CV:岩崎諒太)、その相方だったが極度のあがり症のため現在は教師を生業にしている躑躅森盧笙(CV:河西健吾)、真意の読めない詐欺師の天谷奴零(CV:黒田崇矢)という癖の強いメンバーから成る彼ら。総勢18人による全体曲“ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +”で顔見せ済みだが、そこで見せていたコテコテの個性をさらに花開かせたのが本作となる。
まずはCreepy NutsのR-指定とDJ松永が提供したチーム曲“あゝオオサカdreamin'night”。かつての韻踏合組合を思わせる三味線 × バウンス・ビートに乗って、やかましくもスキルフルな三者三様のラップで押しまくる。特に盧笙がまごついているところに簓が茶々を入れ、漫才のような掛け合いでまくしたてる箇所は、両者の声優が共に大阪出身ということもあって絶妙な関西弁ラップで楽しませてくれる。
そして簓のソロ曲“Tragic Transistor”は「よしもと新喜劇」のテーマというベタなネタをあえて用いたALI-KICK製のトラックに、HIDADDY提供によるこれまたベタなギャグ尽くしのリリックが炸裂するコミカルな楽曲。その華やかなステージで活躍する簓を〈太陽〉、芸人の夢を諦めた自身を〈月〉に例え、自分なりの舞台で答えを探す様をレイドバックしたフロウで伝えるのが、盧笙のソロ曲“Own Stage”。maeshima soshiによる哀愁のビートも秀逸だ。さらに零のソロ曲“FACES”は、芸歴35年を超える黒田ならではの貫禄あるバリトン・ヴォイスがトラップ系の強面トラックに映えるハードな一曲。ドスの効いた速射ラップで畳み掛けるところは百戦錬磨の詐欺師らしい。
毎度、その土地やキャラ特有のカラーを出した技ありの楽曲で音楽好きをも唸らせる〈ヒプノシスマイク〉。オオサカ勢にもまた、どつきまわされることは必至だ。 *北野 創
関連盤を紹介。
左から、Buster Bros!!!の2017年のシングル『Buster Bros!!! Generation』、MAD TRIGGER CREWの2017年のシングル『BAYSIDE M.T.C』、Fling Posseの2017年のシングル『Fling Posse -F.P.S.M-』、麻天狼の2017年のシングル『麻天狼 -音韻臨床-』、MAD TRIGGER CREW・麻天狼の2018年のシングル『MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼』、ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-の2019年作『Enter the Hypnosis Microphone』(すべてEVIL LINE)