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借り物のサウンドを真似したところで、その音楽は真実の響きを持たないんだ

sauce81「〈未来の歴史〉に参加していたアーティストで、僕の友人でもあるShing02が僕らを繋いでくれたんだよね。マークの新しいプロジェクト〈Ronin Arkestra〉の為に日本人のミュージシャンを紹介してほしいって頼まれたのがきっかけだった。このプロジェクトについて、いま話せることはある?」

マーク「Ronin Arkestraは僕もすごく楽しみにしているプロジェクトだよ。僕がディレクションして作曲した音楽を基調に、オープンなやり方でジャズを探求する。そして全員日本人のメンバーで編成したバンドがやりたかったんだ。『Heritage』でやったような日本風のジャズとして味付けしたものじゃなくて、全員日本人だからこそできる文化的なコラボレーションになるだろうと。

Ronin Arkestraと名付けたのは、参加する全員がそれぞれの分野で卓越している、ヘヴィー級のミュージシャンだから。それで、〈Ronin〉に。そして偉大なサン・ラーに敬意を示して〈Arkestra〉としたんだ。

参加してくれている素晴らしいミュージシャンはというと――荒田洸(WONK)、藤井伸昭(Sleep Walker)、石若駿、小林眞樹(The Bang Attack)、池田憲一(Root Soul)、コスガツヨシ(cro-magnon)、安藤康平(MELRAW)、浜崎航、類家心平(RS5pb)、そしてもちろん、sauce81もね! 〈Red Bull Studios Tokyo〉での2回のセッションを通じて、すでに録音は全部済んでるんだ。1回目のセッションは2日間、スタジオにいる間にスケッチを書いて、それを即興をやるための緩やかなアイデアとして使った。このときの曲はデビューEPになる予定だよ。2回目のセッションは東京に来る前にスケッチとしてすべての資料を用意してきて、4日かけてアルバムのレコーディングをした。

僕はこのプロジェクトを、誰でも各々にアイデアと即興をもたらすことのできる共同体のように見ている。この音楽をみんなに聴いてもらうことが楽しみだし、僕たちメンバーにとってはまた次の音楽を作ることが楽しみなんだ。EPは今年の春に発売される予定で、うまくいけば日本でもライヴを観てもらうことができると思う!」

sauce81「こうした一連のプロジェクトは、マークの個人的な遺産を掘り下げることから始まったものなのだと理解しているけど、それと同時に、日本のカルチャーに焦点を当て、それを世界中に広めることが、多くの日本人にとっても意義のあることなのではないかと思います」

マーク「まさにその通りだよ。ちょうど先日、NYのウィンター・ジャズ・フェスティヴァルで『Heritage』の楽曲を初めて演奏して。演奏する前にそれぞれの曲について話すんだけど、それは僕がこの音楽をやろうとする意図や理由への理解を手助けするだけじゃなく、日本の文化や歴史について聴き手に少しだけ踏み込んで知ってもらうのにも役立つんじゃないかなと思っているんだ」

sauce81「これまでも日本のジャズやジャズ・ファンクは海外のディガーの間では知られていたけど、ここ数年で、特に80年代以降の日本の音楽が国際的にも注目を集めるようになりました。今回マークは『Heritage』で日本の音楽に焦点を当て、Ronin Arkestraで日本の音楽家とのコラボレーションも始動しましたが、今後日本のアーティストがより国際的に活躍するためにはどうすべきだと思いますか?」

マーク「もっとも重要なことは、自分に誠実であることだと思っているよ。僕にとってそれは、自分がブラック・アメリカンの文化で生まれ育ったジャズ・ミュージシャンではないと認識することだった。そういった音楽を参考にするし、物凄く影響を受けてきたんだけど、結局借り物なんだよね。だからそのサウンドを真似したところで、その音楽は真実の響きを持たないんだ。自分自身の真実、アイデンティティーを見つけて、それを自分の物語を根拠づけるために使わなくてはならない。そして同時に、なるがままありのままに。そこにはまさに禅の真実があるんだよ」

sauce81「最後に、『Heritage』について何かほかに言いたいことや、ファンに伝えたいことはありますか?」

マーク「今作を聴いてくれてありがとう! 僕にとっての世界とは人々が開いた心と気持ちで音楽を聴くことができるような場所で、あなたにもそのような平和とインスピレーションがもたらされることを切に願っています。『Heritage』は僕にとって非常に個人的な仕事だったけど、この作品が自身の〈Heritage〉に向き合いながら自分を発見する旅をしている人の力になれたら幸いです」

 


PROFILE: sauce81(N’gaho Ta’quia/77 Karat Gold/S8102)

生々しいグルーヴとラフで温かみのあるシンセ使い、雑味たっぷりの楽器演奏とソウルフルなヴォーカル・ワークで、ディープなファンクネスをマシンに宿すプロダクション・スタイルを探求。

sauce81としてUKのEglo Records始め、国内外のレーベルからリリースを重ね、N’gaho Ta’quia名義でアルバム『In The Pocket』、grooveman Spotとのユニット・77 Karat Goldとしてアルバム『WANNAFUNKWITU』、2018年末にはSAUCE81 & SHING02として宇宙の旅を彩るSFサウンドトラック『S8102』を発表。

2008年バルセロナにて開催された〈Red Bull Music Academy〉に招待されて以来、国内外多数のイベントやフェスに出演。〈Rainbow Disco Club〉から始ったSOICHI TERADA × KUNIYUKI × SAUCE81のライヴ・セッションは、ダンス・ミュージックのパフォーマー同士のセッションの可能性を示しながら、〈Japan Connection〉(パリ)、〈Warehouse Project〉(マンチェスター)、〈Ade 2018〉(アムステルダム)といった各国のフロアも湧かせている。

DJとのセッションも積極的に行いながら、ceroの楽曲にドラム・プログラミングで参加し、リミックスを提供するなど活動の幅を広げている。マシンを駆使し、歌やシンセのループをリアルタイムで組み上げて行くファンキーでソウルフルなライヴは必見。

With raw beats, warm and ruff synth, rugged instrumentation and soulful vocals, sauce81 brings deep funkness into his machine grooves. After releasing singles and remixes on various labels, his two 7inch singles “Natural Thing” and “Dance Tonight” on Alexander Nut & Floating Point’s consistently excellent label Eglo Records gained a lot of attention worldwide. He also dropped the album "In The Pocket" under his N’gaho Ta'quia alias, as an homage to his musical roots from the 70’s funk, soul, jazz music and blaxploitation movie soundtracks, with psychedelic synth sounds and soulful vibes driven by dirty fat beats. Took part in Red Bull Music Academy 2008 Barcelona and performed at Sonar Sound Tokyo, Do Over, 5 Years of Boiler Room, Rainbow Disco Club, Wonderfruit and many other music festivals, events touring worldwide. Soichi Terada x Kuniyuki x sauce81 Live Session at Rainbow Disco Club (JP), Ade 2018 (NL), Warehouse Project (UK), Japan Connection (FR) has been an epic performance showing new possibilities for electronic / dance-music performers to jam with each other on machines. 

Also known as 1/2 of 77 Karat Gold: a collaboration project with Grooveman Spot on Jazzy Sport. In 2015 they delivered a package with their diverse styles of electronic funk and groove science in their debut album Wannafunkwitu. The latest project S8102 with Shing02 is a sci-fi space trip soundtrack.

His funky and soulful machine live set triggering beats, looping synth, bass, keys and singing over the tracks, and mixing the songs like a DJ is a special one to check out.