モノネオンやジョセフ・ライムバーグと共にハーヴィ・メイソンに帯同しての来日も記憶に新しい、現行ジャズシーンで最も重要な鍵盤奏者の一人。現在はLAを拠点にする彼はニュージーランドと日本にルーツを持ち、今作はその日本をテーマにした連作をコンパイルしたもの。曲目などにも表れているが日本的フレーズはそこかしこに散りばめられてはいるものの、とってつけた感はまったくなく彼のビートコンシャス、かつエレクトリックなセンスにシームレスに溶け込んでいる。それは血を辿るような音の探究がそうさせるのか、彼のより内なる宇宙に触れたようで、圧倒的なスピリチュアルな響きを持っている。
ニュージーランドでジャズ・ピアニストとしてのキャリアをスタートし、90年代は西ロンドンにてブロークンビーツのムーヴメント渦中を経験、そして現在はUS西海岸に移住し、LAビート・シーンの中心で活動を続けているマーク・ド・クライヴロウが、母親が日本人という自身のルーツに向き合って制作した2枚組大作。オリエンタルな音色をエッセンスに鍵盤奏者としての才能を存分に披露している。