INTERVIEW

AAAMYYY『BODY』 Tempalayの鍵盤奏者でもある才媛が等身大のエレポップで描くSF的世界

AAAMYYY『BODY』 Tempalayの鍵盤奏者でもある才媛が等身大のエレポップで描くSF的世界

 RyohuやTENDREのサポートを務め、昨年はTempalayに正式加入。DAOKOへの楽曲提供やCMソングの歌唱、モデルなどもこなし、クロス・カルチュラルな新世代アーティストのなかで確かな存在感を放つシンガー・ソングライター/トラックメイカーのAAAMYYY。キャビン・アテンダントになるために留学したカナダでGarageBandを触りはじめると、帰国後に本格的な音楽活動を開始。ユニットへの参加などを経て、2017年からAAAMYYYを名乗り、これまで『WEEKEND EP』『MABOROSHI EP』『ETCETRA EP』の3作をカセットテープと配信で発表してきた。

 「ソロになってすぐにラジオ番組でスタジオ・ライヴをすることになって、携帯のアプリにメモしていたネタを使って作ったのが『WEEKEND EP』に入ってる曲だったんですけど、それを評価してもらえて。ソロはそこまで作り込みたくないというか、あんまり完璧なものにはしたくなくて、〈アプリで作る〉っていうチープさとか一貫性がいいなって思ったので、いまだに曲作りはアプリです。作品には人間的な部分が強く反映されると思うから、背伸びをせずに、等身大を投影したくて」。

AAAMYYY BODY SPACE SHOWER(2019)

 初のフル・アルバム『BODY』に収録されている楽曲も、音楽制作アプリのFigureを使って作られているが、シンセの音色やリズムは確実にブラッシュアップされていて、シンプルながらも立体的なトラックが並ぶ。また、多彩なハーモニーやウィスパー・ヴォイスがポップな彩りを加えているのも、作品の大きな魅力だ。

 「去年のTempalayのレコーディングで初めて歴史あるアナログ・シンセ、Prophet '08を買ったんですけど、出音がすごかったので、今回はアナログ・シンセをモデリングしたソフト・シンセだけを使うっていう縛りを設けて作りました。あと私、変なエフェクターが好きなんですけど(笑)、ポートランドにある小さな工房で作ってるテープフィルターのようなエフェクターを手に入れたので、それはいろんな曲で使ってます」。

 ビョークのように壮大なサウンドスケープが展開される“ISLAND”ではPAELLASのMATTONがシルキーな歌声を提供し、メランコリックな“EYES”ではTAWINGSのCONY PLANKTONがギターとコーラスで参加。また、TV番組の企画で訪れたNYでは、日本でもお馴染みの宅録女子、コンピューター・マジックと“Z”を、〈サイケデリック・エレクトロニック・ソウル・バンド〉を名乗るジルとは“All By Myself”を共作した。

 「コンピューター・マジックのダンジーは彼女が来日したときにインタヴューをさせてもらったんですけど、ドッペルゲンガーかと思うくらいいろんなことが似てたんです。曲の作り方も一緒で、“Z”は彼女の持ってる機材のなかからオムニコードとかを使って、3時間くらいで出来ました。逆に、ジルとは20時間くらいセッションをしたんですけど、ちょっとTempalayっぽさもあって、国は違っても、音楽の作り方は一緒だなって思いましたね」。

 アルバムには〈時は 2615年のβ版、陰謀まみれの政治と人々の闘争が止まらない未来都市。郊外に隠れるように佇む小さな脳科学研究所に、秘密組織が潜入した。人間らしさとは、生きるとは何なのか?〉というSF的なコンセプトがあり、Netflixで映画やドラマを観るのが大好きだという彼女の趣向性が色濃く反映されている。そのなかにあって、メッセージの中核をなすのが“愛のため”と“屍を越えてゆけ”の2曲だ。

 「“愛のために”は亡くなってしまった私の曲作りの師匠に捧げた曲で、今作には死生観も強く反映されていると思います。“屍を越えてゆけ”は英訳すると〈Over My Dead Body〉で、何か守りたいものがあるとしたら、死んだその身体を越えていかないと、そこには到達できない。〈まだ私は死ねないな〉っていう、その提示にもなってます」。

 2018年はエレクトロ・ポップを通じて、自身の生き様を表明する女性アーティストが世界的な評価を集めた一年だったが、AAAMYYYもまたそんな系譜に位置しているように思う。等身大のままに、いつの日か大化けしそうな気がしてならない。

 


AAAMYYY
長野出身のシンガー・ソングライター/トラックメイカー。キャビン・アテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2017年の『WEEKEND EP』を皮切りに、『MABOROSI EP』『ETCETRA EP』と3作品をカセットテープと配信でリリースしている。さらに、Ryohuのゲスト・ヴォーカルやTENDREのサポート・シンセ、DAOKOへの楽曲提供やCMソングの歌唱、モデル、ラジオMCなど多方面に携わるなか、2018年6月からはTempalayに正式加入し、9月にミニ・アルバム『なんて素晴らしき世界』を発表。このたび、ソロとしてのファースト・アルバム『BODY』(SPACE SHOWER)を2月6日にリリースする。

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