INTERVIEW

Nabowa 『4』 Part.1

バンドの外の空気を吸い込んだ約2年を通じ、それぞれの役割を改めて確認した4人。音楽家として腹を括った彼らの旅はいま、無骨なマイルストーンに辿り着いた!

写真/宇宙大使☆スター

 

Nabowaってなんや?

 2014年でバンド結成10周年を迎えたNabowa。これまで景山奏(ギター)、堀川達(ベース)、山本啓ヴァイオリン)、川上優(ドラムス/キーボード)の4人は、さまざまなジャンルの音を吸収し、息が合ったアンサンブルで音の風景画を描き出してきた。それはさながら、Nabowaという旅のスケッチのようだ。そして、旅の節目を迎えて、昨年から景山のソロ・ユニットであるTHE BED ROOM TAPEや、川上と堀川によるWONDER HEADZなどのサイド・プロジェクトが活発化。そうした活動が、来るべき10年目に向けて、各メンバーがバンドを見直すまたとない機会になったようだ。

Nabowa 4 AWDR/LR2(2014)

 「それぞれソロ・ユニットで活動したことは、バンドをやっていくうえでめちゃくちゃデカかったと思います。普段ほかのメンバーがやってくれているパートを自分でやることで、どんなことをやってくれていたのかがはっきりしてくる。それを知ったうえで新作のレコーディングに入れたのは、これまでと大きな違いでした」(景山)。

 そして、メンバーで唯一サイド・ユニットを立ち上げなかった山本も、さまざまなアーティストの作品に参加したことでバンドに対する思いを新たにした。

 「やっぱり、Nabowaは他のバンドと全然違うんですよね。こんなやり取りをメンバー間でしているバンドはほかにはいないし、バンドのバランスがちょうどいい感じで成り立っている。すごく抽象的な話をして進めていきながらも、形になったものを聴いたら納得いくものになっていたりするのが不思議で。この1年で〈Nabowaってなんや?〉っていうのが自分なりにわかった気がします」(山本)。

 

腹を括った

 ソロ活動という新しい風を入れて、10年目の節目に作り上げた4枚目のフル・アルバム『4』。そのすっきりしたタイトル通り、バンドのエッセンスと可能性を追求したような骨太の作品に仕上がった。

 「今回のレコーディングは超スピーディーでした。これまではプリプロ(レコーディング前にアレンジやテンポなどを細かく調整すること)をガチガチにやって録音はミスをしないようにがんばる、みたいな感じだったんです。でも、前作『Sen』を作ったとき、プリプロ通りにやろうとするほど良い結果に繋がらないことがわかった。柔軟性が必要だということに気付いたんです」(景山)。

 「前作で共同プロデュースをzAkさんにお願いしたのが大きかった。zAkさんのやり方って、現場でリアルタイムでどんどん変化させて作り上げていく。それが自分たちにとっては大きな発見で、今回もzAkさんといっしょにやらせてもらったんです。それそれが曲を持ち寄ったんですけど、10割まで作らず7~8割、半乾きの状態で持ってきてzAkさんといっしょに作り上げていきました。だから完全にトリートメントしきっていない曲もあって曲に荒々しさが残っているんですよね」(山本)。

 「これまでは納得するまで100回以上録り直してコンピューターで修正してたんです。でも、それだと緊張感が出ない。今回はほぼ一発録りで最初のテイクを使っている曲もあるし、せいぜい2~3テイクしか録らずに直しもほとんどしなかった。だからライヴ感のあるサウンドになったと思います」(川上)。

 その結果、新作はこれまで以上に生々しく、力強さを増した。その変化を象徴するのは、オープニング曲“白む海、還る霧”をはじめとして、かつてないほどに歪んだギターだ。そこには剥き出しのエモーションが荒々しく渦巻いている。

 「もともと歪んだギターは好きなんですけど、これまではそれをNabowaにどうやって仕込んでいけばいいのかわからなかった。でも、あんまり〈Nabowaのギターの音はこう〉って決めたらあかん。そういう壁を取り払わないと成長できないと思ったんです。だから今回はディレイとかエフェクトも目一杯やってみたら、意外と大丈夫だった」(景山)。

 もちろん、精悍になったのはギターだけではない。「メンバー全員が同じブースに入って、音がかぶりまくりの状態で爆音で一発録りした」(山本)という“Phone Booth”の切れ味。「シャッフル・ビートに〈わっしょい、わっしょい〉みたいな和のノリを乗せたかった」と川上が語る“MACAO”のヘヴィーな爆発力など、バンド・アンサンブルはアツい躍動感に満ちている。そのほか、ジャンゴ・ラインハルト的なジプシー・サウンドを独自に消化した“RPM”の無国籍感や、「このノリが出るまでドラムの叩き方を変えて何度も録音した」(川上)という“Donut Donut”のヒップホップR&Bを消化したタイトなビート。さらには、景山いわく「zAkさんといっしょに音を削ぎ落としていった結果、アンビエントな音に仕上がった」という“平日のアンブレラ”の静謐とした美しさなど、荒削りななかにも懐の深い表現力を見せるのが本作の魅力。そしてもちろん、メロディーを大切にした、情景が浮かんでくるような音作りも健在だ。

「僕が参加したほかのバンドでは〈こんな情景で、こんな世界観で〉みたいな話をするんですけど、僕らにはそれがないんですよ。メンバーそれぞれの頭のなかにイメージがあって、話をしなくてもそれがなんとなく共有できている。具体的にイメージを作り込まないから聴いた人がいろいろ想像しやすいのかもしれないですね。それがNabowaの良いところかも」(山本)。

 バンドの核はブレないまま新境地を拓いた新作。山本は、「完成した音を聴いてもらうのが正直怖かった」と打ち明けながらも、「もしかして、こういう音を期待していないファンもいるかもしれないけど、〈こんな感じもいいなあ〉と思ってもらえる作品。バンドとして次に行ける重要な作品になりました」(堀川)という自信がアルバムには漲っている。

「『Sen』と圧倒的に違うのは、この2年間で〈音楽で食っていく〉ことをすごく意識したことだと思います。Nabowaとしてやっていくことに腹を括ったというか。それがあって、音に甲斐性が出た(笑)。なんか、ドン!としているような」(川上)。

 アルバム・タイトルの『4』は4作目の〈4〉であると同時に4人の〈4〉でもある。覚悟を決めた4人の旅、そのマイルストーンとして燦然と輝く傑作の誕生だ。

 

▼Nabowaの作品

左から、2009年のリミックス盤『Re - flow』(mogie)、2013年のライヴ盤『20120707』(AWDR/LR2)、2008年作『flow』(mogie)、2011年作『DUO』、2012年作『Sen』(共にAWDR/LR2)

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