HAN-KUN~ルーツと未来を繋いだ新作を携えハイエスト・マウンテンに!

 幕開けを飾る“IV”を発端に、前作の制作中からその内容を見据えていたというHAN-KUNのニュー・アルバム『VOICE MAGICIAN IV ~Roots & Future~』。今作にはみずからが見てきた、感じてきた音楽をそのまま閉じ込めたと彼は言う。その大きなテーマはズバリ、タイトルにある〈Roots & Future〉だ。

 「湘南乃風のグループ10周年を経て、仲間、スタッフ、お客さんも含めた自分を囲んでくれてる人たちへの感謝がいちばんデカくて、原点、ルーツに立ち返る気持ちがあった。そこで、ルーツをしっかり持ちつつ次世代に繋いでいくっていう部分がすごく強くなって、出来上がったのが“Roots & Future”。それがサウンドとしてもメッセージにしても新しい自分の始まりを告げる“IV”にリンクして、そこからアルバムを肉付けしていきましたね」。

HAN-KUN 『VOICE MAGICIAN IV ~Roots & Future~』 トイズファクトリー(2014)

 ジャマイカにおける昨年来のヒット・リディム〈Rootsman〉を彼流に料理した同曲は、HAN-KUNのめざした原点回帰と、ダンスホールのトレンドともなるルーツ・サウンドへの回帰が期せずしてリンクしたものだという。さらに、制作の中心となったジャマイカでのレコーディングでは、今回も人気DJのシャギーを支えるシャギー・バンドとのセッションが核に。彼らとは4作品続けての共演となるだけに、お互いの息もピッタリの様子だ。

  「俺が欲しい音を理解して、頼む前に盛り込んでくれる。いまは向こうも俺の音楽性、気持ちをちゃんと理解してくれてるなって強く感じたし、そこに喜びと未来が感じられる良いセッションでした」。

 疾走感のあるトラック上で華々しく歌声をぶち上げる“Up&Live”や、ライヴ感溢れるバッキングを背にした“Dancehall King”、あるいは〈ここJAPAN革命起こそう〉と歌う“Revolution”といった、現場を燃やす彼らしいナンバーがある一方で、レゲエの〈戦う音楽〉たる側面を歌詞に投影した“ハンパねぇ!!”や、ストリングスを従えて真っ直ぐな感謝を言葉に込める“Give Thanks”、バンド・アンサンブルの抜き差しが歌と絶妙に寄り添うスウィートなミディアム・チューン“Just The Way You Are”なども。ギミックを排したシンプルな録音をベースにしながらも、歌い方や歌詞、そしてサウンドのヴァラエティーに気を配ったのは、〈VOICE MAGICIAN〉たる自身のさまざまな〈声〉の表情を見せるためだ。「一曲ずつが一人立ちできるような曲選びと並べ方、あと、どうすれば聴いてくれる人にいちばん良いグルーヴを伝えられるか。それを判別するのに時間がかかった」とも彼は語る。

 そんな本作を手に、今夏のHAN-KUNは〈HIGHEST MOUNTAIN〉をはじめとした多くのフェス出演が予定されている。ソロはもちろん、湘南乃風のメンバーとしても、彼の姿は各地で見られるはずだ。

  「作品と現場が違う人もいるけど、俺的には作品と同じようなクォリティーでアクトできることが絶対条件だし、音源を越すことのできる場がライヴ。それができるアーティストが俺の理想だし、お客さんにもそんなふうに思ってもらいたい。観終わった後にまたアルバムを聴きたくなる、そんなライヴにしていきたいですね。〈いちばん盛り上げるぞー!〉って書いといてください(笑)」。

 

▼HAN-KUNと湘南乃風の作品を一部紹介

左から、2008年作『VOICE MAGICIAN』、2010年作『VOICE MAGICIAN II ~SOUND of the CARIBBEAN~』、2012年作『VOICE MAGICIAN III ~ROAD TO ZION~』、湘南乃風の2013年作『湘南乃風 ~2023~』(すべてトイズファクトリー)
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