マルチ・プレイヤー、ブライアン・ジャクソンが9月25日(水)と9月26日(木)にBillboard Live TOKYOで、9月28日(土)にBillboard Live OSAKAで初の来日公演を実施。来日は〈死ぬまでにやりたいと思っていたことのひとつ〉だったという記念すべき公演は、共に名盤を多数生み出してきた故ギル・スコット・ヘロンへのトリビュート・ライヴとなる。

52年にNYブルックリンに生まれたブライアン・ジャクソンと、49年にシカゴに生まれたギル・スコット・ヘロン。ふたりの出会いは、ペンシルヴェニア州・リンカーン大学在学中のことだった。スコット・ヘロンの詩作やポエトリー・リーディングなどのパフォーマンスに惹かれたジャクソンが楽曲制作や演奏をするようになり、71年のスコット・ヘロンのセカンド・アルバム『Pieces Of A Man』に参加した。

『Pieces Of A Man』収録曲“The Revolution Will Not Be Televised”
 

ボブ・シールが主催するジャズ・レーベルのフライング・ダッチマンからリリースされた『Pieces Of A Man』には、ジャクソンのほかバーナード・パーディー(ドラムス)やロン・カーター(ベース)、ヒューバート・ロウズ(フルート/サックス)といった強力なジャズ・ミュージシャンが集結。そのモダンなジャズ・ファンク・サウンドが以降のアシッド・ジャズ・ムーヴメントに、社会や政治への痛切な批判を込めた扇動的なヴォーカル・スタイルが後のラップやヒップホップに多大な影響を与えた。スコット・ヘロンのファースト・アルバム『Small Talk At 125th And Lenox』(70年)にも別ヴァージョンが収録されている“The Revolution Will Not Be Televised”や、“Lady Day And John Coltrane”など、代表曲が多数収められている最高傑作ともされる一枚だ。

続く、スコット・ヘロン単独名義の『Free Will』(72年)をリリース後ふたりは、ギル・スコット・ヘロン・アンド・ブライアン・ジャクソン名義で本格的にコラボレーションをスタート。さらに、ミッドナイト・バンドなるアンサンブルを編成し、サウンド・メイキングを深めていき、80年までに7枚ものアルバムを制作した(80年以降はそれぞれに活動を推し進め、2011年に逝去したスコット・ヘロンは『I'm New Here』(2010年)が最後のオリジナル・アルバムとなり、ジャクソンはロイ・エアーズをフィーチャーした『Gotta Play』(2000年)が現時点での最新のソロ・アルバムとなる)。

The First Minute of a New Day
ミッドナイト・バンドによる75年作『The First Minute of a New Day』収録曲“Western Sunrise”
 

ふたりが残した数々の楽曲たちは、デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザース、コモン、カニエ・ウェストに、近年ではケンドリック・ラマーらヒップホップ・シーンの重要人物から広くサンプリングされ、前述の“The Revolution Will Not Be Televised”は2018年のヒット映画「ブラックパンサー」の予告編で使用されてもいる。また、ヒップホップ界隈だけでなく、ジャズやソウルのアーティストによるカヴァーも多数発表され、今日の音楽に影響を与え続けている。

近年は作品制作に取りかかりながら定期的なライヴ活動も行っているジャクソン。6名編成でスコット・ヘロンとの楽曲を中心に演奏する今回の来日公演に向けては、綿密なリハーサルを行っているとのことで、期待が高まる。ブラック・ミュージック・ファンには必見のスペシャルなステージをお観逃しなきよう。

★参考記事:ブライアン・ジャクソン初来日記念特集 ~ギル・スコット・ヘロンのファンキーな知性に音楽を纏わせたブラック・ニューヨーカー(Billboard JAPAN)

 


LIVE INFORMATION
The Music of ギル・スコット・ヘロン&ブライアン・ジャクソン

2019年9月25日(水)、9月26日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 9,800円/カジュアルエリア 8,800円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら

2019年9月28日(土)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場15:30/開演16:30
2ndステージ 開場18:30/開演19:30
サービスエリア 9,800円/カジュアルエリア 8,800円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら

■メンバー
ブライアン・ジャクソン(ヴォーカル/キーボード)
レックス・キャメロン(バック・ヴォーカル/キーボード)
クラーレンス・ブライス(ギター)
アントアーヌ・カッツ(ベース)
マーク・ホイットフィールド Jr.(ドラムス)
アラコイ・"ミック ホールデン"・ピート(パーカッション)