2015年に公開された同名EPの第2弾となる新作は、気負わず作ったインスト集といった感触で、ひたすらスムース&コズミックな音像が敷き詰められている。その一見涼しげだが深いグルーヴは、まるでバレアリックやアンビエントのようにも聴けそうなほど。そして、ベースラインの裏から漏れ聞こえるピアノ・ソロの美しさに蕩けてしまう“Compos Mentis”や、UKガラージ似の軽妙なビートを覆っていくシンセの厚みに飛ばされる“Deeper”など、ディティールに耳を凝らせばさらに深い宇宙へ行ける。傑作『Toeachizown』が世に出たのは2009年。この10年間で〈ブギー・ファンク〉が多様に拡大するなかでも、登場時からアンバサダーとしての役割をブレずに続けてきたデイム・ファンクの存在感は今後も増すはずだ。