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Photo by 平川啓

どうか皆さん我に返らないで

――〈フジロック〉での平沢進+会人(EJIN)でのパフォーマンス〈会然TREK(夏)〉は、現場とストリーミング配信で大変話題になりました。出演前は不安を覚え、直前に確信を得て、結果受け入れられた、と〈BSP〉で語られています。現場での反応やその後のレスポンスについて、どんなことを感じられていますか?

「恐らく〈前評判が広がり〉〈実物が現れた〉という事件性が私の評価を押し上げたと思います。なぜなら私のスタイルはフェスティバル向けではないからです。現場のバックステージで感じた事もまさにこれです。〈前評判〉という前提があり〈実物が現れた〉という視線がありました。この時〈いただき!〉と思うと同時に実はもう一つの感情がありました。〈どうか皆さんそのまま我に返らないで〉という」

平沢進+会人(EJIN)の(FUJI ROCK FESTIVAL '19)でのパフォーマンス。演奏しているのは平沢進の90年作『サイエンスの幽霊』収録曲“夢みる機械”。2019年12月現在、62万回以上再生されている

――〈フジロック〉では、79年か80年にP-MODELとしてXTCと京都大学西部講堂で演奏したときのことを思い出した、とおっしゃっていました。そのときのことをもう少し詳しくお教えいただけますか?

「まさに上の答の通りのことが起きました。直前に音楽雑誌で大きく取り上げられ、人々はまだP-MODELのデビュー作も聴いていないのに期待に胸を膨らませていました。XTCが主役であるにもかかわらず、部数のある雑誌のタイムリーな記事効果でP-MODELへの期待も盛り上がっていました。そこに〈実物登場〉の事件です」

――〈フジロック〉やバトルスの前座でも披露された“ジャングルベッド1.5”についてお教えください。この曲はP-MODELの“ジャングルベッドI”(81年)に歌詞がつけられたものです。歌詞をつけてこの曲をよみがえらせた理由や、いま演奏する意義などはなんでしょうか?

「先ほども申し上げた通り、私はフェスティバル向けのアーティストではありません。それをよく知る古くからのファンにしてみれば〈フジロック〉への参加に驚かれたと思います。そのようなファンが、もしも遥々苗場まで、不慣れなフェスへと私を応援に来てくださるなら、行ってよかったと思える手土産をという意味で“ジャングルベッド1.5”を作りました」

 

2020年のライブ〈会然TREK 2K20〉に向けて

――2020年のライブ〈会然TREK 2K20▼02〉〈会然TREK 2K20▲03〉〈会然TREK 2K20▼04について教えてください。どのようなライブになるのでしょう?

「▼と▲は会場の席事情を表しています。つまり▼には椅子が有り、▲には椅子が無い。それは観客の態勢を規制するものではありません。▼では周囲の状況を見極め、マナーの範囲内で自由に振る舞うことが可能なはずです。会場の状況に合わせた選曲がされるでしょう」

――大阪公演は〈ソロ曲の乱舞〉、東京公演は〈ソロ+P-MODEL曲のハイブリッド仕様〉とされています。ちがいを設けた理由や音楽的なアプローチの相違について、また、それぞれの公演への思いをお聞かせください。

「単純に会場の形態から生じたちがいです。着席会場ではソロのゆったりした曲や強くテンポのある曲に加え、視覚的な演出を交えた展開になるでしょう。起立会場ではそれに加えて核P-MODELの強い選曲も加わり、よりライヴ感のあるものになるでしょう。動員が懸念された大阪公演も一瞬でソールドアウトです。〈フジロック〉やバトルスによる〈前評判〉と〈実物登場〉の事件が起こるのでしょうか? どうか皆さんまだ〈我に返らないで〉ください」

Photo by 平川啓子

――会人が覆面を被っていることについて、〈BSP〉では〈観客の感情や思いが投影されやすくなり、そうすることで音楽が成り立つからだ〉といったことをおっしゃっていました。平沢さんの音楽のサウンドや歌詞は多様な解釈を許容するものだと思います。それは、やはりそういった意図があるからでしょうか?

「私は〈音楽は投影を受ける〉という事実を言っているだけです。勿論それに付随して様々な解釈を許容する姿勢も必要です。ですが、それは矮小化や個人的に都合の良い解釈を歓迎するという意味ではありません。あくまで作品に対峙し、時に自分の境界から出て作品の置かれている場所まで出向いた結果生じた解釈を許容し、時には期待する、ということです」

――会人のマスクがただのマスクではなく、鳥のくちばしのようなデザインになっていることにはなにか意味があるのでしょうか?

「突起があることにより運動半径が大きくなることの効果を期待しています」

Photo by 平川啓子

 


LIVE INFORMATION

会然TREK 2K20▼02
2020年2月22日(土)、23日(日)グランキューブ大阪 ※SOLD OUT

会然TREK 2K20▲03
2020年3月13日(金)Zepp Tokyo
開場/開演:18:00/19:00 
前売り:7,150円(全自由席/整理番号付/税込/ドリンク代別)
※未就学児入場不可

2020年3月14日(土)Zepp Tokyo
開場/開演:17:00/18:00
前売り:7,150円(全自由席/整理番号付/税込/ドリンク代別)
お問い合わせ(SMASH):03-3444-6751

■主催者先行受付
12月10日(火)10:00 ~12月16日(月)23:59
https://w.pia.jp/t/susumuhirasawa-ejin/

■一般販売
12月21日(土)~
ぴあ(P: 171-580)*For Enlish sperkers
e+(プレオーダー:12月17日12:00~12月18日23:59)
ローソン(L: 75441)

会然TREK 2K20▼04
2020年4月19日(日)東京・渋谷 NHKホール
開場/開演:17:30/18:30
前売り:7,150円(全席指定/税込)
※未就学児入場不可
お問い合わせ:
03-3444-6751(SMASH)
03-5720-9999(HOT STUFF PROMOTION)
※チケット販売情報は追ってお知らせいたします
※グリーンナーブ会員様先行予約受付は2020年1月上旬実施予定