既存のフォーマットを嫌い、ニュー・タイプのインストを鳴らそうと立ち上がったシカゴの革命家が世間に受け入れられるまで、そう多くの時間は必要なかった。静と動、過去と未来、陰と陽、調和と軋轢、繊細さと大胆さ、直線と曲線、喜びと悲しみ――相反するマテリアルをミックスし、〈ロックのその先〉を見せてくれたトータス。アルバム・デビューから20年強が過ぎてもなお、5人の実験精神は萎えることを知らない。音楽の新たな可能性を模索する旅はまだ始まったばかりだ……
★Pt.1 コラム〈トータスの足跡〉はこちら
★Pt.2 ディスクガイド〈トータスを知るための6枚〉とコラム〈メンバー紹介〉はこちら
★Pt.3 コラム〈トータスと日本の関係/ポスト・ロックの台頭〉はこちら
耳で聴いたピープル・トゥリー
トータスをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ
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トータス以降でもっとも成功したハードコア出身のインスト・バンドと言えばこの人たち。2015年のポスト・ロック好景気を支えた彼らの最新作は、生演奏に回帰しつつあるトータスを横目に、ポスト・プロダクションによる分厚いループの層とハーコーなドラムを激突させた、緊張と緩和の一枚に。 *ヌーディーマン
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スリル・ジョッキーとドラッグ・シティ――シカゴの重要レーベルを代表する両アクトが合体したカヴァー集です。ミルトン・ナシメントやミニットメン、ディーヴォなど、何となくルーツを窺わせるラインナップで、しかも総じてB面的なナンバーをピックアップしている天邪鬼ぶりが彼ららしくてイイネ! *中井
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初期トータスの個性を決定付けたドライなドラムミングの反復と、〈音響派〉なんて括りからも窺える各楽器の鳴りへの配慮には、もちろんこのバンドの影が。また、ダモ鈴木が誘う深淵の歌世界はゼロ年代前半にトータスによって消化され、彼らの向かったサイケ郷へと続いていく……。 *ヌーディーマン
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ロックやテクノやブレイクビーツを折衷したUKカルチャーの熱気を、DJ文脈から伝えてくれるデュオ。本作ではポスト・パンクの再興を予見した“Hands Around My Throat”で、トータス“Whitewater”をネタ使いしてみたり……。当時のトータスの影響力、人気の広域さを物語る一例。 *ヌーディーマン
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スリル・ジョッキーを手本にアーツ&クラフツを設立したケヴィン・ドリューは、ソロ作のリミックスをマッケンタイアに断られても、懲りずに本作で指揮を依頼。マッケンタイアはやっと承諾し、マッカムまで連れて来てくれました。ダイナミックなジャムはまさしくトータス印。思い続ければ夢は叶うんだ! *中井
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あらかじめ相性の良さが約束されていたというか……マッケンタイアがプロデュース、パーカーも客演し、ヨ・ラらしいアットホームなノイズ・ポップに壮大なスケールの音響を加えた本作にて、USチャートでキャリア最高位を記録! そのお返しにトータスの新作ではジョージア・ハブレイが歌声を添えています。 *中井
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トータスのリズムへの偏愛は、イーノのクラウトロック仕事に由来するところも多分にあり。その師匠がカール・ハイドと組み、フェラ・クティとスティーヴ・ライヒを再考した本作でのアフロ・ポリリズム、なかでもCDJのキュー音を連射させた“DBF”に、またしても5人は刺激を受けたはずだ。 *ヌーディーマン
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ダーティ・プロジェクターズを輩出したウェスタン・ヴァイナルの看板グループであり、ポスト・クラシカル文脈で評価の高いテキサスの6人組は、本作の一部をソーマでレコーディング。ヴィブラフォンを導入したオーガニックな音の響きは、モロに『Millions Now Living Will Never Die』な雰囲気です。 *中井
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JOHN FAHEY The Transfiguration Of Blind Joe Death Riverboat/Takoma(1965)
フィンガー・ピッキングを駆使し、トラッドなフォークを実験的に鳴らしたこのギタリストは、トータスやジム・オルークにとって憧れの存在。『It's All Around You』などからもその影響が窺えるでしょう。シカゴ一派の飛躍に乗じて御大の関連作品が多数リイシューされたことも、特筆すべきトピック。 *中井
こちらもシカゴ連中にとっての英雄で、トータスに至っては好きが高じてツアーまで共にしてしまう有様。MPBきっての鬼才が作った奇形のサイケ・サンバは、トータス“Swung From The Gutters”に継承されたほか、マッケンタイアとスコット・ヘレンを引き合わせ、サヴァス&サヴァラスの諸作を生むことに。 *山西
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ボニー“プリンス”ビリーとの合体、バンプス名義でリズムの追求……と、この10年間も何やかんやで課外活動を盛んに行ってきたトータスの面々は、こちらのアルバムにも全員で参加。活動開始時期も近い両者の息はピッタリで、ジャガ・ジャジストとも共振するコズミック・ジャムを披露。 *ヌーディーマン
意図的に隙間を作り、ゆったりグルーヴを生んでいく『Tortoise』を聴いて浮かんだのがキング・タビー。特にピアニカを用いた楽曲は、間違いなく本作に感化されて作ったはずです。ダブの影響をよく指摘されるトータスですが、意外にも音響バリバリの80s以降ではなく、黎明期のアナログな音がお好みのようで。 *山西
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トータスがハードコアを拡大解釈していった裏で、生演奏にこだわり抜き、尋常じゃないエネルギーを放ち続けたフガジ。でも、このデビュー作の時点からベースラインやギター・リフの配置方法はダンス・ミュージック的であり、アイタルやパウエルの登場にまで繋げてみたくもなるものだ。 *ヌーディーマン
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ピアノやヴィブラフォンをパーカッションのように扱う知恵はライヒ譲り。で、プログレ化する近作以前の『TNT』を頂点としたポスト・プロダクションやミニマリズムへの没入は、期せずして当時の若者にライヒ入門を促した。名曲“Djed”のリミックスでは本作収録の“Come Out”を引用。 *ヌーディーマン
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ジャスティン・ヴァーノンや、彼の古い友人で同バンドを率いるスコットは、シカゴ音響派が台頭した頃に青春真っ盛りだった世代。ヴァーノンとアストロノータリスによる音響ヒップホップ然り、本作でのノイジーな変則フォークや物憂げな反復テクノ・ロック然り、往時の匂いはいまもUS中西部から嗅ぎ取れます。 *山西