シンセの音や歴史、技術などを知るのは好きだが、恥ずかしながら演奏して親しんだことはない。とはいえ本書は実に面白く、私のようなライトなファンも実際に演奏・制作をする人も楽しめる。というのも演奏家視点のみならずリスナー視点がかなり反映されているから。今号の特集は〈シンセサイザーとビート〉。巻頭は電子ビート史を丁寧に展開し、次がレイモンド・スコットからピンクパンサレスまでオールタイムの電子ビート楽曲ガイド(!)でかなり新鮮。中盤は高橋幸宏の偉業を讃えた約30頁の特集、後半は浅倉大介や平沢進らのインタビュー、シーケンサーの特集など。電子ビートに取り憑かれた者は必読。