ブライアンとロジャーの〈イーノ兄弟〉による名義では初のアルバムがドイツ・グラモフォンからリリース。1曲を除き色に関するタイトルがつけられた計18曲は、主に弟が楽器で作曲した素材を兄が加工して戻すという、さながら2人の会話を音にしたようなもの。その中には2005年頃に書かれ曲もあるというから、およそ15年の歳月を経て完成したことになる大作だ。ピアノを筆頭に楽器の催眠的かつドラマ性ある演奏が、それらを包み込むシンセや抽象的な音響の処理により瞑想へと導かれ、アルバムを聴き進めていくほど音の奥底へと潜り込んでいく感覚にさせられる。美しくも極めてディープなアルバムである。