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早見沙織

早見沙織 シスターシティーズ ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント(2020)

 歌唱力に定評のある声優アーティストに5人のクリエイターが楽曲を提供したミニ・アルバム。Kenichiro Nishihara作・編曲の“yoso”ではメロウなR&Bに空虚なシティー・ライフを描く詞世界を乗せ、今様のアーバン・ソウルをジャストで形にしている。続く“mist”は横山克が硬質な電子音を飛び交わせた幻想的なナンバー。一転してオーガニックなサウンドで聴かせるのがNARASAKIが手掛けた“ザラメ”と堀込泰行のペンによる“遊泳”で、陰りを帯びたメロディーを前者では儚げに、後者では艶やかに表現するコントラストがお見事。そして本作でもっとも驚かされるのが、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)による“PLACE”だろう。ミュージカルの一幕のようなめくるめく展開が圧巻だが、こんな大胆な試みが成り立つのも、はやり主役の力量あってこそ。5者5様のアプローチが引き出す卓越した歌の魅力をご堪能あれ。 *澤田大輔