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本来の自分を取り戻すために、人生を変える必要があった

ここ数年間の音楽界に訪れた大きな変化のひとつとして、ミュージシャンへの精神的サポートの必要性が広く認識されたことが挙げられるのではないかと思う。殊に、若くして成功を収めたアーティストの脆さは、派手なメルトダウンで巷を騒がせたブリトニー・スピアーズやジャスティン・ビーバーが証明したわけだが、急激な環境の変化に戸惑って精神的なバランスを崩すのは、なにもメインストリームのポップスターに限ったことではない。

17歳の時に発表したEPに続いて、XLレコーディングスから発表したファースト『Long Way Home』で賞賛を欲しいままにした英国人シンガー・ソングライター、ラプスリーことホリー・ラプスリー・フレッチャー(Holly Lapsley Fletcher)もそんなひとりだ。自ら危機を感じて立ち止まることを決めた彼女は、「クリエイティヴなアーティストとして続けていくにはインターバルは必要だった」と話す。

「私は18歳の時にツアーを始めて、ファースト・アルバムを出してからは2年くらい世界を周ったわ。その後メンタルヘルスのケアをしたいと思ったのと、ツアー活動というライフスタイルから休憩するという意味で、音楽から離れていたの。当時はクリエイティヴになることに苦労していたから、本来の自分を取り戻すために、自分の人生を変える必要があった。だからボランティアをたくさんして、実家に戻って、友人や家族と過ごす時間を増やしたのよ」。

2016年作『Long Way Home』収録曲“Hurt Me”