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4. RMR “DEALER”

天野「4位はRMR(ルーマー)の“DEALER”です。彼のことはそのうち紹介したいと思っていたんですけど、いいタイミングで新曲を出してくれました」

田中「RMRは、2月末に発表した“Rascal”のビデオがいきなりヴァイラル・ヒットしたシンガーですね。“Rascal”のビデオは、銃を構えた危なすぎる男たちに囲まれたRMRが、アカペラで歌うところから始まります。で、映像はとにかくいまのラップ・ビデオを踏襲したヴァイオレントでストリートな感じなんですけど、RMRの美声がピアノの伴奏をバックに響き渡る……という画と音のギャップがすごすぎるもので、めちゃくちゃ話題になったと」

天野「しかも曲が、カントリー・グループのラスカル・フラッツのバラード“Bless The Broken Road”(2004年)なんですよ! マジで意味がわかんない……(笑)。さらに、ビデオを観てもらえばわかるとおり、RMRはスキー・マスクを被った覆面シンガーなので、正体不明なんです。それもひとつの要因となって、めちゃくちゃバズっています」

田中「そんな彼は早くもワーナーとメジャー契約を結んで、デビュー・アルバムを制作中なんだとか。このシングルはその第1弾で、“Rascal”に続く2曲目。シタールみたいな、なにやらオリエンタルな旋律のサンプリングがおもしろいですね。普通にビートがあって、“Rascal”とは対照的にイマっぽいR&Bソング。でも、あいかわらず素晴らしい歌声です」

天野「声がひっくり返ったりするところも見事にコントロールしていて、技巧派なシンガーですよね。歌い手としては、ウィークエンドに続く才能なんじゃないかと思います。〈俺はディーラーなんだ 中毒者じゃない 俺がボスだ〉とセルフ・ボーストしているのですが、コデインやザナックスといった現代のドラッグがバンバン出てくるあたり、刹那的な破滅願望も感じますよね。そこも、ちょっとウィークエンドっぽい。2019年のリル・ナズ・Xのように、バズをきっかけに注目されたRMR。今後の活動が気になります。Rolling Stoneのインタビューも必読!」