こんにちは、TOWER DOORSスタッフです。
TOWER DOORSが注目のアーティストを選出して猛プッシュする企画〈TOWER DOORS POWER PUSH!!!!〉。その第5弾として4月から推しているのが、東京と米NY、英ロンドンの3都市に拠点を置くコレクティヴ、Laastcです。
今回はLaastcの活動や所属メンバーを紹介し、その全容に迫る特集記事をお届けします。
Laastcはどんな〈コレクティヴ〉なのでしょうか? 彼らの特徴は、メンバー全員がミュージシャンでありながら、グラフィック、映像、ファッション・デザイン、アートなど、音楽以外の表現も行うことです。多様な活動が交錯することで、〈Chaos & Order(混沌と秩序)〉というテーマを体現しています。
Laastcは2018年に東京藝術大学とロンドンのセントラルセントマーチンズ芸術大学の学生3人が発足、現在は約7人活動しています。名前はジャン=ミシェル・バスキアの〈Look around and smell the coffee〉という言葉の頭文字から取られているとか。
音楽活動はソロやメンバー同士のコラボレーションなど、さまざまです。ノイズやインダストリアルから、ポップス、フューチャー・パンクまでを組み合わせた、Sci-Fiな音楽性が特徴です。
初のリリース作品は1e1にのファーストEP『Quartier Latin』(2018年)。同作を皮切りに各メンバーが作品が発表し、2019年にLaastcとしてのコンピレーション・アルバム『In My Room』をBandcampでリリースしました。
それでは、ここからは個々のメンバーを紹介しましょう。
NVMR / MÖSHI

NY在住のMÖSHIは、ミュージシャンとファッション・デザイナーの2つの顔を持っています。セントラルセントマーチンズを卒業後、ユニクロからのスポンサーシップを受け、現在はパーソンズ美術大学大学院に在学中。個展を開催するほか、Laastcのファッション・プロジェクトにおける中心的な存在です。
NVMR(ネヴァ―モア)名義では、植松伸夫、Arca、Serphなどから影響を受けた、ストーリー性のある楽曲を発表。近日リリース予定のEP『The Raven』は、エドガー・アラン・ポーの詩からインスピレーションを受けた作品だとか。
1e1 / CHLRX

1e1(イェル)は、東京藝術大学大学院音楽研究科修了、現在は東京藝術大学大学院美術研究科に在学中のDan Kuboによるソロ・プロジェクト。ブラック・ミュージックから影響を受けたポップスに、電子音響音楽を中心とした現代音楽の技法を折り込み、特異な質感を持つポピュラー・ミュージックを生み出しています。
ファーストEP『Quartier Latin』には、ラブリーサマーちゃんなどを客演に迎えた6曲を収録。Seihoや塩入冬湖(FINLANDS)といったミュージシャンから高い評価を受けました。
ラップトップを使ったエレクトロ・セットのライブ・パフォーマンスも行っており、その際は別人格〈CHLRX(シャルル)〉という名義で活動。
Pause Catti

daisuke kawashimaによるソロ・プロジェクト。アカデミックで実験的、そしてフェティッシュな音色を既存の音楽に転用しているのが特徴的です。また、彼自身が開発したアプリケーションを使って立体的なサウンド・コラージュを展開。他のアーティストには表現できない独自の不思議な世界を作り出します。現在はデザイン会社を主なクライアントとして、音楽や音響制作を行っているとのこと。2020年2月には『EP1』をリリース。
Allye

Allye(アリー)は、インターネット上での音楽配信をメインに活動するロンドン在住のミュージシャン。2019年の夏にLaastcからEP『Tape Vol.1』をリリース。ラフな響きをそのままキャプチャーしたような音の質感が特徴です。
yoyomi

yoyomiは、スピーディーでキャッチーな展開のダンス・ミュージックを得意とするメンバー。PC Music、Future Classicなどのアーティストを好み、フューチャー・ベースからの影響を感じる音楽性が特徴です。限られたリスナーから愛好されているようにも感じるフューチャー・ベースのコミュニティーから一歩踏み出した、ポップに開かれたサウンドを生み出そうと試行錯誤しています。
0620

0620はミニマル、ダーク、そしてインダストリアルな音楽を追求するアーティスト。WarpやNinja Tuneのアーティストから影響を受けた彼は、先行する音楽家たちのミニマルなトラックに、いかに知性を組み込むかという課題を課し、それを自分のフィルターを通して表現しています。
sonore

sonoreは独特なテクスチャーを持ったテクノをメインに制作するメンバー。2019年の夏にはEP『Reduction』をリリース。
Xén
Xén(ゼン)は2020年にLaastcのメンバーで結成されたバンド。コレクティヴのメンバーそれぞれのサウンドをエディットし、混淆させることで独自の質感を生み出す、〈技法の異種移植〉をコンセプトとするユニット。今後楽曲をリリース予定だそうです。
最初に紹介したとおり、Laastcの活動は音楽だけに留まりません。特におもしろい活動は、ZINEのグラフィック・アートです。
LaastcのInstagramではメンバーがグラフィック作品を発表しています。彼らが意識しているのは、イギリスのインディペンデント・マガジンの歴史を踏まえた〈エディット感〉。70~80年代のパンク・カルチャーにおけるファンジンを想起させるコラージュ的な発想が、作品から感じ取れます。
【POWER PUSH!!!】
— TOWER DOORS / タワードアーズ (@TOWER_DOORS) April 17, 2020
プッシュ中の東京とNYを拠点に活動するコレクティブ、Laastc(@laastc)。
彼らは音楽活動以外にもグラフィック作品をInstagramにメンバーが日替わりで発表しています!コラージュ感溢れる秀逸な作品ばかりですので、ぜひ訪れてみてください!
✅https://t.co/6NZN2f8a1B pic.twitter.com/csryaALq4F
今後はXénやメンバーのソロ作品を続々とリリースする予定です。またコレクティヴを知ってもらうためのものなど、ZINE制作も本格化するとのことで、とても楽しみです。さらにMÖSHIが先導し、メンバーの意見を反映させた複数のファッション・プロジェクトも立ち上げるそうです。
最後に、Laastcのおもしろさがどんなところにあるのかを紹介したいと思います。
〈コレクティヴ〉といえば、Tyler, The Creatorなどが所属するLAの〈Odd Future〉や、Kevin Abstractを中心に活動するBROCKHAMPTONなど、ヒップホップ/R&Bのクルーが世界的に有名です。Odd Futureはファッションやスケート・カルチャーに根差していたり、BROCKHAMPTONには映像作家やプロデューサー、エンジニアが所属していたりと、それぞれに特色があります。ただ基本的には、どちらも活動拠点がLAというひとつの場所です。
一方、Laastcのおもしろさは、〈コレクティヴ〉であるにもかかわらず、東京やNY、ロンドンにメンバーが点在しているボーダーレスな多拠点性です。それにより、多様な価値観や思考をメンバーが共有しあい、さらにそれを音楽やグラフィック・アート、ファッションなど、さまざまなクリエイティヴに落とし込んでいます。
どのメンバーもサウンド・プロダクションもの優れた才能を持っていますし、すべてのメンバーが多才でクリエイティヴィティーにあふれているというところが、本当に素晴らしいと思います。